国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

衆-運輸委員会-11号 昭和58年05月18日 第11話

2014-09-29 07:46:41 | 国鉄関連_国会審議
おはようございます、本日もし尿処理場のお話の続きになります。
いまもそうですが、こうした処理場に関しては地元の反対も多くて中々実施できないところも多く、カセット方式が研究されたのもこの頃でした。
現在、JR西日本の快速車両などで採用されているようですね。
ということで、当時の国会審議の内容をお読みくださいませ。


○西中委員 現在工事中または計画中の基地、これは九基地と聞いておるわけでございますけれども、これは六十年度に完成を目指しておるということでございますが、これでもまだ一〇〇%の処理にはならぬわけですね。それはどれぐらい残っておるのか。そして、将来これをどういうように解決しようとされておるか、計画がありましたらば伺っておきたいと思います。

○半谷説明員 私ども、このたれ流し状態というのは一刻も早く処置しなければいけないということで、現在まで列車についております便所の使用状況から見まして、最も使用頻度が高いのは、やはり長距離をお乗りいただくお客さんによって発生するものが多いわけでございます。したがいまして、特急あるいは寝台列車、それから急行等というものをまず優先処理できるようにということで基地の整備を進めてまいりました。
 いま御説明を申し上げ、また、先生から御質問もございました現在計画中のものを含めてもなお一〇〇%に至らないわけでございますが、これは日本全国に配置しております普通の車両の便所が大部分でございますので、これらを、いまやっておりますような基地に相当の金を投じて、しかも車両をタンク方式に切りかえていくというには相当多額の工事費を要しますし、また、効率的に申し上げましても、いままでやってきたような効率のいい対策ということにもなかなかならないわけでございます。したがいまして、いま、将来に向かって考えておりますのは、現在すでにできております基地が利用できる一般車両、普通のローカル車両につきましてはなるべくその基地設備が使えるように持っていく。それから、車両の運用上どうしてもそういう配置にならないものがローカル列車としてはまだ大分残るわけでございますが、これらにつきましては、いままでの客車で言いますと一両に必ず便所が一カ所ついておるという状況でございますけれども、こういった便所の使用状況等も勘案いたしまして、一つにはサービス面も考えながら便所の数を減らしていきたいということで、現在までいろいろその点について検討もし、また、現に新製車両に当たりましては便所の数を何両かに一個にするというような形で、実態を考えながら減らしてきております。そして残りますそういった便所の処置につきましては、五十四年以来いろいろ研究、検討、いま施行を試みておりますが、このタンク方式のような金のかかるものじゃなくて、車上処理方式、カセット方式と言っておりますが、ある程度車上で処理いたしまして、そのカセットを基地において焼却する。それによってろ過した、しかも消毒した形で地上に落とすという形にいたしますと、タンク方式と同じように、いままでの汚物のたれ流し状態を排除することができるわけでございますので、それらにつきましていま東京と大阪で試行いたしておりますが、大体いい成果をおさめてきておりますので、将来一〇〇%に持っていくためには、こういったものをもう少し検討いたしまして、実施に持っていきたいということを考えているわけでございます。カセット方式ですと投資額が大体三分の一あるいは場所によってはもうちょっと安くなるかという感じでございます。

○西中委員 いずれにしても、この種の問題は、たびたび申し上げておりますように前時代的な問題が残されているという形じゃまずいわけでござざいます。どうか早い解決を要望しておきたいと思います。
 次に、国鉄の財政が非常に厳しいので、新規の事業といいますか、複線電化等につきましての工事、こういったものは私どもも危惧をいたしておるわけでありますけれども、山陰本線の複線電化、福知山線の複線電化、それから奈良線の電化工事、それから今度第三セクターになりました宮古線の工事、こういった点につきまして、今日までの経過と五十八年度の計画、それからこれからの見通し等についてそれぞれお伺いをしておきたいと思います。

○半谷説明員 ただいまお話のございました山陰線京都口の複線電化、それから福知山線、山陰線にまたがります複線電化、それから奈良線の電化工事、この三件について現在私どもで工事を実施中でございますので、私からお答え申し上げたいと思います。
 国鉄の現在の状況、財政事情というのは先生御承知のとおりでございまして、設備投資につきましても当面安全の投資に重点を置いて、東北新幹線の東京乗り入れというような緊急なものを除いては極力抑制するという方針が打ち出されておりまして、五十八年度予算でも御承知のように五十七年度に比べて三千三百億円の縮減をするという形で現在予算を執行中でございます。
 私どもといたしましてはこの方針に沿って現在実施中でございますが、いま出ましたこの件名につきましてはいずれも前から計画し、現在継続実施中でございます。しかもこれらの件名は関西圏における都市交通を支える線路でございまして、鉄道の持つ特性の一つであります大量輸送、都市圏内における輸送、そういった面で鉄道の特性が十分発揮できる線というふうに私どもも判断いたしております。したがいまして、これらにつきましては極力進めていくわけでございますけれども、やはりいまのこの予算事情というものを当然考慮しながら進めざるを得ないのが実情でございまして、山陰線につきましてもあるいは福知山線につきましても、いままで考えておりました完成時期はこの予算事情によりましてずれ込まざるを得ないというのが実は偽らざる状況でございます。ただ、一時、ことし初めごろ工事を中断するような新聞記事が載ったことがございまして、地元の皆さん方から大変心配したお問い合わせも実は受けたわけでございますが、何せ三千三百億円の減というような大幅な工事費の減がありましたためにそういった憶測も出たかと思うのでありますが、現在、私どもといたしましては、貴重な工事資金でありますが、いずれもこの件名に予算をつけまして継続実施中でございます。
 山陰線につきましては用地買収は現在約五〇%まで進んできております。工事としましては保津峡を抜けますところが一番難所でございますし、工期もかかります。現在そのトンネルに着手し、幾つかあります他のトンネルにつきましても準備工事を進めているという状況でございます。電化工事につきましても、このトンネルの工事が済みませんとできませんけれども、これにあわせて今後進めていくという状況でございます。
 それから、福知山線の宝塚以北の線増電化でございますが、これは五十二年に大臣認可をいただきまして、すでに塚口―宝塚間は御承知のように五十六年四月に完成し、開業いたしておりますけれども、これ以北、篠山口までの複線化、城崎までの電化工事は現在継続実施中でございます。用地買収は大体半分ぐらい済んでおります。トンネル工事も宝塚から北に一部連檐する区間がございます。この工事は現在順調に進んでいるという状況でございます。電化工事も併行して進めているという状況であります。
 それから、奈良線電化につきましては五十七年四月、昨年四月に運輸大臣の御認可をいただきまして現在工事中でございまして、これにつきましては何とか五十九年度中に開業までもっていきたいというつもりでやっております。五十八年度の予算はいま申し上げたことでございますが、五十九年度予算というのもまた編成がなかなか大変でございますので、その状況によりましてこれが最終的に決まっていくかというふうに考えております。

○西中委員 じゃ、終わります。


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