古い資料を探していますと、面白い記事を見つけたので少しお話をしてみたいと思います。
それは、京都駅が現在の在来線と併設という選択肢以外に二つの検討案があったそうです。
参照したのは、 交通技術昭和37年6月号の記事です。
これによりますと、現在線並びに他の都市交通機関との連絡や駅の環境・用地取得・工事費などの角度からみて、次の3地点が候補地にあがったと書かれています。
1)現京都駅裏側に併設する(併設案)
2)新幹ルートを現東海道線の約2km南方に移し、新駅を奈良線稲荷駅北方附近に設置する(南案)
3)新幹線ルートを現東海道線の約l.5km北方によせて、市内五条通に通し、新駅を五条烏丸附近に設置する (北案)
が検討されたそうです。
それぞれのメリットデメリットを上げていきますと、
1)案は国鉄各線、奈良電鉄(当時は近鉄ではなく、奈良電鉄)並びに市電・バスなどの接続に有利であり、京都始発の山陽・九州方面の列車と直接接続できるほか、駅前広場を新たに造成する必要が無い。その反面駅前後の取り付けルートは旧市街地を通るので用地取得は難しいと書かれています。
2)案は、用地取得は比較的容易で、線路延長も短く工事費も安いが、東海道線との接続には奈良線を経由しなくてはならず、他の市内交通機関との連絡に不便であることが一番のデメリット
3)案は、京都の中心部に到達できることが一番魅力であり明治期にも東海道線を乗り入れさせる案がありながら立ち消えになった経路であり国鉄としてもそのメリットを、新駅は都心駅となるのが一番に魅力と語っています。
ただし、連絡は市内交通機関のみとなり当時であれば、バス並びに路面電車だけとなりましょうか。また、地下鉄道となるため工事費がかなり高額になる事が懸念材料とされました。
最終的には併設案に落ちつき、駅構内にあった客車留置施設は向日町に移すことになったそうで、京都駅併設に際して駅構内の一部を改修したと記されています。
なお、
昭和35年当時の航空写真を見ますと客車などを留置している線路の様子がよくわかります。
基本構想では、構内配線は上下各線とも着発線l線・待避線l線とし島式乗降場〔幅員
11mx長さ330m〔将来430m)〕2面とした。
駅用地は奈良線のホーム増設・現在線高架化の際の切替工事の可能性を残して、構内18番線線路敷までを充当し、なお路盤幅の不足(約12m)は裏駅側の道路敷の上空使用で解決した。
支障する機関車留置線などは、構内東部附近に移し、客車留置線は向日町客操に移すことになった。
高倉通の市電軌道は新幹線高架下を地平でくぐるよう在来の跨線橋南橋台よりアプローチの取付替を行なう。
昭和35年頃の航空写真
昭和49年頃の航空写真
当初の予想どおり、駅前後の取り付けルートはに関する用地買収ははかなり困難を極めたと記録に残されています。
NEVER まとめ、
日本国有鉄道史 高速鉄道の可能性を求めて もご参照ください。
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