餘部橋梁物語、その後 第5話
> やがて、親方率いる一団はそんなに広くない女将の店に入っていくのでした。
> そして、猫尾はそこであるものを見てしまうのですが・・・。
>
> その辺のお話はまた次回にいたしましょう。
親方は人夫を含め8名ほど引き連れて女将の店に入っていきます。
10人も入れば満員御礼の小さなお店は、もう貸し切り状態
おー、女将、酒をだしてくれ・・・。
今日は俺のおごりだから、・・・相変わらず威勢のいい親方です。
「あら、いらっしゃい、親方・・・。」
「あらあら、たくさんのお客さん、今日は貸し切りの看板上げておかなくちゃね。」
女将がうれしそうに笑います。
女将の陰に隠れていましたが、いとこの孝が包丁を握っています。
世話になったお礼にと今日だけお手伝いをしていたのですが・・・。
猫尾にしてみれば大事件ですよね。
猫尾は、朝のことがあったのでまだ迷っていました。
店の中から親方の声がします。
「猫、猫、はやっく入ってこい。」
親方の野太い声が響きます。
仕方なく猫尾は暖簾をくぐり店に入っていきました。
さほど広くない店ではカウンターはほぼ埋まり親方の隣だけがぽつんと空いています。
猫、ここで座れ・・・。
親方は猫尾に横に座るように言います。
仕方なく横に座る猫尾、女将が愛想笑いを浮かべながら
「猫さん久しぶりね。」
「今日ね、駅に汽車が着くのを出迎えたのよ。」
笑いながら女将が猫尾に話しかけます。
猫尾はちらっと女将の顔を見ると、女将の後ろに孝が立っていました。
猫尾はもちろん孝のことを知りませんから、きっと女将の新しい旦那だと勘違いしたのです。
猫尾は「女将・・・」とここまで口に出かけたのですが、そのまま口ごもってしまうのでした。
女将はそんな猫尾に気付いたのか気付かないのかそのまま。親方に話しかけます。
「親方、熱燗でいいかい?」
「おう、熱燗で頼むわ。お銚子6本取りあえずつけてくれ・・・。」
女将が孝に燗をするように頼みます。
「孝ちゃん、熱燗お願いね。」
それを聞いた猫尾は勝手に、女将の新しい旦那と親しいんだと勝手に思い込んで落ち込んでしまいます。
女将はそんな猫尾には気づかず、小鉢を出していきます。
そろそろ、熱燗も上がる頃でしょうか。
何本かまとめて女将が親方に徳利を渡します。
厨房では孝が忙しそうに働いています。
ちらちらと見える孝に、親方も勝手に女将の新しい旦那だと思っていました。
ある程度酔いも回ってきたころ、親方が女将に聞いています。
「女将、どこで良い旦那見つけて来たんだい?」
女将は、何のことかさっぱりわからないと言う顔をしています。
今度は、武井が女将に聞きます。
「奥で働いている男は女将の旦那なんだろう?」
そう言われて、大笑いする女将
「何言ってるんだい。孝ちゃんは旦那じゃないわよ。」
「私の母方の親せきで、汽車が通ると言うので山の中から出てきたのよ。」
「明日は帰るんだけど、今日はせっかくだからお店手伝ってもらったのよ。」
女将は屈託ない笑顔で答えます。
「本当に旦那じゃないかぇ。」
武井が聞き返します。
「そうか、俺、女将と夫婦になろうかな・・・。」
冗談とも本気ともつかない武井の発言にやきもきする猫尾でした。
内心では、女将の旦那では無かったと、安堵するとともに、武井が女将に言い寄ったことにちょっと嫉妬の心を持ったのです・・・・。
そんな嫉妬の目を向ける猫尾の姿を意外と女将は見ていたのです・・・。
しかし、女心に疎い猫尾はそんなことに気付くすべもありません。
朝見かけた男は女将の旦那では無かったけれど、今度は武井が・・・・あいつは口が上手いからなぁ。
そんな中で猫尾は武井の動きばかり気になって酒を飲むどころではありません。
武井が女将に話かけるたびに気になって仕方がないのです。
ああ、ここでも気の毒な猫尾は一難去ってまた一難
二人の恋はどこに向かって進むのでしょうか・・・。
この続きはまた後程語りたいと思います。
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> やがて、親方率いる一団はそんなに広くない女将の店に入っていくのでした。
> そして、猫尾はそこであるものを見てしまうのですが・・・。
>
> その辺のお話はまた次回にいたしましょう。
親方は人夫を含め8名ほど引き連れて女将の店に入っていきます。
10人も入れば満員御礼の小さなお店は、もう貸し切り状態
おー、女将、酒をだしてくれ・・・。
今日は俺のおごりだから、・・・相変わらず威勢のいい親方です。
「あら、いらっしゃい、親方・・・。」
「あらあら、たくさんのお客さん、今日は貸し切りの看板上げておかなくちゃね。」
女将がうれしそうに笑います。
女将の陰に隠れていましたが、いとこの孝が包丁を握っています。
世話になったお礼にと今日だけお手伝いをしていたのですが・・・。
猫尾にしてみれば大事件ですよね。
猫尾は、朝のことがあったのでまだ迷っていました。
店の中から親方の声がします。
「猫、猫、はやっく入ってこい。」
親方の野太い声が響きます。
仕方なく猫尾は暖簾をくぐり店に入っていきました。
さほど広くない店ではカウンターはほぼ埋まり親方の隣だけがぽつんと空いています。
猫、ここで座れ・・・。
親方は猫尾に横に座るように言います。
仕方なく横に座る猫尾、女将が愛想笑いを浮かべながら
「猫さん久しぶりね。」
「今日ね、駅に汽車が着くのを出迎えたのよ。」
笑いながら女将が猫尾に話しかけます。
猫尾はちらっと女将の顔を見ると、女将の後ろに孝が立っていました。
猫尾はもちろん孝のことを知りませんから、きっと女将の新しい旦那だと勘違いしたのです。
猫尾は「女将・・・」とここまで口に出かけたのですが、そのまま口ごもってしまうのでした。
女将はそんな猫尾に気付いたのか気付かないのかそのまま。親方に話しかけます。
「親方、熱燗でいいかい?」
「おう、熱燗で頼むわ。お銚子6本取りあえずつけてくれ・・・。」
女将が孝に燗をするように頼みます。
「孝ちゃん、熱燗お願いね。」
それを聞いた猫尾は勝手に、女将の新しい旦那と親しいんだと勝手に思い込んで落ち込んでしまいます。
女将はそんな猫尾には気づかず、小鉢を出していきます。
そろそろ、熱燗も上がる頃でしょうか。
何本かまとめて女将が親方に徳利を渡します。
厨房では孝が忙しそうに働いています。
ちらちらと見える孝に、親方も勝手に女将の新しい旦那だと思っていました。
ある程度酔いも回ってきたころ、親方が女将に聞いています。
「女将、どこで良い旦那見つけて来たんだい?」
女将は、何のことかさっぱりわからないと言う顔をしています。
今度は、武井が女将に聞きます。
「奥で働いている男は女将の旦那なんだろう?」
そう言われて、大笑いする女将
「何言ってるんだい。孝ちゃんは旦那じゃないわよ。」
「私の母方の親せきで、汽車が通ると言うので山の中から出てきたのよ。」
「明日は帰るんだけど、今日はせっかくだからお店手伝ってもらったのよ。」
女将は屈託ない笑顔で答えます。
「本当に旦那じゃないかぇ。」
武井が聞き返します。
「そうか、俺、女将と夫婦になろうかな・・・。」
冗談とも本気ともつかない武井の発言にやきもきする猫尾でした。
内心では、女将の旦那では無かったと、安堵するとともに、武井が女将に言い寄ったことにちょっと嫉妬の心を持ったのです・・・・。
そんな嫉妬の目を向ける猫尾の姿を意外と女将は見ていたのです・・・。
しかし、女心に疎い猫尾はそんなことに気付くすべもありません。
朝見かけた男は女将の旦那では無かったけれど、今度は武井が・・・・あいつは口が上手いからなぁ。
そんな中で猫尾は武井の動きばかり気になって酒を飲むどころではありません。
武井が女将に話かけるたびに気になって仕方がないのです。
ああ、ここでも気の毒な猫尾は一難去ってまた一難
二人の恋はどこに向かって進むのでしょうか・・・。
この続きはまた後程語りたいと思います。
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