まんじゅうのつぶやき

まんじゅうです。読んだ本の感想や日々のできごとの忘備録です。最近栖が変わりました。

「ペテロの葬列」宮部みゆき

2014-10-13 22:40:50 | 読書のすすめ
今日は先ほどから雨風が強くなってきました。
皆様いかがですか?

さて 宮部みゆきの「ペテロの葬列」を読みました。

ペテロの葬列
宮部 みゆき
集英社



小泉孝太郎主演のドラマの原作です。

今多コンツェルンの会長の娘婿である杉村三郎。
結婚のときに義父に勤めていた出版社を辞めて
自分の傘下の広報室に入ることを条件とされた。
出世はないのでそういう野望も捨てろと念を押された。
彼はそれに従った。

この本は「誰か」「名もなき毒」に続く第三作である。

杉村は前作で事件に巻き込まれ、探偵のようなことをする羽目になる。
今回は、仕事での出張先で偶然バスジャックに巻き込まれる。
暮木一光と名乗るバスジャック犯は、杉村ら人質をたてに取り
三人の人間を捜せと要求する。
一方で暮木は、杉村たちに慰謝料を払うと言い出す。
杉村は、暮木の弁舌にコントロールされていると感じ
そのあまりの達者さに違和感を感じる。
事件は警察の突入と暮木の自殺で幕を閉じる。

しかし、その後暮木が言っていた慰謝料が本当に人質たちのもとに送られてきた。
受け取るべきかどうか迷う人々。
杉村達は、それを判断するために事件の真相を調べ始めるが・・・・



ドラマ化するという話を聞くよりはるか前に予約したのに
手元に来たのは、ドラマが完全に終わってからでした。

ああ。なんだかなあ。

読みながら、ドラマの復習かい・・と自分で突っ込みを入れていた。

ドラマ自体も出来は悪くないのだが、多少納得できないこともあり、
それは読んだことにより解消できました。

ドラマはかなり原作に忠実である。
しかし、一分演出の関係かいじったところがあって、
そこが腑に落ちなかったのであった。

大筋が分かってから読んだ残念巻はつきまとったものの、面白かったです。
さすがですね。

特に心に残ったのは次の記述。
この作品には詐欺師が登場するのだが彼を評した人間に対しての杉村の感想。
『「真ん中がないんだよ。からっぽか、みっしりか。
 そうでないとあんなふうに人を騙すことなんてできなような気がする。」
言い換えるならばそれは、<自分がない>か<自分しかない>ということではないか。』

誰だって多かれ少なかれ罪を犯すことはある。

世の中は単純に悪人と善人では分けられない。
人を簡単にだませる人間でも、自分自身を騙すことは難しい。
しかし・・・そこを鋭くえぐる本書。お勧めです。

いがぐりおは 善人そうだよね?
いがぐりおをクリックしていただけると嬉しいです。いつもありがとうございます。^^/
人気ブログランキングへ

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする