まんじゅうのつぶやき

まんじゅうです。読んだ本の感想や日々のできごとの忘備録です。最近栖が変わりました。

「昨夜のカレー、明日のパン」木皿泉

2013-04-26 21:03:56 | 読書のすすめ
今日は 不安定なお天気でしたね。
群馬県は竜巻注意報が出たり 雹が降ったりしたみたいです。
仕事を終えて家に帰ると 寒い・・・

耳が弱いので気圧が急激に変わると 飛行機に乗ったときみたいな感じになるので分かります。(特技?)

さて 木皿泉の「昨夜のカレー、明日のパン」を読みました。
あの 名作ドラマ「すいか」や「Q10」の脚本家である木皿さんの初の小説です。

昨夜のカレー、明日のパン
木皿 泉
河出書房新社


結婚して2年目で夫 一樹を喪ったテツコと ギフ(義父)の同居生活を軸とした物語です。
義父は『ギフ』と呼ばれていて 気象予報士です。

血もつながってなければ 夫婦でもない。
二人をつなぐ一樹も亡くなって5年経つ。
そんな二人が お互い暗黙のルールを守って
互いを縛りすぎず かといって離れすぎずの奇妙な家族関係を続けていく。



懐かしいような どこか寂しいような それでいて幸せな気持ちになる 木皿ワールド全開ですね。

孫がいるわけでもないのに この二人が 一緒に生活していることがファンジーかもしれません。

テツコはテツコで ギフはギフで それぞれ自分の人生を生きていて
でも 一緒に過ごす時間もある。

テツコの恋人?(プロポーズまでした)岩井さんや 一樹の従弟の虎尾 一樹の幼馴染のタカラ
テツコの知り合いで山ガールの「師匠」などが 登場する。

そして 最後は一樹とテツコの出会いで終わる。

一つ一つのエピソードが良くて まるで 良質なドラマを見ているみたい。

さすが 木皿泉ですね。

登場人物の考えることやセリフにもうならされました。

一樹の幼馴染のタカラが 死期の近い一樹を見舞いに行った時 病院の廊下を歩きながら思う。
「病院には治る人と治らない人の二種類しかいない、ということに気付いた。
 死に向かっている人と、生に向かっている人の間は、非情にもくっきりと線引きされている。
 なのに、みんな、のどかに、待合室で缶コーヒーなんかを飲んだりしている。」

姑が癌の末期で入院していた時 私は病院に行くのが本当に嫌でした。
姑にも舅にも申し訳なかったけれど あそこに行くと生気を奪われる気がしました。
癌センターだったし 姑のいた病室は 末期の方ばかりで(最期は個室でしたが)
死に直結している場所でした。

娘が幼かったのと仕事を言い訳にできるだけ 近づきたくなかったです。
今思うと 根性無しだなあと自分が情けないんですが・・・

私たちが病院に見舞いに行くと 舅は必ず飲み物をご馳走してくれました。
元気なうちは姑も飲み物コーナーに一緒に来てくれましたが 途中から来られなくなりました。
それなのに 缶コーヒーやジュースを飲んでいる私たちにすごい違和感を感じました。

だから タカラが感じた思いはすごくよくわかるのです。


それから 個人的にはギフと 一樹の母 夕子の結婚までのエピソードが特に好きです。
ギフと夕子は 見合いをするのです。
最初は 家付き 親兄弟なしのギフを 優良物件とばかりに勧めるテツコの母ですが
夕子とギフの相性を占い師に見てもらうと態度を一変。
「あの人自身はね、とても丈夫な人なんだって。でもその分、周りの人がね、早く亡くなるっていうのよ。」

強い母の反対で 無理やり縁談の断りを入れられてしまい一度は諦めた夕子が なぜギフと結婚することになるのか。

乞うご期待です。

木皿泉ファンには 宝箱みたいな小説です。
が 木皿泉ファン以外の方もきっとご満足いただけると思います。

木皿さんのドラマを見たり この本を読んで思うのは 
「いろんなつらいことや苦しいことがあるのに 人生は捨てたもんじゃないって思える瞬間があるということ」
を木皿さんが良く理解して表現できる人だということです。

きっと 木皿さんたちご自身がそういう人生を歩んでおられれるのだろうなあと思います。

超お勧めです。
ぜひ ご一読を!

いがぐりおは 木皿泉好き?
いがぐりおをクリックしていただけると嬉しいです。いつもありがとうございます。^^/
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2 コメント

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Unknown (ブタフィーヌ)
2013-04-27 15:48:12
まんじゅうさんの感想を読んでいると、私もますます読んでみたくなりました^^
帰国したら、本屋さんへ直行しようかしら(笑)
返信する
ブタフィーヌさんへ (まんじゅう)
2013-04-27 21:50:23
こんばんは。

そんな風に言っていただけると嬉しいです。
お勧めなので 機会がありましたら 読んでみてください。^^
返信する

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