欧米の軍需産業が「ウクライナ特需」で活況を呈しています。欧米などからのウクライナへの武器供与によるものです。米議会は5月10日に総額400億ドル以上のウクライナに対する追加支援を承認しました。これまでの額の倍以上になると言われています。
戦後、米国は世界の盟主として各地の紛争に介入、戦争特需を景気喚起の特効薬として巧みに利用してきました。イラク戦争は、国際連合の承認なしの侵攻でした。そして採油権を握りました。
ロシアのウクライナ侵攻で、米国のとってきた態度は不穏です。昨年末、ロシアの「ウクライナ侵攻」の危機を盛んに報じていたのに、12月にバイデン大統領は「もしロシアがウクライナに侵攻しても、米国が出兵することは無い」と断じました。これがプーチンの侵攻実行の最終決断を促したと言われています。そしてウクライナ軍事兵器支援には積極的に動いていますが、停戦和平の仲介に動いたことはありません。武器供与だけで米国は手を汚すことなく、戦争を仕掛けたのと同じ経済効果が得られているのです。プーチンは米国の策略にはまったのではと思わず疑ってしまいます。
「武器を扱う商人」が政治を動かす構図は、米国の学校やスーパーで続いている「銃乱射事件」でも、うかがい知ることができます。事件が起こる度に「銃規制法案」が提起されますが、選挙に大きな影響力を持つ「全米最強のロビイスト」と呼ばれる「全米ライフル協会」が強力に反対し、制定できずに終わっています。人の命より、金儲けや趣味が優先されている証です。
「ウクライナ特需」は、米軍需産業と提携する日本の兵器関連会社にも恩恵があることを忘れてはなりません。
政府は「ウクライナ支援」で、自衛隊の防弾チョッキやヘルメットなどの防衛装備品を無償供与することを決めました。日本は長く「日本国憲法の平和理念である平和国家」として、武器輸出を全面禁止する「武器輸出三原則」を国是としてきました。しかし安倍政権が2014年、この原則を撤廃し「防衛装備移転三原則」を閣議決定。武器輸出に道を開きました。岸田首相は訪日したバイデン大統領との会談で「防衛費の相当の増額」に合意し、GDPの2%を目指すと国会で発言しました。安倍前首相や好戦議員達が要求していたものです。この装備増強の目的に、何かと足かせになる「平和憲法」を変えようというのが彼らの本音とみるべきでしょう。兵器産業を支援したい彼らはどうしても「戦争のできる国」にしたいのでしょう。彼らが叫ぶ「平和」を守る「日本を守る」は、体のいい絵空ごとに聞こえます。武器を扱う軍需企業は、次の機会を求めてその消費を催促してきます。一番いいのは戦争が起きることです。そして多くの罪のない人が被害にあいます。
兵器、防衛装備品等の販売額(TBS NEWS DIG 2022.6.05「ウクライナはいま“兵器の見本市”に…戦争で“太る”人たち「戦争は軍需産業の在庫一掃セール」か【報道1930】から)
① アメリカ 約36兆5000億円
② 中国 約8兆5000億円
③ イギリス 約4兆8000億円
④ ロシア 約3兆4000億円
⑤ フランス 約3兆2000億円
⑥ 日本 約1兆3000億円
日本が戦後77年「平和」で来られたのは『平和憲法』を保持してきたからだと改めて確認しています。
<日本国憲法>
前文
日本国民は正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民と協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基づくものである。われらはこれに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。われらは全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和の内に生存する権利を有することを確認する。
われらは、いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけて、全力をあげて崇高な理想と目的を達成することを誓う。
第二章 戦争の放棄
第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
② 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。