前回述べた「台湾有事日米共同作戦案」の続きです。
自衛隊と米軍が、湾有事を想定して南西諸島に米軍の軍事拠点を設ける日米の新たな共同作戦計画。その内容は、昨年12月に話題となった安倍前首相の「台湾有事」発言とオーバーラップします。 彼がBS番組で「台湾で何か有事があれば『重要影響事態』になるのは間違いない。米艦に攻撃があれば、集団的自衛権の行使もできる『存立危機事態』となる可能性がある」と発言していました。日本周辺の脅威を煽っています。
私が沖縄の石垣島を訪れた時、ガイドさんから「自衛隊の基地」が建設された」と聞き「どうして、反対は起きなかったの?」と聞くと、「中国が攻めてくるといけないからと、皆な賛成した」といいます。私が「軍事基地があれば、攻撃目標にされもっと危険になるのに」というと彼は驚いた顔をしていました。 宮古島では市長が誘致に動き建設されたそうですが、そこで汚職が発覚して昨年の市長選挙ではオール沖縄の候補に敗れました。しかし、自衛隊はミサイル基地を建設しミサイルなど弾薬の搬入を強行しました。そのため住民は「ミサイルでは平和はつくれない」と反対運動を起こしています。
沖縄本島の自衛隊基地のほか、近年南西諸島の奄美大島、宮古島、石垣島の島々にミサイル基地が設置されてきている。また、与那国では電子戦部隊、鹿児島県種子島沖の馬毛島では米軍も使用する新たな基地が計画されている。いってみれば、中国との対戦準備がどんどん進められ、一つ間違えれば南西諸島でミサイル合戦が展開され、多くの一般島民の犠牲者が出るということです。 有事備え、容易に新基地が作れるよう「土地規制法」が成立されたことも忘れてはなりません。
国民がコロナ禍に気を取られているうちに、日本は「戦争する国」にどんどん進んでいます。「改憲」が成立すれば、国家専制政治の始まりです。昨年の総選挙の結果は、「戦争を進める人達」にとって大チャンスになりました。
今年の参議院選挙で野党が一緒になって自公政権に打撃を与えることができるか正念場です。
新しい年に入りました。しかし「おめでとう」の気分になれません。 年末の次の記事が気になっているのです。
琉球新報 社説(12/25日) 台湾有事日米共同作戦 「軍の暴走」は認められない
軍隊のいた島々が戦場になり住民の4分の1が命を落とした沖縄戦。その悲劇が再び繰り返されるのだろうか。
自衛隊と米軍が、湾有事を想定して南西諸島に米軍の軍事拠点を設ける日米の新たな共同作戦計画の原案を策定したことが明らかになった。年明けに開催が見込まれる日米安全保障協議委員会(2プラス2)で正式な計画への作業開始を合意する見通しという。南西諸島を戦場にする計画など、断じて認めることはできない。
住民はもとより国会も国民も無視して戦争準備を進めるこの事態は、「軍部暴走」の再来と言うべきではないか。自衛隊に対するシビリアン・コントロール(文民統制)を機能不全にさせる暴挙である。
米海兵隊は、小規模の部隊を敵ミサイルの射程圏内にある複数の離島に展開して攻撃拠点を確保し、味方艦艇の行動を支援する「遠征前方基地作戦(EABO)」を採用し、訓練を続けている。中国の高性能ミサイルに対抗するため従来の、敵の眼前に大規模部隊を強襲上陸させるという考え方を見直したのである。
自衛隊はEABOに基づく共同作戦を将来のものと考えていたが、台湾有事への危機感を募らせた米軍が今回、策定へと押し切ったようだ。
台湾有事が起きれば米軍が台湾軍を支援するため、米軍基地が集中する沖縄が巻き込まれる可能性は元々指摘されてきた。しかし、自国が攻撃されなくても戦争に参加する集団的自衛権を、安全保障関連法に基づき行使し自衛隊が後方支援などを行えば、必然的に自衛隊基地も攻撃対象となる。さらに、共同作戦計画が策定されるとなれば、戦場化は目の前に迫った危機と言わざるを得ない。
米軍の拠点を新たに設けるには土地使用や国民保護の法整備が必要になるが、離島での住民保護は不可能だ。自衛隊制服組幹部は「申し訳ないが、自衛隊に住民を避難させる余力はないだろう。自治体にやってもらうしかない」と吐露した。第32軍司令部の神直道航空参謀は戦後、「軍隊は敵のせん滅が役目。住民を守ることは作戦に入っていなかった。住民は大事だが作戦にとっては足かせになる。純粋に軍事的立場からは住民を守るゆとりはない」と述べている。「軍隊は住民を守らない」が沖縄戦の教訓だ。
「南西諸島を絶対に戦場にさせない県民の会」(仮称)の準備会が24日、発足した。住民の生命、財産を守るため日米共同作戦計画を阻止する、幅広い全国的な運動となることを期待する。沖縄県政にとっても、自衛隊も一体となって沖縄を戦場にしようとする計画を阻止することは、喫緊の重大課題になる。
そもそも他国の戦争への介入は明らかな憲法違反であり、自国を戦場にする愚を犯してはならない。日本政府は、有事を起こさせない真剣な外交に全力を傾注すべきだ。 ~~~~
1960年に発効した「(新)日米安保条約」と「日米地位協定」によって、有事の際の日米軍事作戦で自衛隊は、米軍の指令下に置かれ行動することになっている。つまり軍事作戦は米軍の主導で展開されるため、「自衛隊は日本防衛のための軍」のはずが、実際の作戦では「日本防衛」が最優先にされるわけではないということです。上記の「台湾有事日米共同作戦」はその実像をからくも表していることです。
「日米安全保障条約」は日本を守るためのものと政府はいい、在日米軍の為に毎年2000億円余りを負担し、米軍基地や軍人、軍属、それらの家族には治外法権的に日本の法律適応を除外し、日本領域の制空権を与えてきました。しかし実際の行動作戦では米側が主導権を握り、必ずしも自衛隊が「日本を守る」ことに専念できることにはならないということです。
日本の現憲法を改訂して軍備を持てる国にする。その軍隊は米国のために血を流すこと。「改憲」を標榜する皆さん、これでいいのですか?「日米安全保障条約」がある限り日本は米国に従う国の呪縛からは逃れられません。先ずは日米安保条約を改め、それから「改憲」を論議するのが順番ではありませんか。