韓国との関係で課題になっているいわゆる「元徴用工」や「従軍慰安婦」問題。日本のマスコミでは「韓国側の無理スジ論」に立った報道が目立ちますが、どうもおかしいと思うのです。
国際問題は自国の視点ばかりでなく、相手国側の視点に立って考える必要があります。
1910年の日本による朝鮮併合から1945年の日本の敗戦まで36年間、日本の統治下にありました。
1945年、第二次大戦の反省に立ち全世界の平和構築を掲げ「国際連合」が発足しました。
1946年、日本は「新憲法」を帝国議会で可決・公布しました。「戦争放棄・平和主義」をうたう新憲法は、侵略を受けたアジアの国々から、「侵略する怖い国から、平和をめざす安心できる国に変わった」と歓迎を受けました。
ところが、東西冷戦激化で雲行きが怪しくなります。
1950年、朝鮮戦争のさなか自衛隊の前身「警察予備隊」が創設され、1952年準軍備組織の「保安隊」に改組されます。そして1954年に「自衛隊」と衣替えします。
「一切の軍備を持たない」と新憲法で規定していたのに、数年後には軍備組織を持つ国になっている。侵略の被害を受けた国々の人に「日本は本当に『侵略』を本当に反省したのだろうか?」と疑念を持たせることになります。
1955年、「憲法改正」を掲げる自由民主党が結成され、その後のほとんどの期間の政権を担当します。
韓国の元徴用工や元従軍慰安婦の方たちが「賠償」共に「日本政府の謝罪」を問題にするのは、政府間で様々な取引があったにしても、実際の被害を受けた人たちへの真正面からの「謝罪」がなされていないことに起因すると思われます。本当に反省しているのなら、条件など付けずに被害者が納得するまで謝り続けるのが普通です。彼らは日本政府に疑念を抱いているのです。
今の政府が「憲法を守らない」、「国の主人公である国民と真摯に向き合わない」、同じことが起こっているのです。
韓国の人たちと「民間平和交流」を進めていますが、その中で元従軍慰安婦の方とお話しする機会がありました。
彼女は重い口調でぽつりぽつりと自分の体験を語り出しましたが、とうとう感極まって「ヒロヒト、私の青春を返せ!」叫びました。(ヒロヒト=昭和天皇) 私は眼を閉じてただ頭を垂れるしかありませんでした。
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