「国民の命と暮らしを守る」ために「敵基地攻撃能力」を含め防衛力を抜本的に強化します。岸田首相の施政方針演説です。
これは明らかに憲法違反の表明です。
日本国憲法・・第二章 戦争の放棄<第九条> 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
日本が「敵基地攻撃能力」を保持することになれば、「防衛」どころか、むしろ戦争を煽ることになります。さらに言えば、フェイクの安倍前首相が「台湾有事」と大騒ぎをしていますが、日・米とも中国と国交を回復した時の声明で「台湾」は中国の一部と認めています。言ってみれば「台湾問題」は中国の国内問題です。問題が起きたとしても、米国や日本が一方的に武力介入できるというわけではありません。そして「有事」となれば自衛隊は米軍の指揮下に置かれ、「自衛」でない戦闘に参加することになります。
「防衛のため」を枕詞にすれば、何だって許されることになってしまいます。「敵基地攻撃能力」は明らかに「武力による威嚇」なのですから。
この命題も米軍からの意向だと推測しています。こんな大問題を、マスコミはなぜとり上げないのだろうか?
「国民の命と暮らしを守る」というのなら、
沖縄や岩国の在日米軍基地が感染源になっており、米側も認めているのに、独立国として対等の立場で交渉し、歩調を合わせた対策が実地されるように要求すべきなのに、ただお願いをするだけ。岸田首相は国会答弁で平然と「日米地位協定」の見直しを否定しています。とても我々の「命と暮らし」を第一にしているとは言えません。付け加えれば、日本は在日米軍の維持費を「思いやり予算」とかで毎年2000億円余りを負担しています。日本と同じように米軍基地のあるドイツやイタリア、韓国ではこんな負担はありません。それどころか、基地土地使用料を米軍から徴収していると言います。
「国民の命と暮らしを守る」というのなら、
何故コロナ対策が何故成り行き任せなのでしょう。感染が確認されてから2年が経つとたつというのに、オミクロン株の急速で又もや保健所はパンク状態です。医療の合理化で保健所の縮小を進めてきたのを改めることもなく、感染者は右往左往症。こんな状態でも「感染症は保健所管理」の建前にこだわり、事実上感染した人が診察や治療が受けられない状態が続出。検査体制も不十分で「検査なしで医師の診察で」とまで言い出す始末。これでは我々の命は守れません。さらに、首相は「『オミクロン株』の徹底した水際対策」と胸を張りますが、感染検査は発見率の低い抗体検査です。感染発見率、PCR検査は90%前後、抗体検査は70%程度といわれています。つまり、検査の網から漏れた保菌者が見過ごせない数いることになります。岸田首相の本気度が透けて見えます。
「国民の命と暮らしを守る」というのなら、
コロナ対策費は不十分というのに、何故か日本の防衛費予算が毎年増加され続けています。総額、2020年は約5.3兆円で世界9位。防衛庁はGDP比2%を要求していて、その総額は11兆円を超で、米国中国に次ぐ世界第三位の軍事大国をめざすことになります。国民の命より、戦闘目的の軍費に国家予算をつぎ込んでいます。そしてそれは、何かあれば我々が標的になることを意味します。
「国民の命と暮らしを守る」というのなら、
2017年の食料自給率は、生産ベースで66%、カロリーベースで38%です。米国や中国などからの輸入を止めて早急に少なくとも生産ベースで100%にすべきです。今の実情は米国の要求に合わせて穀物など大量の農産物を購入しています。新自由主義の下に、政府は「農業」までも商売の対象とする施策を進めています。米国からの農産物が農薬まみれと問題になっています。国産の牛や豚など飼育に米国から輸入された飼料が使われていますが、それも農薬に汚染されています。国際問題が発生したら食べるものが不足します。飼料を含めた農産物全てを国産にしないと「命と暮らし」は守れません。
岸田首相は国会で「国民の生命を守る」と何度も発言しています。耳に優しい言葉ですが、防衛費を除いてその外は、全く実態が伴っていません。
自ら戦争を起こし、「国難」と称して国民に「欲しがりません勝つまでは」を鼓舞し「我慢」を強いてきた戦前の政治の再来を思い危惧しています。
「国民の命と暮らしを守る」の言葉で、日本の侵略戦争が始まったことを忘れてはなりません。