政府が「防衛費倍増」の理由の一つに「ウクライナ戦争により、ドイツが軍事費をGDP2%にしたから」というのがあります。
NATOは、「軍事費のGDP2%」を目標にしてきました(NATO=北大西洋条約機構、北米2か国と欧州28か国の計30か国が加盟する政府間軍事同盟、1949年4月発足;アイスランド、アメリカ合衆国、イタリア、英国、オランダ、カナダ、デンマーク、ノルウェー、フランス、ベルギー、ポルトガル、ルクセンブルク、ギリシャ、トルコ、ドイツ、スペイン、チェコ、ハンガリー、ポーランド、エストニア、スロバキア、スロベニア、ブルガリア、ラトビア、リトアニア、ルーマニア、アルバニア、クロアチア、モンテネグロ、北マケドニア)。設立時の主たるの参加国がこれを満たしているわけではないようですが。
*参考データ・NATO加盟国の国防費の対GDP比/2022年;米国:3.47%、 英国:2.12%、ドイツ:1.44%、フランス:1.90%、 イタリア:1.54%、 カナダ:1.27%
政府の説明はいかにももっとものように聞こえますが、日本は「専守防衛」を基本にした戦力のみを保持している国(=建前では「自衛隊はいわゆる軍事組織ではない」としている)、ということがすっぽり抜けています。逆に言えば、自衛隊を普通の軍隊と捉えているということです。
安倍政権以前は、「防衛費は1%以内」で論議をしていたのが、いつの間にかこのラインを超え、2021年度は1.24%になっています。
アベノミクスでこの10年日本の経済が停滞し、その回復が容易でないと言われています。彼の残したもう一つの負の遺産が、米国のトランプ時代に大量の武器の購買を約束したことです。政府は今その支払いに困っているといいます。安倍前首相は、2016年の訪米で総額6兆7000億円に及ぶ「F35」の爆買いを決め、それ以降米国からの武器購入は増え続けています。その額は安倍政権発足前の2011年度に比べ、2019年度には16倍超の約7013億円に膨れ上がり、毎年の債務が、財政難の国の予算にさらに重荷となっているわけです。
現在論議になっている防衛費の倍増の理由の一つが、その債務支払いに充てるためだといわれています。一方で、これら米国から購入した武器は旧型のものが多く、使い物にならないとの酷評もあります。岸田政権は「敵基地攻撃能力」のためにトマホーク配備を打ち出しましたが、「40年前開発のトマホークでは日本は守れない」と批判が上がっています。
「国を守る」といいながら、政府は国土の強靭化やエネルギーや食糧の自給率アップを後回しにして、防衛力アップに走っています。掲げていることとやっていることが違う。なぜそうなるのか? 結局、米国からの要求に従っているということで、その理由説明は後づけになっていると推測しています。
そして究極は、日本国民の暮らしを犠牲にして米国を支援することを優先しているのではと・・・・・・。