菅首相が保守系月刊誌・Hanada9月号のインタビューで「コロナに打ち勝った後で、憲法改正にしっかり挑戦したい」と明言しました。5月の憲法記念日にも改憲推進団体へのメッセージでも同様の発言をしています。
6月には加藤官房長官が「コロナ禍は改憲の好機」と発言し「まごうことなき火事場泥棒」などの批判を浴びました。
自民党の世耕弘成参院幹事長は、新型コロナウイルス感染対策を巡り、「憲法上、私権の制限もありうべし、ということを議論していかなければいけない」と7月中旬の長野市での政治資金パーティーで発言しています。
話題となった西村経済再生相の金融機関を介した飲食店への圧力発言からも判るように、政権をにぎる彼らは「国民を自分たちの思い通りにしたい」ということです。コロナ禍で見るように国民のための施策をちゃんとやっていないのに。
今の日本国憲法は「国民主権、立憲主義」の理念の基にあります。立憲主義は「憲法基づいて政治を行い、政府の恣意的な権力の行使を制限し、国民の権利を守ること」です。
自民党の改正憲法案は「象徴天皇の下に政治を行使する『専制国家』を旨とし、憲法でもって国民の主権を制限する内容」になっています。今の憲法とは真逆の別のもので「憲法改正」とはとても言える内容ではありません。
戦後の保守政権は言葉巧みに国民をミスリードしてきましたが、安倍・菅政権になって一層露骨になり、言葉のすり替えや優しい言葉で国民を騙し、実際には逆の国民に不利益な内容を履行してきました。日本は大きく右傾化し、貧富の格差が広がり、人権無視の政治が広がっています。そして利権政治が大手を振るい、汚職や原発事故などの失態には頬かむり、責任をあいまいにして基本政策は改訂されず強行され続けてきています。
そんな彼らが進める「新憲法」が国民にとって良いものであるはずがありません。
第二次大戦の敗戦でようやく手に入れた「国民主権、民主主義」を手放していいのでしょうか?
国民の3割の人が「改憲」を目指す今の自民党政権を支持しているそうですが、ぜひ考えてください。戦前の様な「気軽に物の言えない社会」に戻さないことを。冷静にしっかりと事実を見て、自分たちが国の政治の主人公であることを。今の日本国憲法がそれを保証していることを。