吉川英治という小説家のことですが、 あの人とは三、四日会っただけですが、 非常によい友人になりました。 あんなに直観の働く人はめったにいない。 どんなふうな直観の働き方かというと、 人の心がわかってしまうのです。 それで私の家内は、 吉川さんくらい話しやすい人はないといいます。 そういうふうに直観が働く。 つまり相手がこういいたがっているなといち早く知って、 それがいいやすいように仕向けてくれるから、 ひどく話しやすいのです。 その吉川さんが小学校までしか行っていない。 だから、 あんな直観のよく働く人がなぜできたかというと、小学校までの教育しか受けなかったからだといえるんじゃなかろうかと思います。 実に人の心がよくわかる。 女性に、あの人は話しやすいといってほめてもらえるようなたちの直観のよく働く人になってみたいですね。
「 岡潔集 」 ( 第五巻 ) ( 情緒と日本人 125頁)
「 岡潔集 」 ( 第五巻 ) ( 情緒と日本人 125頁)
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