今日の月
昇り始め東の下の方
すっごい くっきりと まん丸で
きれいだったぁ~
そんな夜の物語をひとつ
『きれいな月の夜には不思議がつかえる』
それはとてもいい夜だった
空気も吹く風もすっきりしていて
上を向いたら きれいなまん丸なお月様
思わず声が出た
「きれいな月だなー」
すると
次の瞬間 雲の上にいた
目の前に あの まん丸な月
ちょっと近づいた月
月の光が 雲に落ちて
淡い色彩がキレイなんだな
しばらくすると
仲間がとんとんとんと やって来て
雲の上は大賑わい
そのうちのヒトリが
「こんな晩には旨い酒がいるよね」
と そのへんの雲をちょいっとつまんで
ほほいと酒瓶を作って
ぽぽんとたたいて
あっという間に 月見酒
どんな奇術か妖術か
その酒の旨い事
自分も そのへんの雲をちょっぴり千切って
こねこね丸めてへこみをつけて
ちょちょいとお猪口を作ってみたら
なかなかいい出来で
たくさん作って 皆で大宴会
そのうちツマミを作るものもあれわれて
そのどれも珍味
お酒で満たされたお猪口の中には月が写って
ああ風情だね
つぎには誰かが
雲を千切って 太鼓を作って叩き出し
他の誰かは笛を作って美しい音色
ああ 愉快
ああ 楽し
随分と月が下がってきたころに
ふいと下をみてみたら何かが光っている
遠めがねで覗いてみると
月の光が川の上できらきらと輝いて
やーきれいじゃないかと思っていると
雲の端っこがむーんと伸びて
下の川まで滑り台
それに乗ってぐんぐん滑る ぐんぐん滑る
そうして どぼーんと川の中
あはははは
なんだか笑っちゃう
そして後から後から皆も滑ってきては
皆がどぼーん 水濡れだ
あはははは
皆で笑ってしまうよね
さあ じきに太陽が昇る時刻がやってくる
そろそろ帰りにつくとしますか
なんとも奇々怪々な いい夜だった
では またね
おしまい♪