阿武山(あぶさん)と栗本軒貞国の狂歌とサンフレ昔話

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by小林じゃ

避難指示は出たけれど(mixi日記より転載)

2018-07-16 16:06:27 | 日記

忘備録としてmixi日記に書いたものを転載。

 

今回の水害、県内の死者数は4年前の土砂災害を超えてしまったようだ。4年前と違って今回は5日あたりには既に記録的な大雨が予想されていて、6日の夕刻以降避難指示もあちこちで出ていた。それにもかかわらず死者が増えてしまった。あれだけの雨が降れば、まさ土(劣化した花崗岩)が多い広島の山があちこちで崩れるのは仕方ない。その上で人的被害を減らすとなれば避難するしかないのだが、実際は避難しない人が多かったようだ。実は我が家も避難指示が出ていたにもかかわらず避難しなかった。次回のため忘れないうちにその経過を書き残しておきたい。 


 我が家は安佐北区深川(ふかわ)という住所になるのだが、太田川の支流三篠川(みささがわ)沿いにあって、広島市のハザードマップでは土砂災害の赤色ではなく浸水想定区域の水色が塗られている。今回予報通りの雨が降れば危ないということは認識していて、6日の午後は早めにご飯炊いて風呂も水を張って水のくみ置きもした。雨は激しくなり、ネットでモニターできる中深川(なかふかわ)水位局の値は消防団待機水位(2メートル)はあっという間に超えて16時にははん濫注意水位(2、8メートル)、16時半には避難判断水位(3メートル)を超えた。そして、17時には氾濫危険水位(3、3メートル)を超過して避難勧告が出た。 

 ここで避難を検討しないといけなくなったのだが、洪水の場合は高台に逃げたい。しかし、この時点では土砂災害ではなくて浸水のため、私が考えていた丘の上の高陽団地の亀崎小学校などは対象区域外で避難所になっておらず学区内で低地の深川小学校のみだった。深川小のあたりには奥迫川という小さな支流が流れていてよく水があふれる。昭和40年6月の大水害では中深川地区からあふれた水が我が家がある下深川(しもふかわ)地区に流れてきて浸水したが、これまでは中深川だけ浸水することの方が多かった。深川小の3階の教室を避難所にあてるということだったが、先に水につかるところに避難というのは気が進まない。うちには85歳と83歳の両親がいて、避難するなら早く決断しないといけない。母は最近入院した時に初めて携帯を持って、今回緊急メールで携帯が鳴りっぱなしだったのだけど内容は理解していない。もう一段階上の避難指示が出たら逃げないといけないということを説明して避難所は今のところ深川小だけと言ったら、深川小なら自宅の2階でやり過ごすと口をそろえた。高齢の両親にとって体育館みたいなところで過ごすのは体調面の心配もある。ここは両親の考えに従うことにしようと決めてまもなく18時過ぎに避難指示が出た。避難指示というのはかならず逃げないといけないはずだが、別に何も言ってこない。あるいは町内会のアナウンスがあったのかもしれないが、激しい雨だと聞こえない。避難指示が出たらもっとうるさく逃げろと言ってくるのかと思っていたが全然そんなことはなかった。 

 そのあと19時過ぎに避難所の追加があって安佐北区スポーツセンターにも避難できるようになった。しかし、ここも低地で三篠川、根谷川(ねのたにがわ)の合流地点にあって根谷川も水位が高くなっている。この時すでに父は横になっていて、母はやはりスポーツセンターも危ないという。19時半ごろから矢口方面で泥水が危険とのツイートが見られるようになる。20時ごろ自治会から電話があって、公式な避難所ではないが地区の集会所の2階を開放しているとのことだった。これがこの夜地域コミュニティからの唯一の情報伝達だった。20時過ぎから矢口、口田南地区の被害がテレビに映るようになり、20時半には安佐北区全域に避難指示が出された。これで丘の上の亀崎小も避難所になったのだけど、被害が出始めた今から移動するリスクも大きい。もはや当初の予定通り家に留まるしかないと思った。 

 三篠川の水位は上がり続け、氾濫危険水位の3、3メートルを大きく上回り、21時には5メートルに達した。これはさすがにやばいと氾濫を覚悟、やはり避難しておくべきだったと後悔した。ところがそのあと22時過ぎから水位は上がらなくなり、日付が変わった頃に4メートルまで一気に下がった。これは中深川地区で奥迫川が氾濫して三篠川に水が入らなくなったせいかもしれない。25時頃にはテレビが中深川交差点あたりで中継して深川小には避難できないと言っていた。深川小は1メートルを超えて浸水したそうだ。このアナウンスは下深川地区でもされたそうだけど、やはり聞こえていない。 


 三篠川はかろうじて持ちこたえて、うちのあたりは浸水しなかった。しかし、かなり危ない橋を渡った。避難しなかったのが正解とは、もちろん言えない。近所の人の中には車を丘の上の団地の商業施設に停めて車の中で寝たという一家もあった。この一週間で聞いた中では、これが正解というか、とりあえず明るいうちに車で丘の上に行くべきではなかったかと思う。行政には最初から丘の上の避難所を一つ開けてほしかったとは思うけれども。最後に、これは深川学区だけの話ではなくて、被害が大きかった口田南地区においても、被害があった住宅よりも避難所になっている口田小学校が浸水しやすい場所に建っていたというツイートがあったことは付け加えておきたい。 

 避難所に行くというのは、思った以上に心理的なハードルがあったと思う。広島人の防災意識が足りないのはその通りかもしれない。しかし、避難へのハードルを取り除く努力は行政側にもお願いしたいと思う。


【追記】

8月17日の中国新聞の記事、【西日本豪雨】広島市避難指示、3・4%行動 対象地域の住民、によると、

「最高は安佐北区亀崎で34・1%だったが、自治連合会によると、増水した三篠川沿いの深川学区から高台の亀崎学区に逃げた人が大半を占め、地元住民はほとんどいなかったという。」

とあり、みんな考えることは一緒だと思った。上述の通り亀崎小が避難所になったのは7月6日の20時を過ぎていたと私は認識していて(広島市の緊急メールの不調で知ったのはテレビで20時28分ごろであったが、実際は20時2分だったようだ)、その時点での移動はリスクがあると判断した。学区にこだわらず、丘の上の避難所も明るいうちに一つ開けてほしかったと重ねて書いておきたい。その後の西進する台風の時には深川小でなく高陽中が避難所となった。しかし高陽中も谷がちょっと不安でやはり自宅より危ないところに逃げるという感覚に変わりはなかった。その時も亀崎小を早くに開けてほしいと思った。

 

【さらに追記】

8月23日、自治会から災害時の準備と題した紙が配られた。それによると、

①亀崎小学校(避難準備の段階で開放)
②地区の集会所 高齢者等の一時避難所→亀崎小に車で輸送
③やむを得ず家にとどまる場合 2階以上に避難

と最初から学区外の亀崎小が避難所となっており、これまで書いてきたことが反映された形になった。亀崎の方にはご迷惑をかけるが、これはありがたいことだった。もうこのような災害は起こってほしくないけれど、次回は両親を説得して亀崎小に避難したいと思う。

【しかしながら追記】

ところが上記通知が来た同じ8月23日17時19分、台風の接近にともない安佐北区の避難場所の開設のメールが広島市から来た。それによると、

現在、安佐北区の一部の区域(井原小学校区の三篠川から以東(神ノ倉山側)の中束地区、沼地区及び口田小学校区の口田南三丁目、口田南五丁目)を除き避難勧告等は発令していませんが、特に先日の豪雨で大きな被害が発生した次の区域については、避難場所を開設します。

【対象区域】
井原、高南、三田、狩小川、深川、口田小学校区の土砂災害危険箇所等及び浸水洪水想定区域

【開設する避難場所】
井原小学校、高南小学校、三田小学校、狩小川小学校、高陽中学校、口田小学校
(※深川小学校区については、深川小学校から高陽中学校に変更しています。)

とあり、深川学区の避難所は同じ学区の高陽中とあって亀崎小には避難できそうにない。まだこれ以上のことはわからないが、ふりだしに戻った感じだ。

【もう一度追記】

ひとつはっきりしないことがあって、それは7月6日の20時28分、私は「安佐北区全域に避難指示」とツイートしている。これはNHKのテレビ画面に出て、またアナウンサーも同じ文面を読んだのだけど、これは安佐北区民全員避難しろ、ということだったのかどうか。この時間、広島市の緊急メールの不調が後に報じられていて、これに該当するメールは来ていない。後の報道で安佐北区に避難指示が出たとされるのは20時2分、この時はメールがきている。それによると、

「安佐北区災害対策本部から避難指示≪緊急≫の発令についてお知らせします。 【対象区域】 安佐北区内の全小学校区の土砂災害危険箇所等」

とあって、全員ではない。しかし、この内容を20分以上後にNHKが報じるだろうか。当時テレビはずっと災害情報を流していて、そんなに遅れるとは思えない。20時2分とは別に避難指示が出たのではないかと思うが、ここが確認できないでいる。広範囲かつ素早く避難指示を出せば避難につながるとは私は思わない。防災意識や避難所環境の向上に加えて、避難情報の精度を上げる努力が必要だと思っている。「全域に避難指示」が区民全員であったならば、それはどういう意味であったのか。あとで文句を言われないためか、被害が出始めていてお手上げ状態だったのか、それとも別に理由があったのか、検証が待たれるところだ。



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