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【エチカ福島】一人称で語る会

2024-10-05 | 〈3.11〉系


【語り手】髙橋洋充
【日時】2024年11月4日(月・祝)14:00~16:00
【会場】如春荘
【定員】10名程度 
    ※要参加申込(メッセージからお申し込み下さい)
【参加費】無料 


この度「一人称で語る会」を開催させていただきます。
「一人称」とは主語が「私」で語ることであり、つまり自分から見た経験を語っていただくことです。
一口に自分の経験といっても、実はふり返って熟考すればするほど、その意味は変容したり、わからなくなったりするものです。
しかも、それは他者の問いかけや言葉によって気づかされることもあります。
昨今、当事者研究という分野が広がりを見せてますが、その手法に近いものかもしれません。
その草分け的存在である向谷地生良さんは、その活動の始まりについて次のように述べています。
「当事者研究は、統合失調症や依存症などの精神障害を持ちながら暮らす中で見出した生きづらさや体験(いわゆる“問題”や苦労、成功体験)を持ち寄り、それを研究テーマとして再構成し、背景にある事がらや経験、意味等を見極め、自分らしいユニークな発想で、仲間や関係者と一緒になってその人に合った“自分の助け方”や理解を見出していこうとする研究活動としてはじまりました。」(当事者研究ネットワークhttps://toukennet.jp/?page_id=56)
私たちの活動は精神障害をテーマにするものではありませんが、「問題」を自分と共に、他者と共に理解を見出していこうというものです。
では、何の「問題」を語ってもらうのか?
エチカ福島は、いわゆる〈3.11〉をめぐって「簡単には答えの見つからない現実の中で、私たちは生きることになった。では、どんな風に生きていきたいのか?一人一人が自分自身に問いかけることから始めなければ、何もできない、そんな場所に立たされている」という思いから始まりました。
そして、言葉を失ったあの出来事について語れる言葉を、他者と共に見つけるために活動を続けてきました。
これまでは、その方法として専門家などのゲストを招いて参加者との対話を試みてきましたが、いよいよ当事者本人が自己を見つめながら、それを他者の言葉を手がかりに開いていく実践を試みます。
向谷地さんらが始めた当事者研究は、いわゆる精神医療分野で展開していますが、私たちの目的はもちろんそれとは異にしています。
むしろ、あの出来事をめぐって様々な逡巡や葛藤、言葉にならないものを何とか言葉にしてひねり出そうとするプロセスを「記録」として残したいというものです。
その意味で〈語り手〉には公開性を前提に語っていただくことになります。
ただし、これは災害の教訓を伝達するような場としてではなく、むしろ自己の経験を物語り得るその前段階、あるいは物語る中で生じている葛藤や逡巡、矛盾を他者とともに解きほぐすプロセスを創りだし、編み直していく場にしたいと考えています。
その意味で言えば、一般論からはズレが生じる経験の意味を大切にしていく場にしていきたいと思います。

その第1回目の「語り手」は県立高校教員の髙橋洋充さんです。
洋充さんは浪江町出身で、原発事故により生家を失いました。
その思いから、いま故郷に対する思いや原発立地をめぐる家族の思い、教員としての思いなど、さまざまな経験を言語化しようとされている方です。
とりわけ「一人称の語り」という言葉は彼から頂いたものです。
洋充さんは原発事故以来、色々な勉強をされてきた中で、結局色々説明されるけれど、その言葉をもって説明しても結局は借り物の言葉でしかない。どれもこれも、色々一般的な正解を示そうとするけれど、どれも腑に落ちない。でも、自分が経験したことは誰のものでもないし、その経験こそ自分にしか喋れないものだという確信に至ったと言います。
以来、自分の経験したことから語ることの重要性を意識されながら、あの出来事の意味を考え続けている方です。
洋充さんの言葉を皮切りに、多くの皆さんの「一人称の語り」が連鎖していくことを期してキックオフとさせていただきます。


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