後藤明(東大教授)「イスラム教の聖戦(ジハード)―ムハンマドはいかにしてアラビアを征服したか」『世界「戦史」総覧』新人物往来社
七、聖戦の結果
七世紀前半のイスラム教の聖戦は、アラビアをイスラム教のもとに纏め、ローマ帝国からシリアとエジプトを奪い、ペルシア帝国を滅ぼしてイラクを奪ってしまった。その後の数十年間の聖戦で、イスラム教の勢力は、かつてのペルシア帝国の全領域を吸収し、北アフリカの地をローマ帝国から奪っていくことになる。しかし、今日中東と呼ばれる地域でイスラム教徒が多数派になるには、さらに数百年の歳月を必要とした。聖戦の直接の結果は、少数のイスラム教徒が、多数のキリスト教徒などを支配する新たな巨大な帝国の出現であった。
七、聖戦の結果
七世紀前半のイスラム教の聖戦は、アラビアをイスラム教のもとに纏め、ローマ帝国からシリアとエジプトを奪い、ペルシア帝国を滅ぼしてイラクを奪ってしまった。その後の数十年間の聖戦で、イスラム教の勢力は、かつてのペルシア帝国の全領域を吸収し、北アフリカの地をローマ帝国から奪っていくことになる。しかし、今日中東と呼ばれる地域でイスラム教徒が多数派になるには、さらに数百年の歳月を必要とした。聖戦の直接の結果は、少数のイスラム教徒が、多数のキリスト教徒などを支配する新たな巨大な帝国の出現であった。