アントニオ・アウグスト・ボレッリ・マシャド著(成相明人神父訳)『ファチマの聖母』1997年(原著初版1975年)
★ 二章 聖母のご出現
聖母マリアのご出現があったときルシア、フランシスコ、ジャシンタはそれぞれ十、九、七歳で誕生口は九〇七年二月二十二日、一九〇八年六月十一円、一九一〇年三月十一日でした。前述のように三人の幼い目撃著たちはファチマの町の小さな集落アルジュストレルに住んでいました。ご出現があったのはファチマからレイリアへの道路を二キロほど行った所にあるコヴァ・ダ・イリアと呼ばれる場所で、ルシアの両親に属する小さな土地でした。聖母がご出現になったのは一メートルほどの高さの柊の木の上のあたりでした。フランシスコにはマリア様が見えてもそのお声を聞くことはできませんでした。ジャシンタはマリア様を見ることも聞くこともできました。ルシアは聖母を見ることも聞くこともできましたし、話しかけることさえできました。ご出現の時刻は正午頃でした。
◆5、一回目のご出現 - 一九一七年五月十三日
三人の子供たちがコヴァ・ダ・イリアで遊んでいたとき、彼らは稲妻のような光を二回見た後、柊の上に神の御母を見ました。ルシアの描写によれば、それは「太陽よりも輝いている白いお召し物を召された女の方でした。透き通った水を入れた水晶のコップに光り輝く太陽光線が当たったよりも透き通った、強い光がマリア様から出ていました」。ことばで表現できないその美しいお顔は軽く責めているような風で「悲しそうでも幸せそうでもなく、真剣でした」。その両手は祈っていらっしゃるかのように胸の前で上に向けて組み合わされていました。右手からはロザリオが垂れ下がっていて、お召し物はまるで光でできているようでした。上着の色は白、ベールの色も白で、金色で縁かがりされていました。それはマリア様の頭をおおい、足まで垂れ下がっていました。マリア様の髪も耳も見えませんでした。ルシアはマリア様の光り輝くお顔をよく見ることができなかったので、どうしてもそのお顔を掛写することができませんした。子供たちはマリア様から一メートル半ぐらいしかないすぐおそばにいたので、マリア様から出てそのお体を包み込んでしまっていた光の中に立っていました。対話の様子を以下に述べましょう。