カトリック情報 Catholics in Japan

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◆10、三回目のご出現 一九一七年七月十三日(2)

2016-07-09 07:17:18 | ファティマの聖母

アントニオ・アウグスト・ボレッリ・マシャド著(成相明人神父訳)『ファチマの聖母』1997年(原著初版1975年)

◆10、三回目のご出現 一九一七年七月十三日(2)



 ここに引用する著者たちはこのご出現の間にルシアが願ったことの詳細を記録してくれています。それらの願いの一つはマリア・カレイラの足の悪い息子についてでした。聖母は彼をいやしたり、貧しさから助け出したりはしないけれど、もし彼が家族と共にロザリオを毎日祈るなら生活の糧を得るだけの仕事を与えることは約束なさいました(デ・マルキ91ぺーシ、アイレス・ダ・フォンセカ42ぺ-シ参照)。

 病気がちのある女性は、自分を早く天国に連れて行って下さるように願いました。聖母はご自分がいつ彼女を迎えに行くか分かっているから急がなくてもいいとおっしゃいました(デ・マルキ91ぺージ参照)。

 ウォルシュ博士は彼の本の八十六ページで、ジャシンタがすべての家庭で毎月ロザリオが唱えられるようにという聖母の希望を自分の母親に伝えたことを記録しています。しかし、この著者が敬露なこの習慣についてご出現の記録の中に見いだしたのは、ここに挙げたマリア・カレイラの息子への忠告の中にだけです。

◆11、秘密の第一部 ー 地獄の示現

2016-07-09 07:16:36 | ファティマの聖母

アントニオ・アウグスト・ボレッリ・マシャド著(成相明人神父訳)『ファチマの聖母』1997年(原著初版1975年)

◆11、秘密の第一部 ー 地獄の示現

 イルマ・ルシアは地獄の示現について以下のように書いています。

 「マリア様はこう言い終えられると、また以前二度なさったように手をお広げになりました。(その両手からの)まぶしい光は地面を突き通すかのように見えました。そしてわたしたちは火の海を見たのです。その火の中に見えたのは悪魔たちと炎の中に浮かんで見える人間の形をした、真っ赤に焼け、黒く、茶色の燃えさしにも似た何人かの魂でした。彼らが自分たちから吹き出す炎と煙の雲に纏まれて、重さも安定性も無く、大きな炎からばらまかれる火の粉のように、悲しみと絶望の悲鳴とうめき声をあげながらどこかしこと無く吹き飛ばされているのが見えました。わたしたちは怖くて、震えを止めることができませんでした」。

 「悪魔たちは恐ろしい、ゾッとするような形をした、それまでに見たこともない動物のような格好をしていました。しかし真っ赤に焼けた石炭のように透明でもありました」

 この示現はほんの一瞬間しか続きませんでしたが、その間、周囲の人たちはルシアが息を呑むを聞いています。もし自分たちを天国に連れて行って下さるという聖母の約束がなかったら、自分たちは驚きと非常な恐怖のために死んでしまっただろうとイルマ・ルシアは後日、述懐しています。

◆12、秘密の第二部 - 天罰の警告とそれを避ける方法

2016-07-09 07:14:52 | ファティマの聖母

アントニオ・アウグスト・ボレッリ・マシャド著(成相明人神父訳)『ファチマの聖母』1997年(原著初版1975年)

◆12、秘密の第二部 - 天罰の警告とそれを避ける方法

 怖がって、まるで助けを求めるように子供たちは聖母の方に目を上げました。聖母は優しくそして悲しそうに子供たちにおっしゃいました。

 「『あなたたちは今かわいそうな罪人たちの魂が落ちる地獄を見ました。こんな人たちを助けるために神様はこの世界にわたしの汚れない心に対する信心を植えつけることをお望みです。もし人々がこれからわたしが言う敏いを聞いてくれるならたくさんの魂が救われて平和が訪れるでしょう』」

 「『戦争はもうすぐ終わります。しかし人々が神に背くことを止めないならピオ十一世の時代にもうつのもっとひどい戦争が始まります。夜、不思議な光が空を照らすでしょう。それがあなたたちに神様がお与えになる大きな印になります。その後、神様はこの世のいろいろな罪を戦争、飢餓、教会と教皇の迫害で罰されるでしょう』」

 「『それ(戦争)を阻止するために、わたしはロシアがわたしの汚れない心に奉献されることと初土曜に償いの聖体拝領がなされることを望みます。もし人々がわたしの望みに耳を傾けるなら、ロシアは回心し、平和が訪れるでしょう。もしそうしなかったら、ロシアは世界中にその誤謬を広めて戦争と教会の迫害を推し進めることになるでしょう。罪のない人たちが殉教し、教卓様には多くの苦しみが訪れます。いくつかの国はもう無くなってしまいます。それでも最後にはわたしの汚れない心が勝利を収めるでしょう。教皇様はロシアをわたしに奉献し、ロシアはわたしに回心するでしょう。そして何年かの平和が世界を訪れるでしょう』」

 「『ポルトガルでは信仰の教義がいつも守られるでしょう』・・・」

 「『このことはフランシスコの他にだれにも言ってはいけません」』

 しばらく沈黙が続いた後、また対話が始まりました。

聖母

 あなたたちがロザリオを唱えるとき一連毎にこう唱えなさい。「ああ、イエズスよ、わたしたちの罪を許し、わたしたちを地獄の火からお守り下さい。すべての霊魂、特にあなたの憐れみをもっとも必要とする霊魂を天国へお導き下さい。

ルシア

 あなた様はその他にも何かお望みでしょうか?

聖母

 いいえ、今日はこれだけです。

「いつものように聖母は東の方に昇られ、空のかなたに消えて行かれました」

 その瞬間、ご出現の終わりの印として雷のような音が聞こえました。

(回想録2の138ぺージ、3の218、220ぺージ、4の336-342ページ、デ・マルキ90-93ぺージ、ウォルシュ75-77ぺージ、アイレス・ダ・フォンセカ41-46ペーシ、ガランバ・デ・オリヴェイラ72-78、146-147べージ参照)。

◆13、秘密の第二部 - 天罰の警告とそれを避ける方法(2)

2016-07-09 07:13:33 | ファティマの聖母

アントニオ・アウグスト・ボレッリ・マシャド著(成相明人神父訳)『ファチマの聖母』1997年(原著初版1975年)

◆13、秘密の第二部 - 天罰の警告とそれを避ける方法(2)



 地獄の示現と将来の出来事の予言が、七月のご出現の際、子供たちに伝えられてすでに発表されている秘密の二つの部分に当たります。

 イルマ・ルシアは「秘密は三つの部分から成り立っている」と指摘します(回想録3の218べ-ジ)。第一は地獄の示現です。第二は天罰の警告とそれを逃れる方法です。イエズス会のアントニオ・マリア・マルテンス神父とわたし自身の推定によれば.第三部は数え切れないほどの魂の滅び(秘密の第一部)の原因になる教会の危機と世界に降りかかるであろう天罰(秘密の第二部)に関することであるのかもしれません。

 一九七ニ年六月二十九日の教話で、教皇パウロ六世はこの危機に関して「悪魔の煙が割れ目を見つけて神の神殿の中に入り込んでいる」と発言していらっしゃいます。

 イルマ・ルシアが書いた回想録ブラジル版の序文で、イエズス会のアントニオ・マリア・マルテンス神父は秘密の第三部が「まだ本文の発表はないものの、教会の危機に関するものである」と断言しています(回想録18ペーシ参照)。著者は目分がどのようにしてそれを知るに至ったかを説明しません。またこの点に関してそれ以上明確化しようともしません。ともかくこの主張には説得力があり、わたしたちは秘密のメッセージが非常に深刻な事態に関することに違いないと思っています。まさにこの事実自体が世界中から大きな期待があるにもかかわらずファチマの秘密のこの部分が公表されない理由の説明なのかもしれません。

 回想録三で、秘密の第二部の記述が「世界にしばらくの間、平和が訪れるでしょう」で終わっているにもかかわらず、回想録四の中でイルマ・ルシアが「ポルトガルでは信仰の教義が常に保たれるでしょう」と結論していることを指摘するのは興味深いことです。つまり世界中で信仰の教義が失われてしまうので、ポルトガルでそれが維持できることが何か特別なこととして取り扱われているわけです。しかし、ある特定の国で信仰の教義が維持されているとか、維持されていないとかいうことは何を意味するのでしょうか?難しい問題です。この発言にどのような重みがあるとしても、聖母は明らかに宗教的危機のことを話していらっしゃいました。これは第三の秘密が教会内の危機である蓋然性を高めるものです。

 それに加えて、イルマ・ルシアがその描写を「-」で終わっていることが暗示しているのは、秘密の第二部がこの後に続くということではないでしょうか?これらの説得力ある推定は一応別として、現実を検討してみると明白に教会の中の危機のもっともショッキングないくつかの側向はカトリックの世界に左翼思想が浸透しているということです。一九六八年の段階で、この浸透振りに危機を感じた百六十万人のブラジル人、ニ十八万人のアルゼンチン人、十万五千人のチリ人、二万五千人のウルグアイ人が教皇パウロ六世に送る請願書に署名し、この傾向に緊急の歯止めになる対策を講じるように願ったほどです(この記念すべき請願はそれぞれの国のTFP支部によって推進されました。一九六八年八月二十一日タイム誌は「TFPがいとも簡単にこれほどの数の署名を集めることができた事実が示すのは、ほとんどの南米人がカトリック保守主義を容認するか、少なくとも我慢(原文ノママ)しているかを示すものです」と報じたものです。

 さて、共産主義こそまさに神が世界を罰するために用いられるむちです。「ロシアは世界中にその誤謬を広めるでしょう」(秘密の第二部)。もし、秘密の第三部が教会内の危機のことを実際に指しているのであれば当然わたしたちはその第二部と第三部がどれほど互いに関連しているか考えたくもなります。

◆14、秘密の第二部 - 天罰の警告とそれを避ける方法(3)

2016-07-09 07:12:51 | ファティマの聖母

アントニオ・アウグスト・ボレッリ・マシャド著(成相明人神父訳)『ファチマの聖母』1997年(原著初版1975年)

◆14、秘密の第二部 - 天罰の警告とそれを避ける方法(3)



11 一九四六年二月、オランダ人のモンフォール会員イオンゲン神父への言明の中でイルマ・ルシアは聖母が教皇ピオ十一世の名を口にされるのを聞いたと言っています。しかし当時のルシアはそれが教皇であるのか王であるのかさえ知らなかったのです。

 戦争が教皇ピオ十二世の在位中に始まったと理解されていることも、イルマ・ルシアにとってはさして問題になりません。彼女はドイツによるオーストリア併合ーわたしたちは教皇ピオ十一世在位の終期に起こったその他種々の政治的出来事をそれにつけ加えることができますが、その後、本格的に開始される戦争の初期段階だったと言っています(デ・マルキ309ぺ--ジ参照)。

12 イルマ・ルシアは一九三八年一月二十五目(何度かの短い中断をはさんで午後八時四ト五分から午前一時十五分まで)ヨーロッパの空を覆った不思議な光を「偉大な印」と見なしました。しかし天文学者たちはそれをオーロラ(北極光)と解釈しました。「とても、とても恐ろしい」戦争が今にも始まると確信していた彼女は自分に伝えられた願いがかなえられるようにますます努力するのでした(4章参照)。そのために彼女は教皇ピオ十一世にも直接手紙を書きました(デ・マルキ92ぺージ、ウォルシュ179-181ページ、アイレス・フォンセカ45ページ参照)。