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聖ヴィンセンシオ・ア・パウロ

2016-08-03 12:03:54 | 格言・みことば
 一六四六年二月十日、一人の姉妹が貧しい人を見舞うために、ある家の二階から三階へのぼっていた。すると、突然不気味な音が起こり、「やられた」という悲痛な叫びが聞こえた。それは前を歩いていた水を運ぶ男の叫びであった。姉妹はとっさに壁に身をよせた。すると、おそろしいごう音といっしょに、家がくずれ、およそ三十八名の人が犠牲になった。

 ところが、姉妹は壁の一部に支えられた階段の上に立っていたので無事であった。救助人が駆けつけて、地面に外套がしかれ、かぎのついた俸が差し出されたので、姉妹はその棒に鍋をかけておろしてもらい、自分は外套の上に飛びおりた。助かったのは姉妹とひとりの男の子だけであった。

 数日ののち、ヴァンサン・ド・ポールは姉妹たちに訓話をおこなって、この事件について話したとき、神に感謝するよう教えて、つぎのように述べた。

 「わたしのむすめたちよ、神が目的なしにこの新しい家が倒れるのを許されたと思いますか。この家がわたしたちの姉妹がそこにいた時間に倒れたのは偶然だと思いますか。また、姉妹がなんの害も受けないでそこを逃れたのは、まぐれざいわいだと思いますか。ああ、むすめたちよ、決してそうではありません。これはまったく奇跡的なことです。神は、あなたがたの会にご配慮をそそいでおられることを示すために、このようにはからわれたのです。

 「こんなに大きな恩寵はただ、この姉妹にだけ与えられたのではありません。それはあなたがた全員のためです。・・・それは、神があなたがたをその目のひとみのようにかわいがっておられることを示すためです。それは、あなたがたに、決してあなたがたを見すてることのないその摂理に安心して信頼させるためです」(訓姉・一六七頁)。

岳野慶作『聖ヴィンセンシオ・ア・パウロ』中央出版社

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