無題

密かに聞こえる 音の輪郭を
撫でるように つぶやき返す

誰かのそれは戯れ事
誰かのそれは落とし涙
誰かのそれは…

音の渦の中で 流れる意味
耳を澄ませずとも 聞こ得る

信じることが怖いと
泣いていたのは本当は君？
失う未来を見ていたのは
僕ではなくて本当は君？

別の道

二人で並んで歩くには
道幅が狭いから
服の袖に掴まって
あなたの後ろをついていく

時々振り返って
大丈夫？速くないかって尋ねてくれるあなたがいること
そんなことにも
幸せを感じていた

いつからか
あなたにしか見えない景色があることに気づき
それからは
あなたの背中が
遠く遠く感じる

いつかまた
二人並んで歩ける道に
たどりつけることを
願っているけれど
先が見えない道程は
信じなければ歩けない

あなたの見ている景色を
私も見ていたい
あなたが目指す場所を
私にも教えてほしい

私が重荷になりますか？

会いたいな

大丈夫 心配しないで
そう強がることは上手になったけど

本当はね
顔を見たら泣いてしまいそう

本当はね
声を聞いたら淋しいって言ってしまいそう

会いたいな。