4/12 ツバメの悲しみ
# ツバメ鳴き見せた古巣は壊されて
電線で鳴いていたツバメ、私はスワちゃんと声をかけて手を振った。
近づいて行ったら、サーっと降りてきて、見知ったところに止まった。
あ、と息を飲んだ。
巣がないのだ。
壊されて、わずかに巣のあった跡だけが壁に残っていた。
もう数年前からそこにあった。
作りだしたときは、そこはダメよ とそっと言ったもんだ。
店先だったから。
でも、ずっとそこで子育てもやっていた。
数日前、そこを通ったとき、
下に泥みたい塊があったのは見た。
あれはこの子の巣だったのだ。
もっと慰めを言ってやればよかった。
ツバメは私を見て、こんなにされた と見せたのだ。