次の駅で、男は列車を降りていった。
入れ違いで入ってきたのは、30代くらいの小綺麗な女性だった。フィリピン共和国のアロヨ大統領に、どことなく似ていた。
手にはハードな鞄にパンジャビードレスという、若干妙な姿。柔らかい笑みを湛えてわたしの前に座ると、荷物の整理を始めた。
いい加減疲れた足を折り曲げ、悪いことをして拗ねた子どもみたいに縮こまって、膝を抱えて体育座りをしながらぼーっと窓の景色を眺めていた。ゆっくりと、時が流れていった。
いつしか眠ってしまったわたしは、電車の大きな揺れで目を覚まし、自分の目の前に伸びる何かに気づいた。
にゅっと伸びる、二本の足。
目の前の大統領の足だった。サンダルを床に散らばせ、わたしの座るシートに裸足でかけている。
こんな状況下、自分の足を伸ばしたくなるのはわたしだけだろうか。
流石に、初対面で言葉を交わす前に、足を跨いで偉そうに座るのは心苦しすぎる。
初対面でなくても、どうなのだ、そのような格好は。
しばらくもぞもぞとお尻を動かしながら、大人気なく儚い抵抗を試みたが、相手のあっけらかんとした様子に、2分ももたずに諦めた。
横では、またもや友がちっちゃな蟹になっていた。
またうとうとして、はっと目が覚めた。
足が自由になっている。
目の前の、大統領の視線を感じた。
・・・・・・声をかけてみようか・・・?
先刻の男のとき散々だっただけに、躊躇は大きかった。
・・・失敗しても、いいじゃない。
いざ。
入れ違いで入ってきたのは、30代くらいの小綺麗な女性だった。フィリピン共和国のアロヨ大統領に、どことなく似ていた。
手にはハードな鞄にパンジャビードレスという、若干妙な姿。柔らかい笑みを湛えてわたしの前に座ると、荷物の整理を始めた。
いい加減疲れた足を折り曲げ、悪いことをして拗ねた子どもみたいに縮こまって、膝を抱えて体育座りをしながらぼーっと窓の景色を眺めていた。ゆっくりと、時が流れていった。
いつしか眠ってしまったわたしは、電車の大きな揺れで目を覚まし、自分の目の前に伸びる何かに気づいた。
にゅっと伸びる、二本の足。
目の前の大統領の足だった。サンダルを床に散らばせ、わたしの座るシートに裸足でかけている。
こんな状況下、自分の足を伸ばしたくなるのはわたしだけだろうか。
流石に、初対面で言葉を交わす前に、足を跨いで偉そうに座るのは心苦しすぎる。
初対面でなくても、どうなのだ、そのような格好は。
しばらくもぞもぞとお尻を動かしながら、大人気なく儚い抵抗を試みたが、相手のあっけらかんとした様子に、2分ももたずに諦めた。
横では、またもや友がちっちゃな蟹になっていた。
またうとうとして、はっと目が覚めた。
足が自由になっている。
目の前の、大統領の視線を感じた。
・・・・・・声をかけてみようか・・・?
先刻の男のとき散々だっただけに、躊躇は大きかった。
・・・失敗しても、いいじゃない。
いざ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます