植民地戦争+α

歴史テーマの中量級のボードゲームを制作し、ゲームマーケットに出展しています。
なので歴史とボドゲの話が多いです。

三枚舌外交

2006年09月02日 10時35分55秒 | 国:英国
前回に引き続き、イスラエル・レバノン情勢に関連して、今回はイスラエル建国に大いに絡んだ英国の三枚舌外交についてです。

時は、第一次大戦の最中。当時史上空前の戦争をドイツ・オーストリア・オスマンと行っていた英国は、戦争を有利に運ぶべく、以下の矛盾した3つの約束を行います。

①フランス・ロシアと、戦争後にオスマン帝国の領地を分割統治する約束(サイクス・ピコ協定)

②アラブ諸国にオスマン帝国からの独立を約束(フサイン=マクマホン協定)

③ユダヤ人にユダヤ教国家の建設の支援(バルフォア宣言)

これにより、フランス・ロシアとの同盟関係を強め、またオスマン帝国からのアラブの離反を誘い、そして当時ドイツ国内にも多かったユダヤ人からの経済支援を取り付け、英国は第一次大戦を勝利します。
これによってオスマン帝国は、現トルコの領土を除いて英国とフランスに委任統治されることになります。
※ロシアはロシア革命により参加できず、これが上記の外交が後のソビエトから明るみに出ることになります。

委任統治とは、英国やフランスがアラブ諸国を植民地として採取するのではなく、自国の自治州の様に自治を認めながら統治し、支援を行っていくものでしたが、その実体は植民地と変らなかった為、反発を招き、第二次大戦後には独立されてしまうことになります。
そして最後に残ったのが、ユダヤ人国家の建国問題です。ユダヤ人は第一次大戦後から、パレスチナに帰還(入植)を始めこの地域に住みだしますが、アラブ人との間に衝突を起こし、テロによる虐殺を受けます。第二次大戦後、70万人ものユダヤ人が入植すると、テロは一段と過激になると、1948年ユダヤ人は強引にイスラエルを建国すると、アラブ諸国との間に第一次中東戦争が勃発します。以来、イスラエルは4次に渡る戦争と度重なるテロを潜り抜け、現在もパレスチナの地に入植し続けています。

経緯から見ると英国の三枚舌外交が引き金になっているように感じますが、当の英国は被害無し。ある意味素晴らしい(嫌味で)外交だったのかもしれません。

このゲームでも外交、特に同盟によって喜ぶことや苦しむことが多々あります。特に、3カ国相手に同盟を結んだ(結ばされた)場合、対戦できる国が居なくなり手詰まりになることが多々あります。
この様なあちらこちらにいい顔をして、同盟関係を結ぶことを「三枚舌外交」と称するのもいいかもしれません。

【名言】三枚舌外交
 同盟を3カ国と結ぶなどあちこちにいい顔をすること。


オリジナルカードゲーム 植民地戦争
コメント
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