中華街ランチ探偵団「酔華」

中華料理店の密集する横浜中華街。最近はなかなかランチに行けないのだが、少しずつ更新していきます。

B級グルメの食べ過ぎに注意 その13 ムキタケ

2007年01月03日 | B級グルメの食べ過ぎに注意

 「ビギナーズラックって、やっぱり、あったんだぁ」
 そう思ったのは、先輩に誘われて初めて行ったキノコ狩りでのこと。場所は鳳凰三山だった。
 10月のある金曜日、ボクたちは八王子駅前で一杯ひっかけたあと、中央本線の最終列車に飛び乗った。午前3時ころ穴山駅に到着。しばらく仮眠してから、マイクロバスで御座石鉱泉へ。

 朝日が昇ると同時にキノコ狩り登山を開始した。抜けるような青空が前途を祝福するかのようだった。
 しかし道中は赤茶けたガレ場や、両サイドがスッパリ切れ落ちたナイフリッジなどがあり、こんな所でキノコが採れるのだろうかと半信半疑だった。

 そのうちに標高も2千メートルを超えてくると、「これはもう、キノコなど採れるわけがない」と思うようになってきた。
 が、先輩は登山道脇で見つけたのだ。それはサクラシメジの群生だった。ボクたちは地面を舐めるようにして採りまくった。ほかにムラサキシメジ、ナラタケなどもあった。

 夕方、鳳凰小屋に到着。さっそくキノコラーメン作りにとりかかる。キノコに詳しい先輩が「味は保証するぜ」と言うが、イマイチ不安がよぎった。

 「本当に毒はないんだろうか?」

 そこに小屋の主人が現れ、キノコを手に取り眺めながら、「よく採ったなあ」と誉めてくれた。二人が同定したキノコだ。思いきって食べることにした。

 一抹の不安と一緒に、サクラシメジを呑みこんだ。味の方は申し分なかったのだが、スープ一面に浮いている虫が気味悪かった。でもこれが、栽培物ではない採れたてのキノコであることの証しなのである。

 翌日は地蔵岳のオベリスクに登り、観音岳、薬師岳と回った。どの山も3千メートル近い標高である。しかも花崗岩が多く、どうもキノコ狩りという雰囲気ではなかった。

 やがて南御室を過ぎ樹林帯を抜けると、立ち枯れの木ばかりが目立つ広々とした空間に飛び出た。先輩の話では昔、ここに雷が落ちたという。その焼け跡のようだった。こういう落雷跡地や変電所、高圧線の近くではキノコが大発生するらしい。

 我々は注意深く進んだ。しかし、この落雷跡地では何も発見できず、再び樹林帯に入った。しばらく歩いて行ったその時、半分朽ちかけ苔の生えたブナの木に、薄茶色のキノコがびっしりと並んでいるのを発見! ドラ焼きを半分にしたような特徴ある形だった。

 「なんだ、あれは! ものすごいキノコが…」。ボクはそれを指差し、息を飲み込んだ。
 「やったゼェ! 大発見だ!」

 興奮のためか、先輩の目の色も変わっていた。それは高級キノコ「ムキタケ」だったのである。
 無我夢中で採った。小型のものからプックリした大型のものまで、採って採って、採りまくった。気がついたらゴミ用大型ビニール袋4個にもなっていた。大収穫などという言葉では言い表せないほどの成果であった。

 下山はたいへんきつかった。それぞれ、ザックの上に一袋、手に一袋だから、なにしろ重くて重くて…。

 昼過ぎ、やっと夜叉神峠に着いた。あとはバスと電車を乗り継いで帰るだけなのだが、実はそこから先、面倒な作業が待っていた。八王子に着くまでの間、ずっとムキタケの根元をナイフで裂き続けた。それは毒キノコの「ツキヨタケ」が混じっていないか調べるためだった。

 この両者は非常にそっくりで、また都合の悪いことに同じ木に一緒に生えていたりするのだ。しかし見分け方は簡単で、夜間なら光るほうがツキヨタケ。昼に調べるなら、根元を割って中が黒ずんでいたらツキヨタケなのである。

 むかし、これを間違って食べてしまった友人がいた。激しい嘔吐に襲われゲボをすると、闇夜の中でそれが光っていたという。幸い半分しか食べなかったため大事に至らなかったらしい。

 肉厚で大ぶりのムキタケは天婦羅にすると最高だ。シュルッとした食感とサッパリした味がなんとも言えない。シチューに入れるのもいい。アワビの煮こみと間違えるくらいだ。そのほか、バター炒め、味噌汁、和え物となんにでも応用が利く。
 あれ以来、ボクはキノコ狩りにハマってしまった。

←シイタケそば
 そして今日のお勧めは「雲龍」(中華街市場通り先)の椎茸そばである。
 雲龍は知る人ぞ知る名店。牛バラそばが評判になっているが、それよりもボクはパイコーメンが好きだ。オジさんが厨房に入っていたときは、透明に近いスープだったが、奥さんが調理するようになってからは醤油のせいか茶色っぽくなった。しかし、それでも、ここのパイコーメンは旨い。
 そして冬季限定の「シイタケそば」は絶品だ。


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