中華街ランチ探偵団「酔華」

中華料理店の密集する横浜中華街。最近はなかなかランチに行けないのだが、少しずつ更新していきます。

行列の隙間だったのか、あの「海員閣」でサンマーメン

2011年11月23日 | 中華街(香港路)

 先週の18日金曜日、ちょうど昼時だというのに「海員閣」の前には行列がなく、しかも店内はあちこちに空席が!

 シーズンにもよるんだろうけど、年に何回かはこんなことがあるんだよね。
 こういう場合は即予定を変更して海員閣のドアを開けることにしている。

 この日は結構寒かったのでサンマーメンを注文。


 まずは例によってお茶と割り箸が運ばれてきた。
 ここでは箸置きはおろか、箸袋さえないので、湯呑茶碗に直置きである。

 お茶を飲むときは、箸を左手に持ちながら両手で湯呑を持ち上げることになる。
 一口すすったら元の状態に戻す、これがここでの茶の飲み方なのだ。

 シャックリが止まらない人は、茶碗の上に割り箸を十字型に置き、4か所から順に飲んでいるが、一般的には上記のような飲み方となる。

 お茶の減り具合は常に把握しているようで、残り少なくなってくると女性従業員が注ぎに来る。
 最初に出したらそれっきりという店もあるなか、“箸問題”は別にしてお茶に関するサービスは上々。


 しばらくしてサンマーメンが到着。

 相変わらずボリュームがある。
 サンマーメンというとモヤシばっかりの店があったりするけど、ここのは逆にモヤシが少なく、そのわりに豚肉が多いのが特徴。
 そして餡もスープも美味しい。さらに私が気に入っているのはこの麺。
 どこかの製麺所のものなのか、あるいは自家製麺なのかは分からないが、食感が絶妙で香りもいい。

 最後の一滴までスープを飲み干したいところをグッとこらえて完食。
 美味しかったよ。


 日曜祭日には必ず見られる行列。
 この人たちは「山東」に並んでいるわけではない。その向こうに見える「海員閣」に入るのを待っている人々なのだ。
 平日の昼間はなかなか来れないから仕方ないんだろうね。


 さて、ここからはサンマーメンの由来に関するお話だ。
 
 サンマーメンといえば横浜が発祥の地。ここから県内各地に伝わり、今では神奈川名物ともいわれるほどの存在になっている。
 しかし、不思議なことに、こんなウマイ麺なのに全国各地に広がってはいない。
 フォッサマグナから西にはまったくないという話も聞く。そして北はどうか、北海道で食べたという人に出会ったこともない。
 限られた地域限定の麺なのである。

 よく分からないことはもう一つある。発祥の「店」だ。
 中華街の「聘珍楼」とか、伊勢佐木町の「養成軒」だとか、いやいや伊勢佐木でも「玉泉亭」だとか、はたまた麦田の「奇珍」だという人もいる。その「奇珍」の経営者は、昔中華街にあった「平安楼」説を採る。

 横浜市が発行している「横濱」という季刊誌がある。その第7号(2004年冬号)では、「奇珍」の経営者に取材し、こんなことが書いてあった。
 
 ≪「この麺を考案したのは、かつて中華街入り口にあった「平安楼」という店の蘆(ロー)さんという料理人。寒い埠頭で働く荷役作業員たちの体が温まるように、モヤシを中心とした野菜を炒めたものを片栗粉でトロミをつけて麺の上に乗せたんです。
 当時のモヤシは高級食材で、船乗りたちが小遣い稼ぎに、豆を水に浸して暖かいボイラー室に持ち込み発芽させていたのを、中華料理店がいい値段で買っていったんですよ」と話すのは、大正7年の創業で三代にわたって伝統の味を守るご主人の黄國明氏。≫

 「もののはじめ」や「発祥の地」が多い横浜には、当然、競馬が初めて行われた場所というのがある。
 だが、何をもって“競馬”というかによって、その場所は変わってくるのだ。
 西洋人が馬に乗って単に駆け比べをしたときなのか、それとも勝者に賞品をプレゼントするような競走をしたときなのか、あるいは馬券を発行して競走したときなのか、それぞれ“発祥の地”、“もののはじめ”があるように、サンマーメンだって初めてまかないで食べた店なのか、初めて有料で売った店なのかなどによって、意見は分かれるのではないだろうか。

 発祥の店を特定する具体的な史料は何もないが、私はなんとなく「奇珍」のご主人がいう「平安楼」説をとりたい。

クリックすると画像が大きくなるよ。
 昭和13年の地図。今の「横浜大飯店」の場所に「平安楼」を見ることができる。 


 参考:発祥の店説のある料理店で食べたサンマーメン
 1聘珍樓
 2養成軒
 3玉泉亭
 4奇珍
 

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15 コメント

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サンマーメンともやし (馬の骨)
2011-11-23 21:39:43
サンマーメンの話
興味深く伺いました。他の四店舗と写真のうえでの比較も面白かったです。
表玄関入口の上に張り出している[海員閣]の文字看板は、かなりネンキの入った貴重なもんだと思います。
また、モヤシは当時貴重品で、船員がボイラーで発芽させ、中華料理店に売っていた話にはビックリしました。
返信する
Unknown (いその爺)
2011-11-24 13:08:30
サンマーメン発祥話題をお待ち申し上げておりました。(笑

発祥店は置いといて、料理のルーツとしては先日のチャプスイが源流に在るのでは…
等と勝手に考えていたのですが、確証はありません。
(^-^;
ただ チャプスイを麺に掛けるレシピは存在するようではあります。

嗚呼 またもや寝れなくなりそうですわ(笑
返信する
ただ分かるのは (ふ゛り)
2011-11-24 16:34:46
発祥が分からない混沌とした時代が結構いいものだったという事ですね。
返信する
日本テレビ「ヒルナンデス!」 (井上千恵美)
2011-11-24 19:24:30
突然のコメント失礼致します。
日本テレビで「ヒルナンデス!」というお昼の番組を担当しております井上と申します。

この度、11月30日放送の番組内にて「中華街」もしくは「中華まん」について特集いたしたく、詳しい方を探しており、
HPを見させていただきまして、ぜひ番組にご協力いただきたく、コメントさせていただきました。

「○○の■■が美味しい!」「△△の★★がオススメ!」といった情報を教えて頂ければと思います。

もし可能でしたら詳細はまたお話させて頂ければと思います。
お忙しいとは思いますが、ご連絡いただけますと幸いです。

何卒宜しくお願い致します。

日本テレビ「ヒルナンデス!」
井上千恵美
dadadance14@yahoo.co.jp
返信する
日本テレビ「ヒルナンデス!」 (井上千恵美)
2011-11-24 19:45:34
度重なるコメントで失礼致します。
上記の件ですが、11月30日放送のヒルナンデス!スタジオにてご出演していただくことは可能でしょうか?

合わせてご検討頂けますよう、何卒宜しくお願いいたします。

日本テレビ「ヒルナンデス!」
井上千恵美
dadadance14@yahoo.co.jp
返信する
もやし (陸羽)
2011-11-24 20:24:54
さすがに中国4千年の歴史もあって、チャプスイを麪に乗せる
ことを近代まで気がつかなかったなんてことはないと思います。
このインタビューの内容は、『チャプスイを麪に乗せたものを
「サンマーメン」と呼んだのが平安楼の蘆さん』という意味で
しょうね。
それも、「チャプスイ麪」とも「旨煮そば」とも「野菜そば」
とも呼ばずに、「サンマーメン」と呼んだ由来を知りたいですね。

ところで、「もやしが高級食材だった」というのは興味深い
話ではあるけれど、本当かな?と思ったりもします。
なぜなら、そんな高級食材を使ったラーメンの代金を苦力が払
えたのか?という点がどうしても疑問に残る。当時の値段がわか
る資料があればいいのですが、難しいものです。
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看板 (管理人)
2011-11-25 08:38:32
>馬の骨さん
木製のいい看板です。
右から左に書いているのがまた懐かしい。
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チャプスイ (管理人)
2011-11-25 08:44:17
>いその爺さん
私もそんな気がしているんです。
いろいろな野菜をモヤシに特化したんでしょうかね。
そして、なぜ全国に広がらないのか、
不思議です。
返信する
発祥の… (管理人)
2011-11-25 08:46:39
>ぶりさん
初めて提供した店がどこかは、あまり興味がありませんけど、
どうやって開発されたのかとか、
その名前の由来などは気になるところです。
返信する
ヒルナンデス (管理人)
2011-11-25 08:51:01
>井上千恵美さん
こんなブログに目をとめていただき、ありがとうございます。
のちほどメールを送らせていただきます。
返信する

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