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偽ハチミツに関して

2017-05-02 10:56:21 | 生活の知恵

  中谷 勇  元山形大学理学部生物学科教授

 私は、父が蜜蜂を飼っていたので純粋のハチミツがどのようなものであるか知っています。純粋と思われそうなハチミツをいろいろ買って試したが、全て偽(水飴などの混ぜ物)でした。冷凍庫に入れて冷やすと白色になって固まるのもあった。バターを冷蔵庫で冷やしたのと同様に硬く均一に固まった。

純粋のハチミツの特徴
・冬に冷えて白い結晶ができてもハチミツ全体は固くならない。一見するとバターのように均一に固まったようでも、よく見るとそうでない。個々の結晶は小さな粒でその表面は結晶化していない蜜で潤っている。そのため容器を傾けると垂れる。
・室温に長年放置しても変色・変質しない。

冷えて固まっても流動性
 ミツバチが採蜜し貯蔵するのは子を育てるためと冬など採蜜できないときの餌のためであり人間のためではない。

冬に冷えてハチミツが結晶化したら
 ハチミツがほぼ完全に結晶化したようになっても蜂は結晶粒の表面を潤している蜜を吸って飲める。蜂は、バターのように均一に固まるとハチミツは吸えない。
 注)蜜蜂は冬眠しないから冬には餌として蜜が必要。養蜂家は秋に採蜜すると冬期間の蜜蜂の餌として砂糖を溶かしたのを巣箱に入れる。

偽ハチミツを冷凍庫で冷やすと
 多くの偽ハチミツは白色にならないで硬くなり、箸を突き刺そうとしても硬くて刺さらない。このように、冬に冷えて均一に硬くなると蜂は吸う事ができない。

ハチミツが冷えると結晶化するのは何故か
 冷えて結晶化するのには重要な意味がある。それは巣箱内の温度調節である。ハチミツが結晶になる時は熱を放出し、結晶が融ける時は熱を吸収する。巣箱内にハチミツが沢山あると冬期間の寒さが和らぎ、夏は暑さが和らぐ。
注)ほぼ完全に結晶化したハチミツ、ある程度量が多いと室温に放置しても夏の間に結晶が徐々に融けるが、すべて解けることはない。

賞味期限が記載されているのは偽ハチミツ
 たまたま冷蔵庫にあったハチミツのビンに賞味期限が記されていた。純粋のハチミツに賞味期限など関係ない。
 父は若い時、副業として蜜蜂を飼っていた。そのため家にはかなり多量のハチミツがあった。父は戦争で召集され終戦後は捕虜になり5年間帰ってこなかった。その間も家のハチミツは全く変質も変色もしなかった。

店などで売っているのはすべて偽
 純粋のハチミツは養蜂家が採蜜している最に、その場で買わない限り入手できない。売ってくれるかどうかは疑問である。

養蜂家が地元で販売しているのも偽
 インターネットで、「養蜂家が地元の店に出しているのは本物、偽がばれると信用をおとすから・・」と記載しているのを観たが、私は地元の何種類かを試したり、店で様子を見たがすべて偽であった。私の家の近くにも養蜂業を営んでいる人がいて、蜂蜜を近くの温泉の売店で売っている。それも白い結晶ができるが、よく見ると様子があやしい。
 「養蜂家が地元の店に出しているのは本物、偽がばれると信用をおとすから」などと言っても地元の人でも養蜂に直接係わった事がなければ、本物を見抜くことなど出来るはずがない。インターネットの無責任な記載も信用するべきでない。

ハチミツの色
 蜂が訪花する花の種類によってハチミツの色は異なる。シナ蜜は金色、クローバの蜜は黒色、ソバの蜜はクローバの蜜よりも濃い黒色。

偽ハチミツを無くすためには
 ハチミツの生産量にくらべて消費量が圧倒的に多いから偽ハチミツが出回るのでしょう。
 水飴などの混ぜ物を「純粋ハチミツ」などと偽らず、例えば「水飴80%、添加物・・・」と表示するべきです。冷やすと白く均一に固まるものや室温に1、2年間置いておくと変色するのは、何を加えているのか恐ろしい。本物のように見せる必要はない。この場合は、賞味期限を明記するとよい。多くの消費者は、蜂蜜の消費量より生産量のほうが少ないことは理解できるでしょう。
 本物の蜂蜜の事を知らない人は、インターネットに蜂蜜の事を何が記載されていても、その真偽を見分ける事は不可能ではないでしょうか。インターネットに記載する人も本当の蜂蜜の事は知らないでしょう。

コメント
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