中谷 勇 元山形大学理学部生物学科教授
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ゆで卵の殻を剥く時、殻が剥がれなく、いらいらした経験がおありではないでしょうか。
なぜ殻がスルッと剥けないのでしょうか。卵(鶏卵)に熱をかけると卵内は、水分が膨張して圧が高くなり、水分は卵外へ押し出されます。水が押し出されてもゆで卵にする時、その様子を見れません。
卵を水に入れないで、電子レンジに300ワット、1分30秒程かけると卵の表面全体に水滴が流れ落ちる程、付くのが見れます。この水分は、卵内から押し出されたのです。これは、卵の内部から水分が外へ出るのを目で確かめるためであり、半熟卵は茹でて作ったほうがよいです。
卵を茹でる時間が長過ぎると卵外へ出る水分量が多く、卵の薄皮と白身とが密着して剥がれなくなります。これを避けるには、沸騰しているお湯に卵を入れて、時間を計って茹で過ぎにならないようにするとよいです。卵をお湯に入れる時は、やけどをしないようにシャモジなどで入れましょう。茹でる丁度良い時間は、茹でる前の卵の温度によって違います。先ず、7~8分間茹でてみて様子を見て、必要に応じて30秒間位ずつ時間を変えて、お好みの茹で卵になる最短時間を知るとよいです。茹で上がったらすぐ、卵を冷水に入れます。水で冷えると卵内は陰圧になるから水が卵内に吸い込まれます。
生卵を冷蔵庫内や室内に置いていても絶えず卵内の水分は、ごくわずかであるが蒸発しています。長期間保存し、産卵後かなり日数が経っている卵は、茹で卵にすると殻が剥きづらくなります。
スーパーなどで格安で売っている卵は、産卵後かなりの日数が経っているから半熟卵でも殻がスルッと剥けない事があります。産卵後、日数がかなり経っている卵は、黄身が偏って殻に接近しています。新しい卵の黄身は、白身の中央にあります。
写真は、卵内の水分が卵外へ出るのを可視化するため水に入れないで直接、電子レンジにかけたものです。
茹で上がったら、すぐに殻にヒビを入れ、すぐ冷水に入れると水が卵内に入り、殻はスルッと剥くことができます。自分で食べる、または料理に使うのであればこれでよいが、茹で卵を人にあげる時などは、上述のやりかたがよいでしょう。
卵の表面全体がぐっしょり濡れていますが、写真ではその様子は分かりません。