知らない世界へ帰りたい(日本探求)

自分の祖先はどんなことを考えていたのか・・・日本人の来し方、行く末を読み解く試み(本棚10)。

小林ハルと小泉八雲ー『明治・歌の文明開化』を見て

2010年02月04日 08時30分30秒 | 民俗学
NHKで「ドキュメント日本のうた100年…5」と題して放送された番組です。

録画しておいて、何気なく後で眺めていたら・・・惹かれる内容が2つ。

■ 小泉八雲は民俗学者だった。
 『怪談』で有名な小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)は外国人の視点で失われゆく日本の伝統・習慣を記録してくださいました(感謝!)。昔話だけではなく、民謡やわらべ唄も採集して記録していたのでした。
 江戸時代が終わり、外国文化が入ってくる前の素朴な日本の地方文化の貴重な記録です。
 手に入る情報はないかと探しました。
 すると、番組にも登場した子孫の小泉 凡 氏の「民俗学者・小泉八雲」という本を見つけました。
 入手して購読したら、また記したいと思います。

■ 最後の『瞽女』(ゴゼ)である小林ハルさんの映像がでてきた。
 『瞽女』と云う言葉をご存じの方は、今はどれくらいいらっしゃるでしょうか。
 その昔、視力を失った女性の仕事として成り立っていた民間芸能です。
 地方を行脚して歌を唄うなりわいです。
 余興・娯楽が少なかった時代は、大変人気があり歓迎される存在だったそうです。
 主に北陸地方で活動していました。

 師匠に弟子入りし、修行を重ね、独立します。
 師匠の存在は絶対で、厳しい戒律に統制されています。
 独立するときの儀式では振り袖を着る習わし(ただし、ダンナさんはいません)。
 「神に嫁入りする」という意味だそうです。

 映像の小林ハルさんは既に引退して、老人ホームでひっそりと暮らしていました。
 その壮絶な人生は本にまとめられ、何冊か出版されています。

 手元に「瞽女 盲目の旅芸人」という安達 浩 氏による写真集があります。
 新潟の農村を行脚する瞽女さん達が写し出されています。
 瞽女さんは3人ひと組で行動します。全て女性です。
 目の見える先導さん、その腰に手をかけて盲目の2人がつづきます。
 旅支度で笠をかぶった3人の小さな影がたんぼ道を行くその姿は、昔話の一場面のよう。
 お地蔵さんにも見えてきます。

 私の母の実家は新潟県の山村なので、小さい頃遊びに行った風景と似ていて懐かしい。
 背の高い木造家屋(冬は雪がたくさん積もるので二階から出入りする)と田んぼのあぜ道に木が植えられているのが特徴です。
 今は失われつつある日本の風景です。

■ 盲目の職業婦人としての「イタコ」
 「視力を失った女性の職業」というと、青森県のイタコを思い出さずにはいられません。
 イタコも弟子入りして修行して独立する「職業」です。
 メディアで伝えられているような「霊能者」ではありません。
 私は学生時代、青森県に住んでいましたのでイタコさんを何度か見たことがあります。
 一つは久渡寺の「オシラ講」、
 一つは恐山の大祭。
 津軽弁で、独特の節回しで経文を唱える姿と周囲の人達が一体となって醸し出す濃厚で独特の雰囲気は、別世界にトリップしたかと勘違いするほどのカルチャー・ショックを受けました。
 日本文化の奥深さを垣間見た瞬間でした。
コメント
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