知らない世界へ帰りたい(日本探求)

自分の祖先はどんなことを考えていたのか・・・日本人の来し方、行く末を読み解く試み(本棚10)。

『何故あの戦争は始まったのか』

2010年08月08日 14時03分04秒 | 戦争
「池上彰の20世紀を見に行く」~終戦日特別番組~『何故あの戦争は始まったのか』(BSジャパン)

すっかり有名人となり各局で引っ張りだこの池上さん。
彼は元NHKアナウンサーで、政治・経済ニュースのカラクリをわかりやすく解説してくれる貴重なタレントです。

さて、8月は太平洋戦争が終わった月で、毎年この頃には戦争に関する報道番組が多数放映されます。
日本人にとって「戦争とは何だったのか」を考える月です。
今回、2008年夏に初放映された上記番組の再放送を拝見しました。

3人の識者をゲストに迎え、日本が外国相手に戦争を繰り返してきた近現代史に焦点を当て、「どの時点で後戻りができなくなったのか?」という問いの答えを用意してもらい、それを元に討論するという内容です。

詳細は差し置き・・・印象に残った部分だけメモしておきます。

■ 日本が国際連盟を脱退したときの状況を映像で見ると・・・世界から孤立していく様が現在の北朝鮮と重なりました。

■ 日本が負けると考えられていた日露戦争(軍備は日本:ロシア=1:10)に勝ってしまったものだから、国民感情は盛り上がり、それ以降の無謀な戦争にも「日本が負けるわけがない」という精神論が幅を利かせるようになったようです。
 ロシアのバルチック艦隊は北欧~アフリカ~インド洋を経て日本近海にたどり着いたとき、兵士は疲労困憊だったようで、これが日本の大きな勝因となりました。
 しかし、日露戦争に負けていたら日本はどうなったでしょうか?
 おそらく、ロシアの植民地。
 現在のロシアの北方領土に対する強引さと執着心を考えれば、自ずと答えは出てきますね。

■ 国同士の戦争は「トーナメントの生き残りゲーム」。勝ち続ける限り新たな敵が現れ、負けるまで終わらない「勝ち逃げタブー」の勝負の世界・・・最期は勝つ方も負ける方もボロボロでした。

■ マスコミの弊害。政府が「ここまでで止めよう」と考えていても、マスコミが国民感情を煽り「勝ち続ける限り進むしかない」という雰囲気を作ってしまいました。逆に戦争に批判的な新聞はなんと不買運動まで起きる始末・・・こうなると戦争は『国民がそれを望んだ』としか云いようがないような気もしてきます。

※ 先日NHK-BSで『日本の一番長い夏』というドラマを放映していました。某雑誌社(担当はその後作家になった半藤一利氏)が昭和38年に戦争関係者28名に集まってもらい、当時のことを話すという企画をドラマ化したものです。特徴として、演じているのがプロの役者ではなく、大学教授、作家、アナウンサー、料理研究家、漫画家と実に様々な職種から選んだことで、彼らにとっての戦争体験もインタビューで紹介されました。
 その中で印象に残った言葉;「戦争を始めたのは大衆とマスコミであり、軍部はそれを利用し、政治は追従せざるを得なかった」
 昨今の政治や選挙を見ていても、郵政改革を謳って大勝利を収めた小泉政権は今や批判され、消費税増税と口走って負けた菅政権・・・冷静な判断ができずに感情的に流される国民・大衆の愚劣さを痛感しています。

■ 日本がアメリカ相手に戦争を仕掛けるとき、日本の石油の75%はアメリカから輸入していたのでした。燃料を買っている相手と戦争をして勝てるはずがないのに・・・狂っています。
 その前には日本は外国により経済制裁を受けていました。アメリカ・イギリス・オランダにおける日本人資産凍結、アメリカからの鉄くず輸入禁止、等々・・・まるで今のイランのよう。

・・・政治が悪い、国が悪い、と嘆いても、それを望んでいるのは結局我々国民一人一人なのでしょう。
コメント
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