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ポガチャルのWツール制覇を考える(6)

2024-07-03 10:52:24 | ツール・ド・フランス
  今年のツール・ド・フランスはここまでタイム差なしのゴール順位の合算でマイヨジョーヌの行方が決まるというステージが続いていましたが、第4ステージにして初めて大きく動き出すことになりました。超級のガリビエが待ち受ける距離の短いステージということもあり、山岳ステージにもかかわらずハイペースでレースが展開します。中間スプリント通過後に生まれた逃げも結構良いメンバーが入り、途中、バーチャルでマイヨジョーヌが移動する時間帯もありました。
 プロトンはUAEが積極的にコントロールし、今日はポガチャルで狙って来る感じがビシビシ伝わって来ました。平坦アシストがガリビエの麓までは2分半ほどのタイム差をキープし、登りに入ると、山岳担当のUAEのアシスト陣が本格的に動き始めます。まずはティム・ウェレンスとマルク・ソレルが先頭を引き、逃げを追い詰めていく。

 ウェレンスが仕事を終え、ソレルに先頭が変わると、あっさりと逃げた最後のひとりオイエル・ラスカノを吸収し、レースを振り出しに戻しました。驚いたのはここからで、ヨハン・アルメイダ,アダム・イエーツと先頭を牽き続け、プロトンを破壊していくのです。
 15人に減ったメイン集団は、まだ雪が残るガリビエを上り続け、山頂まで残り4.5kmでフアン・アユソが先頭を引き、今度はマッテオ・ヨルゲンソンが遅れ、ディフェンディングチャンピオンのヨナス・ヴィンゲゴーはアシストを完全に失ってしまうことになったのです。この日のアユソとアルメイダの仕事は非常に大きなものでした。結構な向かい風があったようで、この二人のアシストが無ければ、この日のポガチャルのマイヨジョーヌはなかったでしょう。

 2021年にはヴィンケゴー擁するユンボ・ヴィスマがポガチャルに対して仕掛けて来た作戦で、今度はヴィンケゴーがピンチに落いることになるのです。今年のポガチャルは非常に落ち着いているようで、仕掛けもガリビエの頂上の直前でした。山頂手前残り1kmでアタックしたポガチャルにヴィンケゴーが素早く対応するも、徐々にその差は開いていき、ガリビエ山頂で8秒のタイム差が生まれてしまうことになりました。
 ただ、この日は下りゴールでしたので、TTが得意なヴィンゲゴーが追いつくかもしれないと思っていたら、ポガチャルは下りも果敢に攻め続け、ヴィンゲゴーとのタイム差を逆に開いていったのです。後続に35秒の差を付けてトップでヴァロワールのゴールに飛び込みました。ステージ2位はレムコ・エヴェヌプール、3位はガリビエで最後までポガチャルをアシストし続けたアユソがスプリントし、ヴィンゲゴーとログリッジのボーナスタイムを削りに行くことにも貢献したのです。

 ここまでのステージではほとんど目立つことのなかったUAEチーム・エミュレーツでしたが、今年のツールには山岳アシストを多く連れて来ていて、平坦アシストは2人しかいなかったのが要因のようでした。第2ステージのサン・ルーカではアシストはアダム・イエーツ1枚にしか見えなかったのですが、今年のUAEには選手ごとの役割が決められているようです。昨年はエースアシストだったアダムも、今年は3番手で、その上にアルメイダやアユソがいる強烈な布陣なのです。あっさりとチーム総合でもトップに躍り出ることになりました。
 対するチーム・ヴィスマは山岳でヨルゲンソン1枚という布陣では正直ヴィンゲゴーには辛いでしょう。セップ・クスのコロナでの直前不参加は大きいはず。ヴィンゲゴーはTTでポガチャルとのタイムを埋めるしかなくなりそうです。総合でも5秒差をエヴェネプールに付けられての3位。ヴィンゲゴー自身は調子を上げてくるでしょうが、チーム力の差はいかんともしがたいものがありそうです。

 この日のガリビエで総合の行方が見えて来ました。現在、総合2位のエヴェネプールのヤングライダーは硬いのかもしれませんが、ここに来てアユソというライバイが出現しています。エヴェヌプールは才能は抜群なのですが、元々落車の多い選手で3週間を通して安定した成績を収められるかに不安があるからです。昨年はアダムが総合3位でポディウムに上がりましたが、今年はアユソがポディウムということもあるかもしれません。アユソは2002年生まれの21歳なのです。ライバルはヴィンゲゴーただ一人で、ポガチャルのWツール制覇という偉業がいよいよ現実味を帯びて来ています。4強と言われていたログリッジは表彰台も難しいかもしれません。
 アユソに加え、昨年のツール・ド・ラヴニールを征したアイザック・デル・トロもUAEには控えているのです。今年はツール参戦は見送られましたが、多分、ブエルタでグランツールデビューになるはずです。ブエルタはアユソがエースを務めることになるのかもしれません。昨年まではチーム力で圧倒していたヴィスマの王国は崩壊し始めているのかもしれません。
 



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