最初の東京オリンピックが開催された1964年、私は北海道の片田舎の小学生でした。学校行事で連れて行かれた町の映画館で見せられた記録映画の印象しか残っていません。スポーツに全く興味の無かった小学生の目と耳にも「東洋の魔女」と呼ばれた女子バレーボールの選手達の活躍がまぶしかった記憶があります。
この東京大会からオリンピックの正式種目になったバレーボールで圧倒的な強さを見せたものの、世界が本気になり始めると、オリンピックでのメダルの色は銀から銅へと変わっていきました。バレーボールやバスケットボールという競技は身長の高さが圧倒的にモノを言い、身長もパワーも無い日本人が世界で勝ち続けるのは難しくなって行くのでした。
それでも日本は速攻やレシーブの新技を編み出し、それを磨き世界と戦っていました。それが身を結んだのがミュンウヘンの奇跡と呼ばれることになる男子バレーボールの金メダルの獲得でした。ただ、それも海外の選手が真似し始めるとあっという間に世界の頂点は遠のいて行きます。オリンピックに出場すら出来ない時代が続きます。
同じく東京オリンピックから正式種目となったのが「柔道」でした。「野球」や「ソフトボール」といった日本やアメリカで人気の高い競技が姿を消す中、「柔道」は日本発祥の競技ながらヨーロッパでの人気が高く、ことフランスに至っては競技人口が日本の4倍というのですから驚きです。フランス人は日本の文化が好きなようで、且つて印象派の画家たちが日本の浮世絵の影響を強く受けたことなどが有名です。今は日本のアニメに夢中なようです。
柔道といえば日本のお家芸でメダルの数も多いのは事実ですが、海外勢の力も増し、技の研究が進み、身体能力の高い海外選手に日本の選手が敗れるという傾向が強まっているのも事実なのです。ただ、フランスに競技人口で負けている日本の柔道人気は決して高くはないのです。競技人口はブラジルが200万人超えで断トツです。次いでフランスの56万人、3位はドイツの18万人、日本は16万人なのです。それも平成20年から中学校の体育の一環として柔道が必修になっているにも関わらずです。
むしろ、こうした特定の競技を必修としてしまったことで、危険・危ないという意見が出始めたことも事実なのです。強要されると人の心は却って離れて行くことを文科省は気付くべきでしょう。子供の頃は様々な競技に接し、好きなものを選べば良いのではと思っています。運動が得意な子もいれば、私のように運動が苦手で体育は大嫌いという人も少なからずいるのです。それは、体育の競技を強制された反動かもしれないのです。