ヘルメットの安全性の向上を目指す技術として“MIPS” (Multi-directional Impact Protection System)という言葉を良く目にするようになりました。“MIPS”は多方向からの衝撃を分散させることにより脳へのダメージを軽減させるテクノロジーで、斜め方向の衝撃に対して外部のシェルと内部のライナーが微量に可動し脳へのダメージを分散させ軽減させることを主眼としているものです。GIROやMETというヘルメットメーカーの多くがMIPS方式を採用しているのです。
たとえば、床に向かって頭から転倒したとします。縦方向に加え、斜め方向の衝撃が回転重力となり衝撃度を増します。ヘルメット本体と使用者の間に可動式のライナーを入れることにより、転倒時にヘルメットが頭に対してスライドして、回転重力からの頭部へのダメージを分散させ脳へのダメージを極限まで抑えてくれるという仕組みです。
MIPSはヘルメットと頭の間に”滑ってエネルギーを吸収する”仕組みを作りますので重量が増すというデメリットがあります。私もcannondaleのINTAKE MIPSというヘルメットを持っていますが、被り心地も良いのですが、外形が少し大きくなり、重く形状が真円に近いのでエアロ効果が無いので、あまり速度が速くないMTBやグラベルロード用として使用しています。
このMIPSの重量問題を解決したのがレイザーの“KinetiCore”という新技術です。衝撃を受けて変形することで、サイクリストの脳に到達するはずのエネルギーを吸収する仕組みです。『コントロールド クランプルゾーン』と呼ばれる独自のEPSフォーム ブロックの採用で、直接衝撃と回転衝撃の両方からサイクリストの頭部を保護する仕組みです。こちらはヘルメットの内部にEPSフォーム ブロックを作るだけなので、軽量化を実現しているのです。そしてこの“KinetiCore”採用のヘルメットはバージニア工科大学の試験において、最高ランクの5つ星を獲得しているのです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます