これで重量は225gなのです。ただ、カタログ上では220gとなったので5gオーバーの製品が当たってしまったようです。プロロゴのNAGO R4 NACKの重量は147㎜モデルで159gと軽量ですから、決して軽いサドルとはいえません。とにかくサドルに関しては自分に合うかどうかが最大の問題なのです。プロロゴのNAGO R4には2万円以下のモデルもあるので、いずれ使ってみたいと思っています。

今回購入のポイントはFabric Cellの代替なので、あくまで乗り心地重視でした。先に「まさにフカフカ」と書きましたが、センターラインと後部はFabric Cellと比べても遥かに柔らかいメッシュのような感触でした。Fabric Cell は六角形のTPUセルが座面に埋め込まれ、エアスプリングとして働くという仕組みでしたが、Vento Antares Adaptiveは3Dプリンターで六角形のメッシュを組み上げたパッドを使用しているのです。

しかも、座面の部位によってその硬さを変えていて、センターから外側へ向かうにつれて硬くなっているのです。これは全体がセンターのような柔らかさだと座面が沈み込み過ぎてパワーが逃げることを計算しているだと思っています。

シェルはカーボン強化ナイロン製で中央にはPASの空洞があるのですが、単なる穴開きではなく3Dプリントのパッドがそれを覆う形になっているのです。しかもPASの周囲は全面格子ではなく一部にフラットなラインを配置しているのでPASへの食い込みがありません。このあたりは以前のモデルからの進化でしょう。

実際にスマートローラーで使用しているCAAD10に取り付けて使用してみました。CAAD10のシートポストはフィジークのCyranoを使用していたので、取り付けと角度調整は簡単でした。ただ、Vento Antares Adaptiveのパッドは滑らないので、サドルの位置決めは正確さが必要でした。加えて、センターラインと後部の柔らかさを活かすためにも、サドルの位置決めは極めて重要でした。

これまで使用して来たサドルの座面はTPUやナイロン素材で滑り易かったので、5㎜~10㎜程度ならお尻を滑らせて調整出来ていたのですが、このサドルはそうはいかい代物でした。逆に言えば、サドルとお尻のフィット感は抜群で、実走でも余程ぶかぶかのビブショーツでも履かない限り、パッドで股間が擦れることはないと思います。パッドがお尻にしっかりと張り付いているような感覚なのです。

これはプロの選手でも同様です。ポガチャルのようにポジションが一定で走る選手はこのモデルを使用していますが、ポジションを前後して走る選手は3Dプリントモデルを使用していないのです。これは、サドル選びの重要なポイントになります。UAEチーム・エミュレーツの選手でもあえてVENTO ANTARESを使用する選手もいるのです。

問題は価格で50,900円と高価な製品だということでしょう。昨年までは46,400円でしたから一機に1割値上がりしていますので、乗り心地に拘らないのであればここまでの製品は必要ないかもしれません。プロロゴのNAGO R4には2万円以下のモデルもあるので、若い方ならこちらの方が良いかもしれません。

私のように年齢を重ねて来るとお尻の筋肉も落ちて来ますので、サドルの柔らかさは不可欠なのです。若い人なら超軽量なカーボンサドルという選択もありなのでしょうが、齢を重ねるとそうも行かなくなるようです。ここは重量を多少犠牲にしても快適性を取らざるを得ないのが実情なのです。