それにしても、雨で濡れた急勾配の石畳を先頭で駆け上って来たロンド・ファン・フラーンデレンのファンデルプールの姿には感動さえ覚えました。これまでも雨の日のレースには強さを見せていたのですが、あのスリッピーな石畳の20%を超える急勾配をどうしたら登れるのかを真剣に考えました。
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考えられる理由のひとつは彼のシクロクロスでの強さだと思います。オフロードのシクロクロスでは、砂の上を走ったり、芝の上を走ったりするため、タイヤへのトルクの掛け方が非常に上手いのでしょう。以前はペテル・サガンのバイクコントロールの上手さが注目された時代がありましたが、彼はMTB競技出身者でした。オフロードを上手く走ることが、スリッピーな路面や悪路の石畳やストラーデビアンケ等で生かされることは間違いないでしょう。
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昨年のパリ~ルーベでファンデルプールはVITTORIA CORSA PROの32Cを履かせて臨んだと言われていますが、カタログスペック上でCFRのタイヤクリアランスは30Cとなっているのです。彼がいったいどの位の空気圧にしていたのか迄は分かりませんが、メーカーのスペックを越えた太いタイヤを選ぶというのは空気圧を低目にできるからと考えるのが一般的だと思います。VITTORIA CORSA PROの推奨空気圧は同じ体重なら24Cと32Cで約1.5Barも違うのです。
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エアロロードが石畳を駆け抜けられる理由は、ロードバイクのディスクブレーキ化で太いタイヤが装着できるようになったことが大きいと思います。勿論、タイヤの進化もあるはずです。Corsa PRO は320TPIのコットンケーシングを使用し、プロ仕様のしなやかさ、柔軟性、快適さを提供し、さらに柔軟で空気力学的で信頼性の高いタイヤ構造をしているといわれているのです。そしてこのタイヤが今季ここまでのクラシックレースのほとんどで優勝に貢献しています。
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一昨年まではコンチネンタルのGP5000Sも注目されていましたが、昨年のパリ~ルーベを征したのはVITTORIAのCorsa PROで、3大グランツールを征したのもCorsa PROでした。昨年はユンボ・ヴィズマ(今季からはヴィスマ・リースアバイク)が独占してしまった結果だったのですが、グランツールに強いヴィスマ・リースアバイクとワンデーレースに強いアルペシン・ドゥクーニンクが共にVITTORIAユーザーであることを考えると、今季はVITTORIAの圧勝になるかもしれません。
今年のパリ~ルーベはここまでの好調さと、最大のライバルだったファンアールトが先週の落車により鎖骨と肋骨骨折で離脱を余儀なくされ、ファンデルプールの連覇が濃厚とみています。今年はオリンピックイヤーで、しかも開催地がパリということもあり、現地の盛り上がりは大変なものになると思います。
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