Danchoのお気楽Diary

高校3年間応援団だった「応援団バカ」の日記。スポーツ観戦や将棋等の趣味の他、日常感じる事を、「ゆるゆる」綴ります。

『風』から『土』になる瞬間

2007-12-09 03:00:00 | 読書感想
風屋さん10月8日のエントリー記事『青い月のバラード』を拝読して、小生もちょっと興味が沸き、読んでみました。

青い月のバラード―獄中結婚から永訣まで (小学館文庫 か 8-1)
加藤 登紀子
小学館

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風屋さんのような文才はないし、読書感想文もからきし苦手なので、果たしてうまく伝わるかどうか自信がないですが…。

この本は、著者で歌手の加藤 登紀子 さんが、夫である、学生運動化家で「エコロジスト」の藤本 敏夫 氏との、出会いから永訣までを綴っている内容。

その中で印象的だったのが、加藤さんはご自身が『風』のように人生を歩んで行きたいし、またその様に人生を歩んでいたようですが、夫の藤本氏が肝臓癌に冒され、最後の最後まで勇猛果敢に癌と戦った末に、「もういいだろう」と呼吸器を外して天に召される瞬間、加藤さんご自身が『土』になった…というところでしょうか。

人は、一人では生きていけないけれど、生を全うして旅立つ「最期」は、たった一人。
この世で残した業績も何もかも全てを残して、「裸一貫」で旅立ちます。
その期限は「神のみぞ知る」ですが、どんな人間でも共通しているのは、この一点。

たとえ、本人が『土』や『水』のように生きても、その生を全うし、昇天した瞬間に、恐らく『風』になるのだと小生は思っています。

逆に、残された家族だったり親だったり、こんな小生を大事に思ってくれた友人・知人達にとっては、その人達が、「自分は『風』のように生きている」と思っていても、昇天した小生が、いずれは『土』になるのだと感じます。

小生の周りの人達の「根」を支える『土』に…。

小生には家族がありますが、仮に今、小生自身が『風』で、家内や娘が『土』のような存在として生活を営んでいるとして、家内や娘に万一先立たれた瞬間、恐らく小生にとっては、先立たれた家内なり娘の存在は、本当の意味で『土』になるのだろうな…と感じます。

これは、『3年B組金八先生』の前回の第7シリーズでも展開された内容でもあり、その時に凄く共感を覚えました。

この本を読み終えて、そんな印象を持ちました。

一点、この本で「面白い」と思ったのが、加藤さんの洗練された『知床慕情』は、実は、加藤さんが夫の藤本氏と出会って間もなく、藤本氏が歌った『知床慕情』に打ちのめされ、その藤本氏の歌った『知床慕情』によってブラッシュアップされたという点。

素人目には、加藤さん自身が、紆余曲折を経て、現在の地位築き上げた中で洗練されたものであったとばかり思っていたのが、実はそうではなかった…。
加藤さんにとって、獄中結婚を決意させるだけの存在となった、この藤本氏との出会いがなければ、ファンの心に染み入るような加藤さんの『知床慕情』はなかったかもしれないのだな…と。分からないものですね…。

それはなにも『知床慕情』に限ったことではなく、数々の加藤さんの曲にも表れている気がします。

例えば、『難破船』。

これは、小生なりの理解で、違っているかもしれないけれど、出会いから獄中結婚、そして離婚寸前というところまでの「大変な曲折」を経て、最後の最後の「永訣」に至ったその全てが表現されている曲のような気がしています。

この加藤さんの本を読んだ後聴いた『難破船』…実に重みがありました。

これをカバーしたのが、読者の皆さんもご存知の、中森 明菜 さん。

加藤さんと中森さんが音楽番組で共演なさった時のトークで、『難破船』は、加藤さんご自身としては、中森さんにカバーして欲しかった…みたいな会話がなされたことを、覚束なくも記憶しているのですが、加藤さんと藤本氏の「大変な曲折」などもひっくるめて、中森さんが抜群の歌唱力で見事にカバーできた点は…ただ唸るばかりですね。


小生も、誰かの『土』になれるように、せっかく受けた生を、これからも全うしてゆきたいと、改めて感じさせた本でした。

(ちなみに、2週間ほど前でしょうか…休日の昼のテレビの特番で、加藤さんが、夫の藤本氏が愛した千葉・鴨川で、藤本氏と親交のあった人達と触れあい、「土いじり」をしていた様子が放映されていました。そんな様子を拝見して、やはり天に召されて「永訣」なさった夫の藤本氏の『土』となって、今でも支え続けているんだな…と感慨深く視聴していました。)
Comments (2)
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