知識は永遠の輝き

学問全般について語ります

不都合な真実

2021-02-13 06:57:14 | 医学
 不都合な真実という言葉はアル・ゴア(Albert Arnold Gore, Jr.)の著作不都合な真実(An Inconvenient Truth)の日本語タイトルなのですが、それ以来日本語の書籍のタイトル付けで流行している言葉です。私の見る所『〇〇の不都合な真実』というタイトルは『間違いだらけの〇〇』と似たような感覚で使われているように見えます。さすがに後者の方が多いようですが。それで私はこの2つの言葉のあるタイトル本はまず疑ってかかる習性が身に付いてしまったのですが、時には黒いカラスの中の白いカラス、砂利石の中の宝石もあるわけです。

  峰宗太郎;山中浩之 『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実 (日経プレミアシリーズ)』日本経済新聞出版(2020/12/09)

 これは良い本でした。キンドル版もあります。まず聞き手のYさんの姿勢がいい。
 「専門家がコメントとして発する一言は氷山の一角」「(当然のこととして)あえて話さない水面下の膨大な思考や経験を無視して、自分にとってわかりやすい部分だけ受け取ると・・・」。

 また9章と「おわりに」は語り手の峰先生も「最も訴えたいこと」と書いている通り、あらゆる分野で役立つ情報リテラシーの話になっています。とはいえ納得するのは易く実行はなかなかに難しい。

 私自身も4、6、7章などでの正解率の低い検査法の扱いに関しては目から鱗のところもありました。物理科学分野での測定では、誤差は必ずあるとはいえ2.03mと測定値が出たものが2.5mであることなどあり得ないと断言してもいいのが普通ですからね。偽陽性や偽陰性が何割レベルであるような測定値の扱いというのは、どうにも実戦カンが働きにくいのですね。生物系の測定ではこちらが当然なんだから自戒しなくては。

 そう言えばフィクションにはこんなシーンが出てくるようなものも時たま。
 「この毒は飲んでから30時間で効果が現れる。それまでに解毒剤を届けなければ。」
 「あと30秒でタイムリミットだ・・5、4、3、2、1、間に合わない!」
 「おや、まだ死んでない。そうか、飲んでなかったのか。よかったあ。」

 これじゃあマシーンですよね。

 この本の中で、免疫学についてのお薦め本も紹介されていますから、私も基本をブラッシュアップしておいた方がいいかも知れませんね。

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