「直ちに撤収」ガスで写真を撮る意味無し
鮮やかな夕暮れと綺麗な星を眺めた翌朝の山頂付近は、ガスの中。20m先の山頂小屋も見えなかった。
朝5時には、そよ風程度だったが、7時には、風速が10mを越えるようになってきた。
天気予報も午後からの雨を知らせていた。更に、雷雨も予想されていた。明日の天気も同じ。
入山した時から、天気が悪ければ無線運用にこだわらず、撤収と決めていた。回復の見込みは、ほとんどゼロと見た。
直ちに撤収開始。あとは、どこまで帰るかだ。8時頃には、片付け完了。すでに、風速15m以上だ。雨は大したことない。
しかし、中岳山頂への登り返しは大変だった。明らかに風速20m以上、気を抜くと風で倒されそうになる。
この悪天候でスニーカーにビニールカッパだけの親子とすれ違う。
↑無事に戻って来れたとしても褒められたもんじゃない。
「宝剣山荘は、大混雑」
中岳山頂を過ぎると風はそよかぜ??しかし、さえぎる物のない尾根筋は強風だ。
こんな天気にも関わらず、これから登る登山客で、宝剣山荘は、一杯だった。どうして????
雨が断続的に強く降ってきた。
ビニールカッパの男性に聞かれる。
「今日は、こんなにひどい天気だったのですか?」
「朝からこんな天気でした。暴風雨ですね。」
「地上は、青空が見えていたのに。」見ると半ズボンが、びしょ濡れだ。
しばらくして、その男性夫婦は、私に会釈をして暴風雨の中に出て行った。
結局、宝剣山荘に泊まり、僅かに天候回復を期待したが、翌朝までこんな天気だった。
「下山命令発令!!」
14日の早朝5時半に山荘の担当者が、各部屋を回って「規程雨量を越えたため、林道が閉鎖されました。直ちに千畳敷まで下山してください」と知らせにきた。最悪の事態だ。帰れるのだろうか?
相変わらずの暴風雨。軽く朝飯を食べて6時45分に下山開始。
ところが、乗越浄土から八丁坂に入るとピタリと風が止んだ。正確には、風が遮られたんだろう。
実は、右手にポールと左手にアンテナを抱えていたので、足場の悪い八丁坂下りでの強風を心配していた。
とにかく機材を転落させないように慎重にゆっくり降りていった。
雨ではあったけど、静かな千畳敷を満喫出来た。
「再会?」千畳敷駅にて
「テント場にいらっしゃった方ですよね!昨日は、どちらに?」
「宝剣山荘に泊まってました」
「私達は、2日間ずっとテント場にいました。」
「えっーー、テント場に?この暴風雨で?昨夜は、雷雨だったでしょ?」
「昨日は、ずっとテントの中でした。食事は、山荘で出してもらいました。右から左に雷が過ぎていました。実は、初テント泊だったんです。」
更に、驚いたように近くにいたお兄さんも加わる。
「昨日夕方、テント場に行くと、テントが一つだけあったので、大丈夫なんだと思ってテントを立てたけど、風雨がひどいので、片付けて宝剣山荘に泊まりました。テントは、泥まみれ。悪天候で来た意味なかった。」
更に、もう一人加わって、悪天候で足止めされた事、眺望がなかったことで盛り上がった。
「道路通行止めで、観光客のいない雨の千畳敷カール。ガスが切れて一瞬、山が見える」
風も殆どない千畳敷駅からロープウエイでしらび平へ降りた。地上は、雨も無く曇りだった。
そこには、観光会社のバスが止まっていた。
今回は、。少しでも綺麗な景色を堪能できたし、悪天候であったおかげで、いろんな方と話が出来た。
山は悪天候の方が、想い出やコミュニケーションが沢山出来る?なあと思った。
「雨のロープウエイ。まあ、こんな感じだ」
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