Lazy-Hアンテナアレイ、理論と解析では非常に良い結果が得られたが本当の所どうなの?を確認してみた。
今回の比較対象のアンテナは1200MHzの下記の3種だ。
上から順に、10段同軸コリニア(もちろん自作60g)14エレループアンテナ(仲間からの寄贈品、500g)←どちらも渾身の一作!
そして一番下がヒノキ棒で試作したLazy-H2列スタック(2エレ4列2段スタック、100g)だ。
このメンバーでは同軸コリニアかなり部が悪いか。
Lazy-Hのスタックの解析利得はカタログ風に書けば15.0dBi、RADIXアンテナの13エレの利得13.8dBiを超える。
【解説】
ビームアンテナのエレメント当たりのゲインは2-3エレが最大。その後はエレメントを増やすとエレメント当たりのゲインは低下する。
そこでゲインを考えるならば2-3エレを多数スタックするのが一番良い。しかしスタックケーブルが多数必要になり損失が増える。だからエレメントを増やしてスタック数を減らす。
Lazy-Hはその点も素晴らしい。給電は平行フィーダーで行われるためにスタックコネクタ等不要で損失を少なく出来る?
更に2エレのゲイン増のためにラジエーターを5/8まで長く出来る
【Lazy-Hアレイ製作】
写真を見てわかると思うが「帯鋼」を使って試作し軽量に仕上がった。ラジエータに関してはエレメント径やエレメント長を動かしても殆ど利得やインピーダンスに影響はない。一方、リフレクターはパターンに影響を与える。
(自作する際に0.5mmの精度は必要ないので簡単だ)
組み上げてSWRを計測すると1295MHzでは2.0程度だったのでスタブを付けて1295MHz付近へ調整した。
調整結果は下記の通りで1250.5MHzから1351.5MHzまでSWR2.0以内となった。
ノイズフロア低下にはこれで十分だ。これ以上の帯域は性能を悪化させる。出来たてのアンテナを使用してアンテナ比較だ。
【比較手順】
RFジェネレータから1295MHzのFM波を同一レベルで連続送信する。
3m離れた地点でそれぞれのアンテナで受信し受信レベルを計測する。これを3回繰り返す。
【結果】
同軸コリニア 受信レベル-82dBm、一番強い信号を探せば-75dBmまで上昇するポイントがある
14エレループ 受信レベル-73.5dBm、非常にクリチカルにアンテナの方向と角度を動かす必要がある
Lazy-Hアレイ 受信レベル-74.0dBm、14エレよりはかなりブロード
【結論】
- Lazy-Hアレイは14エレループと比較しても利得面で遜色がなく、ブロードなパターンでむしろ使いやすいことが判明した。
- Lazy-Hの単体でも八木の7エレ相当なのでかなり使える。
- 同軸コリニアは-8dBであることが判明したが、やはり様々な反射波を捉えるせいか同じレベルになるポイントがあった。(アンテナ固定では無理)
Lazy-Hビームの製作資料を公開します。(2エレ2列2段スタック)
ラジエターは1/2λ〜5/8λまでの間で選択して下さい。
ラジエータ⇔リフレクター間隔は5cm前後であれば問題ありません。(10%程度誤差があっても性能に影響がありません)
軽量に制作すればゲインは7-8エレ相当で水平面は広いので、八木やループよりは使いやすい。
【左側がラジエータ、右がリフレクターのサイズ、注意点はリフレクターの設置位置のみ】
※銅線の引き回し部分に金属が近づくと性能が低下します。ラジエータ部分は木材かプラスチックで製作する。
簡単に制作できて高ゲインです。ぜひ試してみて下さい。
もちろん、リフレクタを銅板とすれば若干ゲインアップですが、取り回しが悪くなり、重くなります。
デメリットに感じます。
はじめまして、Lazy-Hはアンテナ理論?の全てが詰め込まれたものに思えます
この構造を眺めているだけで様々なバリエーションが浮かびます。
4エリアで実験されていたAWHにも非常に興味があったのですが山岳移動での持ち歩きには不便そうだったのでLazy-Hにしました。
本記事にコメントを頂けるようですので、アンテナには非常に詳しい方なのでしょうね。
これからもご教授宜しくお願いします