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430MHz帯8段同軸コリニアアンテナ調整

2019年02月03日 12時32分34秒 | 同軸コリニアアンテナ

関東のある無線局からメールを頂いた。

「8段コリニアを作った後の最終調整をお願いしてもよろしいですか?」郵送するとのことだった。

2日後に受け取り開封してみると1/2λエレメント部分のはんだ付けが甘かったので、その旨をメール回答し再度作り直して貰うことにした。

結局、その週末に研究会メンバー宅へ足を運んで頂いて一作目のアンテナの調整と制作の勘所を伝授することになった。

【製作品の点検、調整開始】

・調整用のスタブが3D2Vで作られていたので100mm程度の1.5Dへ変更してもらう。

→1.5Dならば1mm単位のカットで調整出来るので調整し易い。3D以上のスタブでは網線1本1mmみたいな調整になる。

研究会メンバーが更に付け加える

「マニュアル通りに制作してあれば430MHzでも1mm程度の誤差はスタブ調整と最悪でも上部位相整合部の調整で思った周波数に持っていけます」

手元の「コリニアアンテナ制作マニュアル」には自身で計算した1/2λエレメントのサイズなどが書き込まれていた。

【調整開始】

せっかく持ってきて頂いた一作目のアンテナの調整が一回で成功するのか?一抹の不安を感じながら

メンバー宅の屋上へ上がりVNAをアンテナ直下に取り付けて調整を開始した。

●マニュアル通りに制作していてもスタブを取り付けただけでは430MHzバンドの帯域内には全く共振点がない。

本当に帯域内で共振するのか?

〈最初の計測値〉

【スタブカット開始】

スタブカットの効き具合、効果確認のために最初は5mmカットしてもらう。

全く周波数が動かない。更に5mmカット。全く動かない。10mmカットして下さい。測定値を確認しながらお願いする。

〈屋上での調整風景、10mのグラスポールを使用している〉

65mmほどカットしてやっと変化が見えてきた。長かった!SWRメータやアナログ式アナライザーでは検知できない変化かもしれない。SWR値で表すならば6.5-7のコブが420MHz付近に出始めた。

これが共振の前兆だ。

ここからは2mmづつのカットをお願いする。

周波数が高いほうへ移動し共振が深くなっていく。420MHzでSWR6-7だったけど2mmずつカットで429MHzSWR2.5へ移動してきた。

これで430MHz内での共振が見えてきた。ここで2mmカットから1mmずつカットを行ってもらう。

ついに430MHz帯域内への共振が見えてきた。一方、470MHzにある強い共振は変わらない。

1mmカットでは調整に非常に時間がかかるので、ここからの終盤の調整は私が手を出す。

いちかバチカ「3mmカットします」・・どうなるやら??

おーー思い通り一気にここまできた。

共振も近づいてきたので測定レンジを430MHz帯に絞ってみる。

ここからは1.5Dでも微妙なカットを行う。切りすぎればやり直しの運命。ここから0.5mm単位のカットとなる。気持ち0.5mmカット・・更に0.5mm・・・下記の通り究極の調整完了だ。

RL -38.13(=トランスミッションロス無し) SWR=1.03

430-437MHzまでSWR2以下(実運用で同軸ケーブルを取り付けると見かけ上の帯域は更に広がる)

(SWR2の範囲が8-10MHz程度あれば調整終了)

→VNAだから微妙な値で表されるが、SWR計ではSWR=1?

私「あっという間に(30分以内)調整出来ましたね。マニュアルのサイズで制作すれば大丈夫です」

「いやいや、1回作って作り直しましたから5時間かかりましたよ!」

私「それに往復の電車の時間ですかね?」←(往復5時間??)

【聞き比べ開始】

調整が終了したので、アンテナに5DFBを15mつないでまたまたX7000との聞き比べだ。

X7000は8DFBで接続されている。これまで12段以上の同軸コリニアでの聞き比べだったが初めて8段コリニアでの聞き比べだ。

研究会メンバーがIC9100を用意しまず8段コリニアで受信する。メンバーも心得ていてSメータが1または振れていない局をピックアップする。

メンバー「X7000に切り替えますよ」「あれーー聞こえない!!本当にこんなことが起こるのですね!」

メンバー「次はこの局」「切り替えるとノイズっぽくて了解度悪い。こんなに違うんですか?」

私「比較するとすぐわかるでしょ」

8段同軸コリニアでもかなり差が出ることを確認できた。16段では利得、切れもあり更に差が出て当然だ。

【仕上げ】

アンテナ試験も終わってアンテナを下して最終加工を行った。

段間に塩ビパイプを取り付け、アンテナトップにはコーキング剤を塗布した。スタブのある部分は接着剤が固まるまで作業が出来ないので後日補強パイプの固着を依頼した。

後日、連絡を頂き下記の通り完成したそうだ。

スタブの長さは20mm程度、パイプに割を入れてスタブが通せるようにしてボンドで固着する。

【まとめ】

  • マニュアルの長さで作れば大きく周波数がずれることはない(実は周波数低めになるように設定してある)
  • 8段同軸コリニアでもノイズフロアが低いことに変わりがなかった
  • いずれにせよスタブの最終調整段階では0.5mm作業となる

来訪頂いた局は「これで自作同軸コリニアとカードに書ける」と喜んでいらっしゃった。

お気づきの方はいると思うが別の制作方法にも気づいてしまった。検証して新たな製作マニュアルを書くかも。

※X7000はマルチバンドアンテナとしては良いアンテナであり適材適所で使用すれば問題ありません。そもそもシングルバンドアンテナとの比較なので性能差があって当然と考えています。


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
百見は一聞に如かず? (eut)
2019-02-04 06:42:04
おはようございます。
現場に行ってフロアノイズって、こんなんだ!って、実感できました。また、お願いします。
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まゆつば? (7K3DIW)
2019-02-04 23:05:51
eutさん

神奈川ラボにお越し頂き、ありがとうございます。
体験してみると実感できるでしょ!!また研究が進みましたら確認実験しましょう!
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グラスファイバー折れ (JH0IQI)
2019-02-12 13:24:09
想定外の強烈な突風により ポールがコケて3mほど短い ポールに成りました、以前お勧め頂いた竿を 再度ご紹介いただけますか?お手数ですがよろしくお願い申し上げます
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大変遅くなりました (7K3DIW)
2019-02-23 07:46:34
IQIさん

ポールはこれが一番ですが
http://www.uedamusen.co.jp/cgi-bin/shop/goodsprev.cgi?gno=dxwire_10mextra
頑丈すぎて重いかも?

http://www.edcjp.jp/CG/cg-index3.html
等もあります。
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