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「同軸コリニアアンテナ研究会」でgoogle検索するとHPをご覧いただけます。研究成果がまとめてあります。

各種アンテナのノイズフロアの確認

2017年10月15日 12時33分14秒 | 同軸コリニアアンテナ

同軸コリニアがメーカ製ワイヤ型コリニアGPよりも都市ノイズに強いことが判明したが、他の形式のアンテナと再度比較してみた。

比較した場所は住宅に囲まれた谷底だ。前回のX7000と比較した場所は、都市ノイズの影響を大きく受ける横浜の標高40m程の高台だった。

今回はその麓の公園だ。

持ち込んだアンテナは、16段同軸コリニア、10段同軸コリニア、4段同軸コリニア、1/8λモービルホイップ、6エレ八木だ。

そして雨の合間でもあるので測定は『RF Explore』を使った。断続的に飛び込むノイズを計測するためにノイズ入力をMaxHoldし測定する。

まずはハンディ機で受信するも433.0MHzの±500kHzはなにも聞こえない。聞こえるのはノイズのみだ。

ノイズ変動も考えられるので3-4分ずつ夫々のアンテナで3回433MHzの±500kHzをスキャンしてノイズの影響を比較してみた。

都市ノイズは断続的または連続的に入ってくる。高台ではほぼ連続的なノイズが飛び込んできていた。さてどうなるか?

『モービルホイップ』

まずはモービルホイップを『RF Explore』で3分間スキャンしてみる。結果が下記の写真だ。

3回の測定を平均すると最大ノイズ強度-104dBm。平均ノイズ強度が-107dBmとなった。

【写真はボケている】

さて、有意な差が本当に出るのかな?と疑問に感じた。

『同軸コリニア』

最初は16段同軸コリニア、10段同軸コリニアと計測してみた。16段と10段は1dB程度の差はあった。代表して10段の結果は下記の通り。

3回の測定を平均すると最大ノイズ強度-108dBm。平均ノイズ強度が-111dBmとなる。

モービルホイップの写真と比べると明らかに都市ノイズレベルが低いのが分かる。

『6エレ八木』

これまで比較実験をしていなかった6エレ八木で測定してみた。結果は下記の通りだ。

写真撮影時はアンテナを外したので・・ノイズ信号が入っていない。

平均すると最大ノイズ強度-105dBm。平均ノイズ強度が-107dBmとなる。

【ノイズフロアまとめ】

前回blog読者から頂いたデータと同様の結果となり、やはり同軸コリニアが一番ノイズを拾い難いことが判明した。

これまでの結果と合わせてノイズフロアが高い(ノイズを拾いやすい)順に並べると

①モービルホイップ=ワイヤタイプコリニア(メーカ製GP)=八木=ループ系アンテナ

②1dB程度の違いで4段同軸コリニア(① - 1dB程度)

③更に3dB差で10段同軸コリニア(① - 4dB程度)

と確定した。

【同軸コリニアの優位性結論】

この実験のきっかけは・・東北の港湾土木業者に納入した同軸コリニアが市販GPよりも3倍以上もの受信エリアを持つことがきっかけで始まった。

当初はあまりに大きな差なので研究会メンバーも以前のアンテナ設備に問題があるのでは?が大勢を占めた。

AISは船舶に搭載されてAクラス12.5Wと規定されていて基地局、船舶ともアンテナはほぼ100%同一規格である。

更に船舶が海上を航行しているので発信局側のアンテナ高の差はあるが地形差はなくアンテナ性能の真価を試すことが可能だ。

アマチュア無線ではアンテナ形式も出力もロケも異なる中での比較で・・よほど考えた実験を行わなければ有意な差を検知出来ないのが現実だ。

まとめると8段以上の同軸コリニアは

●八木、ループ、GP系よりも少なくとも4dB以上ノイズフロアが低い。(ノイズ排除能力が高い)

→都市部のノイズレベルは実際には4-16dBありこれがアンテナに入ってくる。

→このノイズを全て受信すると受信距離が30%-60%低下するのを意味する

(送信はカタログ値通り飛んでいるが、受信できないということ)

(※1:   60%低下すると見かけ上、同軸コリニアが距離で2.5倍先まで受信できるように見える)

●200km先の電界強度がメーカ製GP、ホイップよりも6dB強い。

→IC7100の電界強度とSメータの関係を調べて貰った(TKS AJE局)

プリONでS5 -99.6dBm ,S7 -93.8dBmが判明した。

→この結果は伝搬距離が1.5倍に伸びる数値だ。

→近距離のSが弱いがDXには威力を発揮

以上の実験結果で「港湾土木業者に納入した同軸コリニアが市販GPよりも3倍飛ぶ」が証明で出来たと思っている。

16段同軸コリニアは12.3dBi(RADIXの6エレ八木が360°睨んでいると同等byJH0IQI曰く)の利得だ。

勿論、これ以上の多エレメント八木が正対しているものには敵わない。

しかしノイズフロアの高い都市部の運用では最大6dB程度の利得差があってもノイズフロアが低い分20dBi程度の八木(20エレ八木またはそれ以上のスタック)とは互角に戦える可能性が考えられる。

しかし多エレメント八木及びスタックはカメラレンズで言うならば超望遠レンズのようなものでピンポイントを捉えれば抜群!

コリニアは魚眼のようなもので、全体を見渡せるがピンポイントには弱い。

使い方はあなた次第!!

さて次は何を研究テーマにしようかな?ん、その前に20エレ以上の八木と比べろ!って。

【最後に】

本実験に様々な形で協力頂いた皆さま、ありがとうございました。

ノイズフロアに関して追試を行って頂いた、JR1TAR局

長距離伝搬実験に協力を頂いた、JR1IZM局

ノイズフロアの違いに気づかせて頂いたJE2SDE局

快く測定機材の提供をして頂いた7N4AJE局

2度に渡り日高市への案内と運転していただいた7K1CRZ局

熱海および日高市での伝搬実験で交信頂いた皆さん、本当にありがとうございました。


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
本当に (7K3DIW)
2017-10-20 22:01:53
CRZさん

2回も移動運用に同乗させて頂き、大変ありがとうございました。お陰様でアンテナ研究が進展致しました。
川越はうどんも美味しく、醤油ソフトも美味でした。色々紹介頂き、ありがとうございました。
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Re:追記しました。 (7K1CRZ)
2017-10-20 21:26:02
本当に失礼だ。
怒るのも当然だよね。人として。
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失礼しました (7K3diw)
2017-10-20 20:44:43
追記しました。
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追記 (7K1CRZ)
2017-10-20 20:14:43
2度に渡り日高市への案内と運転していただいた7K1CRZ局
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