私たちのお店のパンの種類は季節によってどんどん変わります。
でも開店して6年、あんパンやクリームパンのようにず~っと並び続けているパンがあります。
こんな定番商品の中にこのごま餡団子があります。
「これ、パン?」と言われることがあるように、中華料理の点心のような
外側の胡麻が香ばしく、中はお餅のようなモチモチした食感です。
高齢者だけでなく意外にも高校生にも人気の商品ですが、どちらかというと地味な商品、
手堅い脇役といったところです。
でも二年前までは、ある会社での販売で大人気でした。
そこは流通系の会社で、中国やベトナムから来た若い人たちがたくさん働いていました。
昼休み、パンの周りを取り囲む日本人の社員さんの間から遠慮しながらチラチラと
パンを覗いている中国の人のグループがあり、社員さんがそっと「彼らは言葉が通じないし
生活が大変だから、なかなか買えないのよ」と教えてくれました。
でも、突然その中の一人がごま餡団子を指さして大声で仲間を呼び、ぞろぞろと
笑顔で集まってきました。
口々に何か話しかけてくるのですが、私たちには中国語がわかりません。
でも、電卓で値段を見せると指を1本立てて、財布からお金を取出して
「これでいい?」と笑いかけてきました。
これをきっかけに、昼休みになると待ちかねたように中国の人達がこのごま餡団子を
買いに来てくれるようになり、毎回今日は20個、今日は30個、最後には
1度の販売で50個ずつ売れるようになりました。
彼らが中国で食べていたごま団子に似たこの商品、懐かしいと感じてくれたのでしょうか。
私たちが知っている唯一の中国語「謝謝!」と言うと、どっと笑い声があがり
「ありがとう」と日本語で返してくれるようになりました。
でも、コロナがやってきて・・・・・あんなにたくさんいた中国の人達はみんな
国へ帰ってしまいました。
おいしそうに食べてくれたごま餡団子、彼らは中国でうちのお店の味を
思い出してくれることがあるでしょうか。
このところ、川越市内にも感染者がどんどん増えて心配な毎日ですが、
早くこのコロナウイルスが終息して、みんなが自由に安心して行き来できる日が
来ることを祈っています。
どうぞ、皆様くれぐれもお気をつけて。
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