土手猫の手

《Plala Broach からお引っ越し》

「必要」(転載)

2013-12-30 22:28:51 | 夢日記/感興小説(改稿)
   「必要」

                          本居 寝子

5/19。
「私は最後でいいわ」そう口が衝く。
ここは引っ越しのシーンか、声に息をつく8、9人は女性ばかりのようだ。
何故だろう。
何時のものだろう。片付けの中で現れた贈答品は、かなり古い物に見える。古めかしい概念。
今どきこんな大きさ一辺が6、70cmは有ろうかと思える立派さ平たい箱。そこに然と整列されたデコボコの乾電池。およそ不釣り合いなその仕業。
なんだろうこれは。
何時の物とも知れない電池に並ぶ奇妙な光景。
一人また一人と手に手に列は崩れて行く。
いつしか、とうとう箱の前に立つ私はどうやらここではトップらしい。
サイズこそ違えど先の者が遠慮する必要も見えない程の品だったからの筈のそれであった物。
一つを選ばなくてはならない目の前に見たものは二つの、たぶん時計。
片方はそれとはっきり解る昭和の昔の風情を認(したた)めた金色の厳かなもの。
もう片方は日めくりのギミックが付いたレトロ玩具を思わせる曲線を帯びた真鍮のもの。
私の手の平で丸くすっぽり握られたのは。

6/23。
よく覚えていないけど。
でも。今欲しいのは新しい乾電池なのよね。
実際、昨日止まってしまった時計(マーゲイ君)を動かせるものなのよね。

2009.6.23「Open Sesame」初出
http://pub.ne.jp/nekome9_1/?entry_id=2240598

2013.12.30 修正。
「様だ」を「ようだ」、読点を一箇所足して、数値をちょっと変更しました。

マーゲイ君とは、目覚まし時計の上に座っている猫の名前(元々)です。

取り急ぎ(?)
 良いお年を!

《Plala Broach「土手猫の手」2013.12.30》



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