おとぎのお家と青い鳥

本ブログでは、主に人間が本来持つべき愛や優しさ、温もり、友情、勇気などをエンターテイメントの世界を通じて訴えていきます。

Super Santa Claus シンデレラ / 蛍3

2011-12-18 21:19:35 | 人・愛・夢・宿命・運命・家族・社会・希望

クリスマスツリー只今、当ブログではクリスマス特別作品として『Super SantaClaus シンデレラ』の連載を開始しています。本作品は、地球を飛び出し宇宙規模でシンデレラと七人の小人たちが、それぞれが持つ超能力を発揮しながら、現実に起こる問題を痛快・愉快に解決していく、超スペクタクルロマンの作品です。そしてさらに、アニメや童話のようにファンタジックに飛んだ世界の中で、人間愛や家族愛、友情、優しさ、エンターテイメント性などを通じて、多くの“愛と感動”を読者のみなさんに届ける作品です。どうぞ、当ブログで「シンデレラ」とその仲間の「七人の小人たち」が繰り広げる、“愛と感動の大冒険”の物語を心行くまで楽しんでください。


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企画 / 下家 猪誠
第3話 ララちゃんのふたつの願い

★前回までのあらすじ

―♪Sha la la la・・・・・―

―事件の依頼あり。すぐ帰れ。ルドルフ <  m(__)m >―

シンデレラは、彼女のお守り役として、全宇宙の神王キングゼウスに一緒に地球に行くように命じられた、七人の小人のリーダーであるルドルフおじさんから、突然事件の依頼があったことの連絡を受け、急いで帰宅している途中の、クリスマスのイベントで賑わうアップルタウンの町中で、ララという一人の女の子が車に撥ねられ血まみれになって倒れている事件に遭遇する。


―キキキー、キキキー・・・―

―ドッカーン!―


「きゃーっ!」
「た、たいへんだ!ラ、ララが・・・」
「うわーっ、だ、誰か、ララを助けて!」
―子どもが車に撥ねられたぞ!救急車を呼べ!―


シンデレラは、ララちゃんのことを放っておくわけにはいかず、逆にルドルフおじさんと連絡にレンレクを連絡を取り、その現場に来てもらうことにした。

―ピポ、ピポ、ピポ・・・―

―ウー、ウー、ウー・・・―

やがて、町の人の連絡を受けて、ララちゃんはやって来た救急車で病院に運ばれて行きますが、彼女がクリスマスプレゼントとして、ブドゥー人形と一緒に手に持っていたその中身を見て、シンデレラは驚きました。
それは、他の子供たちのプレゼントに比べて、その中身がちょっと風変わりな物だったからです。
なんとそのプレゼントとは、蛍の卵でした。
シンデレラはその訳を、そのご天の子になったララちゃん本人に聞き、その純真な気持ちに胸が詰まる思いがします。


「おーい、シンデレラ!ワシじゃワシじゃ!」
「あっ、ルドルフおじさん、相変わらず早いわね・・・」
「そりゃあ、可愛いわがお嬢ちゃんシンデレラに呼ばれちゃあ、何を放っておいても真っ先に飛んで来なくちゃあな・・・」
「おじさん、そんなこと言いながら、実際に飛んで来ているじゃない・・・」
「あっ、そうか。ワッハッハッハハ・・・」
ルドルフおじさんの声の方角がする、町のデパートの屋上の空の上を見ると、なんとそこにはトナカイに変身して橇を引く、ルドルフおじさんの姿があった。


―あっ、そうそう、ここでちゃんと説明しておかなくちゃあね。シンデレラも不思議な長州小力?!否、超能力を持った“Super Santa Claus”だが、彼女のお守り役の七人の小人たちも、それぞれに七人とも不思議な超能力を持っている“Super小人”なのである。例えば、ルドルフおじさんの場合には、トナカイに変身して時速300キロの速さで空の上を駆けることが出来たり、現在から未来や現在から過去へと自由に時間の空間の中を移動が出来たり、人の心を自由に操ることが出来たり、超ミクロの形に変身して人間や動物の躰に入り込んだりすることが出来る。そして、シンデレラを含めて七人の小人たちが共通して出来ることは、テレパシーを使って人間の子供や動物たちと会話が出来ることである。―


やがて、ジングル・ベルの鈴の音が聞こえ出し、♪ジングル・ベル ジングル・ベル・・・と聖歌隊合唱の歌が聞こえ始めると、天空から鮮やかな無数の色の光が降注いで来てシンデレラの全身を包み込み、グルグルと竜巻のように猛スピードで回転しながら彼女の躰が上空の方に向かって引っ張られて行くと、彼女はいつの間にかSuper Santa Claus「シンデレラ」に変身していた。


「あっ、ママ、あのデパートの屋上の空の上に、トナカイの橇に乗ったサンタクロースがいるよ・・・」
「どこ、どこ?」
「そんなもの、どこにもいないじぁない・・・」

―実際には、子供が言っていたとおり、けして二人の姿は大人には見えないが、純粋な心を持った子供たちの目には見えるのである。―


Super Santa Claus「シンデレラ」に変身したシンデレラは、ルドルフおじさんと一緒にララちゃんの容態が気になり、彼女が救急車で搬送された病院にその様子を見に行くことにしました。
さすがに往診時間が終わると、病院の中は人の姿が少なくひっそりとしていて、受付の待合場所に置かれているテレビの音だけが、やけに響き耳に入ってきました。
「ニュースをお伝えします。」
「今日午後七時半ごろ、バナナ通り三丁目の交差点で、横断歩道を渡っていた町内の小学校に通う児童ララ・ロアルドちゃんが、前方から突っ込んで来た乗用車に撥ねられ、頭を強く打つなどして意識不明の重体となっています。乗用車はそのまま逃走した模様です。・・・」
「犯人が逃走?」
「もしかして、ララちゃんの交通事故って、ひき逃げ事故ということ?!」
このテレビニュースを見てシンデレラもルドルフおじさんも凄く驚き、怒りをあらわにしました。
おまけに、悲しいことにララちゃんは二人が病院に行ってみると、もう強く頭を打ったのと出血多量が原因で死亡し、地下の遺体安置室に移されて霊柩車が呼ぶ準備の最中でした。
ララちゃんの両親は、その悲しみのあまりに何度となく彼女の名前を呼んだりして、何かを一生懸命に話しかけていましたが、彼女が両親の呼びかけに二度と反応することは、まったくありませんでした。
おまけに、ララちゃんを撥ねて死亡させた乗用車そのまま逃走し、まだ犯人は捕まっていませんでした。


「シンデレラ、こうなったらララちゃんためにも、弔い合戦だ・・・」
「なんとしてでも、ララちゃんをひき逃げした犯人を捕まえるぞ!」
「そうね、そんな非人道的な人は、絶対に許せないわね・・・」


「あっ!ルドルフおじさんちょっと待って。ララちゃんがいるわ・・・」
「えっ!あっ、ホントだ・・・」
何故だか?ララちゃんは天の国行きの汽車が出る駅に向かわずに、まだ病院の玄関の前に立っていました。
――シンデレラやルドルフおじさんたち七人の小人の役割は、人間界の子供たちの願い事や夢もそうだが、亡くなった子供たち夢や願い事を叶えてあげる手伝いをして、彼らが無事に天の国行きの汽車に乗れるようにしてあげるのも、神王ゼウスより任命された任務のひとつなので、生きている子供たちと同じように、霊になった子供たちとも普通に話せる超能力を持っている。――

「ララちゃん、こんばんは・・・」
「えっ!」
シンデレラとルドルフおじさんの姿を見ると、最初ララちゃんはビックリするほど驚いていましたが、どうやら二人がその訳をはなすと、まだ疑問はあるものの何とか理解をしてくれたようです。
「ところで、ララになんのようがあって来たの?」
「実は、ララちゃんがひき逃げ事故に遭った現場を、偶然通りかかってね・・・」
「じゃ、あなたはララのことを心配して来てくれたっていうわけ・・・」
「そうだね・・・」
「それより、どうしてララちゃんは天の国行きの汽車が乗る駅に向かわずに、まだ病院に残っているわけ?」
シンデレラがそう尋ねると・・・
「ララ、ちょっとやり残してことがあって、そのことが気になって・・・」
「やり残したこと?もしララちゃんが嫌じゃなかったら、話してもらってもいい・・・」
「そしてそのことを、ララちゃんが少しでも早く天の国行きの汽車が乗れるように、私にも手伝わせてくれない・・・」
「あっ、そうか!シンデレラって色んな超能力を持っていて、子供たちの夢や願い事を叶えてくれるSuper Santa Clausなんだものね・・・」
「ゴホン、ゴホン。ワシもそうなんだがな・・・」


「ひとつめのことなんだけどね、私ひき逃げした犯人の顔を見たの・・・」
「え、えっ!」
「そ、それって本当!」
ララちゃんの、いきなりの予想もしていなかった話には、さすがにシンデレラもルドルフおじさんも驚いた。
「きっと一瞬だったと思うけど、わりと車に撥ねられる瞬間は何故か?時間がゆっくりと回っているような感じがしたから、ハッキリと犯人の顔を覚えているの・・・」
「そう、それはすごいね・・・」
「こんなに早く死んじゃって、パパやママを悲しませたでしょう。だから、このままじゃパパとママが可哀相だから、早く犯人を捕まえて二人を安心させてあげたいの・・・」
「うん、分かった。犯人探しを手伝うよ・・・」
ルドルフおじさんがそう応えた。


「それより、もうひとつの相談ごとって?」
シンデレラがそう尋ねると、まだ五歳にも満たない子供の口から、彼女も思わず胸を打たれ泣き出しそうになる答えが返ってきた。
「村の川に蛍を戻してあげたいの・・・」
「蛍?」
「うん、蛍よ・・・」
ララちゃんの話しによると、彼女の家があるメロン村の川や沼には、数年前までたくさんの蛍やメダカたちが生息し、村の子どもたちの課外授業の勉強科目のひとつにもなっていたそうです。
ところが、メロン村に巨大ホテルが建設されたのを機に、大規模な森林伐採や環境汚染が急速に進み、村の川や沼からホテルが建設されてしばらくしたある日をきっかけに、すべての蛍やメダカたちの姿が消えてしまい、一匹も見られなくなったそうです。
その原因は、大規模な森林伐採もそうですが、ホテルが捨てる生ゴミや洗剤、油などで川や沼の水質が汚染されてしまい、蛍やメダカたちが住めなくなって死んでしまったのが原因で、ララちゃんはなんとかしても一度蛍やメダカたちをメロン村の川や沼で見られるようにしたかったのだそうです。
この話しを聞き、ララちゃんがクリスマスのプレゼントに、どうして蛍の卵を買って貰っていたのかの答えが、ようやく分かりました。