おとぎのお家と青い鳥

本ブログでは、主に人間が本来持つべき愛や優しさ、温もり、友情、勇気などをエンターテイメントの世界を通じて訴えていきます。

リトルサンタ / 母の顔をした殺人鬼4

2011-06-24 21:50:20 | 社会・政治・ニュース・教育・家族・話題

今回のりとるさんた / 母の顔をした殺人鬼は、秋田県藤里町で起きた畠山彩香ちゃんと米山豪憲くんが殺害された連続児童殺人事件を、二度とこういった悲惨な事件があってはいけないという強い思いから、作品づくりのモチーフにして描いた童話作品です。そして、その内容は本来の人間の本性と欲望を抉り出して解き明かし、母と子の親子関係の哀れみを率直に描いた感動がいっぱいの作品です。ただし、本作品の内容と、秋田県藤里町で起きた連続児童殺人事件とはまったく無関係であり、あくまでも本作品がフィクションとして作られたものであることをご了承ください。


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~健太くんの殺害計画1~
作 / 猪 寿


くも丸は、夕陽に染まる橋の上から、さくらちゃんが水死した鬼子母神川の風景を眺めていました。

この橋の名前はへその緒橋といい、さくらちゃんと直美親子が一緒にいる姿を、近くの住民に最後に目撃されたいわくつきの橋です。

ただ一見すると、そんな噂話とは程遠いような、西の空に沈む夕陽がブナ原生林の山肌や、川岸の周りの草花と色鮮やかに溶け合って、とてもきれいな場所でした。

くも丸はこの場所に来る途中、偶然通りかかった駄菓子屋の店先で、駄菓子屋のおばさんが馴染みの客と立ち話をしている、さくらちゃんのとても愛らしい噂話を耳にしました。

それは、さくらちゃんの遊び仲間の子供たちが何か買いに来る度に、いつも彼女だけが金を持っていないために、みんなと一緒に店の中には入らずに、その様子を店の外で一人だけ見ていたという話でした。

そして、さくらちゃんのことが可哀相になって、ときどき駄菓子屋のおばさんが外にいる彼女を手招きして呼んで、ガムやキャラメルなどをあげると、「さくらの分だけじゃお母さんが可哀相だから・・・」と言って、必ず母親の分までおねだりして貰って帰るという話でした。

この話を聞いたとき、再びくも丸の心の中には、さくらちゃんの母親に対して“なんで?・・・”という疑問と同時に、悲しみと怒りがこみ上げて来ました。

くも丸は、夕陽がブナ原生林の西の山頂の裏側に沈み、しだいにあたり一面が薄暗くなっても、まだ橋の上から川の風景を眺めていました。

それには、それなりの深い理由がありました。

それは、くも丸自身の中にこれまでのさくらちゃんの話を聞いたり、彼女の母親直美の行動を見ていたりしていると、彼女の死は警察が発表したように単なる水死事故ではなく、殺人事件ではないかという強い懸念があったからです。

そして、その真相を明らかにするために、さくらちゃんのお母さんを思う気持ちを無視して、無理にでも事件のあった当日にタイムスリップし、彼女の水死事故について調べるかどうかを、かなり迷って悩んでいたからでした。

というのも、くも丸がさくらちゃんの水死事故の真相を調べるということは、それに付随してもしも彼の直感が当たっていたら、彼女を大きく傷つけてしまうことが、目に見えて分かっていたからでした。

そうこう思い悩んでいるうちに、西の空の方角に一番星が姿を見せて、急速に日が暮れ始めると、あたり一面の景色はすっかり暗闇に包まれてしまい、うっすらとしか見えなくなりました。

ただ同時にそれとは逆に、今度は夜空にはいっぱいに夏の星座の群れが姿を現し、まるでそのきらびやかな星の光が瞬く風景は、クリスマス時に街いっぱいに飾られているクリスマスツリーを見ているようでした。

「そういえば、夏の一番星のペガ(織姫星)には、自分の好きな人(彦星)と七夕の夜に一年に一度しか会えないという、悲しい恋愛の話があったよね・・・」

「でも、一年に一度しか会えないという恋愛なんて、かえってすごく情熱的になれていいのかもしれないなあ・・・」

「あれ???」

「エッヘッヘッヘ。まだ小学生三年生の子供の僕が、こんな大人の恋愛の話を連想するなんて、ちょっとおかしいかなあ・・・」

くも丸は、自分で自分のこましゃくれた連想に照れくさくなって、ついつい一人で腹を抱えて大笑いしました。

よほど、自分でも織姫と彦星の恋愛話を連想したのが照れくさかったのか、いつまでもその笑いは止まりませんでした。

「クッ、クッ、クッ・・・ゲラ、ゲラ、ゲラ・・・」

「くも丸!」

「えっ?!」

突然、くも丸は自分のこましゃくれた態度にゲラゲラと照れ笑いしている最中に、誰かに自分の名前を呼ばれたので、顔から火が出るほど驚きました。

その名前の呼び主は、さくらちゃんでした。

「こ、こんな時間に、ど、どうしたの?さくらちゃん・・・」

「実は・・・お願いがあって来たの・・・」

「お願い?ぼ、僕に・・・」

「う、うん・・・」

さくらちゃんは、くも丸にお願いはしたものの、その後やっぱり不安になったのか、かなり彼にその内容を話すかどうかを躊躇っていました。

「大丈夫だよ、僕は君の味方だし、これから君に聞くことは誰にも話さないと約束するから、心配することなんか何もないよ・・・」

「ほ、ほんとに・・・」

「じゃあ、指きりしてくれる?」

「それはいいけど、指きりってなに?」

「指きりってね、人間の世界のぜったいに嘘を使いで約束を守るという、決めごとなの・・・」

「そうっか、そういう意味なのか。それで僕がさくらちゃんに嘘つきじゃないと信じてもらえるんだったら、僕は指きりするのはいつでもいいよ・・・」

「だったら、さくらの小指にくも丸の小指を絡めてくれる・・・」

「いいよ・・・」

「それじゃあ、指きりするね・・・」

さくらちゃんの言葉にくも丸が大きく頷くと、彼女はよほど安心したのか、とても嬉しそうに満面に笑みを浮かべて、子供同士がよく指きりするとき歌う、文句を口に出し大声で歌い始めました。

「♪指きりげんまん嘘ついたら針千本飲ます・・・」

「指きった!」

「じゃあくも丸、さくらと指きりしたから、ちゃんと約束を守ってくれるよね・・・」

「もちろんだよ・・・だから、きちんとその願いごとの内容を話してくれる・・・」

さくらちゃんは、くも丸と指きりまでして約束しながらも、おそらくやはりそれでも彼女にとってはかなり大きな問題なので、きっと心配になったのでしょう・・・その後もしばらくは彼の様子を観察でもするかのように見ているだけで、何も話そうとしませんでした。

でも、おそらくくも丸のこれまでのさくらちゃんに接する態度をみていて、きっと最後は彼女なりに彼のことを、本当に信じてもいい人だと決めたのでしょう。

今度は、さっきまでのためらっている態度とは大違いに、急に可愛らしい笑顔を見せ始めると、自分の方から積極的にその願いごとの内容を話し始めました。

ただしその内容は、まだあどけなさが残るさくらちゃんの可愛い笑顔とはあまりにも掛け離れた、決して本来は彼女のような純粋な心を持つ、小学二年生の子供の口から聞くべき話ではない、一般常識を逸脱した猟奇的なものでした。

「実は・・・お母さんがね、さくらのお友達の健太くんを殺そうとしているの・・・」

「えっ!えっ!!えっ!!!」

さすがにくも丸も、さくらちゃんの口からそのあどけない表情とはまったく裏腹の、もう狂っているとしか思えない彼女の母親直美の話の内容を聞いたときには、一瞬自分の耳を疑うほど驚きました。



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りとるさんた / 母の顔をした殺人鬼3

2011-06-01 00:00:37 | 社会・政治・ニュース・教育・家族・話題

今回のりとるさんた / 母の顔をした殺人鬼は、秋田県藤里町で起きた畠山彩香ちゃんと米山豪憲くんが殺害された連続児童殺人事件を、二度とこういった悲惨な事件があってはいけないという強い思いから、作品づくりのモチーフにして描いた童話作品です。そして、その内容は本来の人間の本性と欲望を抉り出して解き明かし、母と子の親子関係の哀れみを率直に描いた感動がいっぱいの作品です。ただし、本作品の内容と、秋田県藤里町で起きた連続児童殺人事件とはまったく無関係であり、あくまでも本作品がフィクションとして作られたものであることをご了承ください。


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~母と子の愛の重さの違い~
作 / 猪 寿


ただ、今回のことでくも丸を凄く驚かせたのは、ひとつには彼のことを信用し始めたこともあるのでしょうが、さくらちゃんの気持ちを無視して強引にお母さんのことを聞きすぎると、彼の“さくらちゃんを傷つけてしまうのではないか・・・”という心配をよそに、しばらくすると彼女の方から進んで母親のことを話し始めたことでした。

「みんな近所の人たちは、さくらがご飯を食べさせてもらえずに可哀想だとか、さくらの教育扶助金をお母さんが遊興費などに使って、あたしが学費や給食費を払えずに困っているとか、いろいろとお母さんの悪口を言っていたけど・・・」

「ほんとはね、さくらのお母さんはいい人なの・・・ただ、さくらの家にはお父さんがいないし、お母さんも病気がちで働いていなくて、きっとお母さんもお金がなかったから仕方がなかったのよね・・・」

「・・・・・」

「そりゃあ、ときどきまるで鬼さんのように真っ赤な顔をして怒るから、正直に言ってとっても怖いときもあったけどね・・・」

「でもね、さくらお母さんのことが大好きだったから、なんでも我慢できたし平気だったの・・・」

「・・・・・」

くも丸は、さくらちゃんのこのどこまでも純粋で、お母さんを思う健気な言葉を聞いて、自分が彼女の気持ちを一切無視して、自らの日程の都合だけで彼女に水死事故についての事情を聴こうとしていた、人(りとるさんた)としての心ない身勝手の行動を、心から深く反省しました。

またそれと同時に、人間の社会の母子関係の感情の奥の深さに、なんともいえない複雑な気持ちを感じさせられました。

ただ、その反面でくも丸がとても気になったのは、もしも近所や町の人たちが噂しているように、さくらちゃんのお母さん直美が本当に彼女を殺害していた場合、そのことを彼女にどう説明して、分かってもらったらいいのかということでした。

と・・・いうのも、さくらちゃんが自身の中にどんなに虐待を受けていようが、これだけお母さんのことを心から信じて、大好きだという気持ちがあることが分かった以上、もしもくも丸自身の思いもそうですが、近所や町の人たちが噂していることが本当に当たっていたとしたら、彼女が必要以上に傷つくことが十分に分かっていたからです。

その気遣いもあり、さくらちゃん自らがすべてを話す気になるまでは、いくら限られた日程しかないといえ、もう彼女から水死事故のことについての内容を強引に聞き出すのは、止めることにしました。

また今回の件では、くも丸はさくらちゃんのどんなことがあってもお母さんのことを信じて慕う、彼女の一滴の曇りもない純粋な気持ちを目の当たりにして、自分(りとるさんた)が住んでいる国(ホワイトランド)が彼女のような純粋な気持ちを持った世界中の子供たちの、心のエナジーで創り出された国であることを、改めて再認識させられました。

「ところでさくらちゃん、ずっとお母さんは留守のようだけど、どこにいったの?」

「知らないおじちゃんとどこかへ行っちゃったまま、三日も帰って来ないの・・・」

「・・・・・」

さすがに、くも丸もさくらちゃんのこの言葉を聞いた瞬間は、彼女が母親を思う気持ちと、彼女の母親直美が見せる非常識な行動のギャップの大きさには、「これが、愛する我が子を亡くしたばかりの母親が取る行動だろうか・・・」と疑問と怒りが、次々に心の底から込み上げて来て、しばらくは彼女との話の返事さえ詰まってしまい、何も答えられないほどでした。

だが、さくらちゃんのお母さんのことを思う健気な姿を見ていると、彼女の前で母親の悪口(悪性)を言うわけにもいかず、ただその場では彼女の話を笑って聞き流すことしかありませんでした。




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りとるさんた / 母の顔をした殺人鬼 2 

2011-05-24 23:33:39 | 社会・政治・ニュース・教育・家族・話題

今回のりとるさんた / 母の顔をした殺人鬼は、秋田県藤里町で起きた畠山彩香ちゃんと米山豪憲くんが殺害された連続児童殺人事件を、二度とこういった悲惨な事件があってはいけないという強い思いから、作品づくりのモチーフにして描いた童話作品です。そして、その内容は本来の人間の本性と欲望を抉り出して解き明かし、母と子の親子関係の哀れみを率直に描いた感動がいっぱいの作品です。ただし、本作品の内容と、秋田県藤里町で起きた連続児童殺人事件とはまったく無関係であり、あくまでも本作品がフィクションとして作られたものであることをご了承ください。


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~りとるさんたってスーパーサンタさん?!~
作 / 猪 寿


「・・・・・」

でも、その後はくも丸が何を話し掛けても、さくらちゃんは何がどうなっているのか分からないといった感じで、ただキョトンとして見ているだけで何の返事もしてくれませんでした。

きっと、最初にくも丸がさくらちゃんの姿を見て驚いたのと同じように、彼女の方もいくら人間と同じ姿をしているとはいえ、彼女より背が低くて赤ちゃんの大きさほどしかない、きっと小人のサンタクロースの突然の出現に驚いたに違いありません。

「・・・・・」

ただそれでも、くも丸が動物やお笑い芸人などの真似をしておどけて見せると、だんだん時間が経つにつれて面白がって笑顔を見せるようになり、やがて自分から積極的に話し掛けて来るようになりました。

「ところで、あなたは誰なの?」

「僕の名前はくも丸。北極星がある方角の遥か空の彼方にある夢の国、ホワイトランドからやって来た妖精だよ・・・」

「夢の国?ホワイトランド?妖精?」

どうやらさくらちゃんは、くも丸の漫画かアニメなんかに出てくるつくり話のような会話の内容に、どう対応していいのか分からずに、かなり戸惑っているようでした。

「僕らの役目(仕事)って、君のような世界中の子供たちが夢や心の中でクリスマスカードに描いた、願いごとや依頼ごとを毎年一回リスマスイブの日に、僕らの住んでいる国を創ってくれたそのお礼として届けることなんだ・・・」

「さくらのような世界中の子供たちが、くも丸が住んでいる妖精の国を創ってくれたって、いったいどういうこと?」

「それはね、僕の住んでいるホワイトランドは、君のような世界中の子供たちの純粋な心のエナジー(エネルギー)が集まって出来た幻想の国で、歴史の時代を超えて君のような子供たちが僕らりとるさんたを必要とする限り、僕らが住んでいる国には君たち人間の世界ように時間がないから、永遠に消滅することはなく存在し続けているということだよ・・・」

「?????」

ますます、さくらちゃんはくも丸の話がなにをいっているのか?ちんぷんかんぷんで分からないようでしたが、初めて聞くもの珍しい話ばかりで、まるで漫画やアニメの世界に出てくる話しのようにとても面白そうだったので、そのまま黙って彼の話を聞いていました。

「僕の背丈を見ても分かるように、りとるさんたは大人になっても人間の子供くらいの背丈しかないんだ・・・」

「そして、普段は人間の子供たちと同じように、みんながホワイトランドのそれぞれの町や村の小学校に通う男の子や女の子たちなんだ・・・」

「だけど、僕らりとるさんたが人間の子供たちと特別違うのは、人間の子供たちは夢の中では自由自在に、空や雲の上を自由に走り回ったり飛んだりすることが出来るけど、僕らは夢の中では無くて、実際にそれが現実の世界で出来るんだ。それにね、人間の子供を含むすべての動物たちとテレパシーを使って話しが出来たり、過去や未来の時空の中を自由に行き来が出来たりなど、いっぱい人間に出来ないことが出来ることなんだ・・・」

「へぇー、くも丸ってドラゴンボールの悟空みたいなんだね・・・」

「そうだね。さくらちゃんから見ると、いっぱい似ているところがあるかもしれないね・・・」だけど、僕らの場合はドラゴンボールの悟空のように超人じゃなくて、いい人や悪い人に限らずに、大人たちにその存在を知られたり大人たちと言葉を交わしたりなどすると、たちまち躰のエナジー(生命力)が極端に消滅していき、生命の危険に晒されるんだ・・・」

「ふ~ん、まだまださくらにはよく分からないことがいっぱいあるけど、だけどアタシたち人間に比べたら、空や雲の上を自由に走り回ったり飛んだりすることが出来きたり、過去や未来の時空の中を自由に行き来が出来たりなどするって、凄い超能力を持っているってことじゃない・・・」

「それだけでも凄いことじゃない。さくらそう思うよ・・・」
「さくらちゃんにそう言ってもらえると、なんだか自分が自慢話をしたみたいで照れくさいけど、でもやっぱり嬉しいなあ・・・」

くも丸が、ほとんど自分の自己紹介みたいなものを一方的に話しただけで、実際に彼の話をさくらちゃんがどの程度理解してくれたのか?どうかは別にして、でもその甲斐があり彼女もくも丸と出会った当初よりは、ずっと親しく話すようになっていました。

「ところで、くも丸って夢の国に住んでいるサンタさんなんでしょう。今日はクリスマスでもないのに、どうしてここにいるの?」

「君に会いに来たんだよ・・・」

「えっ!さくらに?」

「そう、さくらちゃん君に会いに来たんだよ・・・」

「なんで?」

「君が水死事故に遭ったのを、偶然にテレビのニュースで見たからさ・・・」
くも丸がそう答えると、さくらちゃんは“アタシの水死事故と、くも丸がここにやって来たことと、いったいどういう関係があるのだろう?”言いたげな、ちょっと困惑した表情を見せ驚いていました。

だが、きちんとくも丸がさくらちゃんに会いに来た理由を順を追って説明すると、彼女自身は彼の話を理解はしたものの、自分の水死事故のことについてあまり触られたくなかったのか、それ以上そのことで何かを聞き返して来ることはありませんでした。

そしてどうやらさくらちゃんは、くも丸が本来の目的で彼女に会いにやって来た水死事故のことよりも、彼女は彼自信(リトルサンタ)のことについて凄い興味を持ったようで、すぐにまた無邪気な笑顔に戻ると、さっきと同じように次々に夢中なって、くも丸に向かって質問をし始めました。

「ところで、くも丸っていくつなの?」

「ホワイトランドでは、君と同じように小学校に通っていて、君より一学年上の小学校三年生だから・・・」

「じゃあ、十歳ってこと・・・」

「そうだね・・・」

「ふ~ん。」

「えーっと、えーっと、次は何を聞こうかな・・・」

「そうそう、みんなリりとるさんたにも家族はいるの?」

「もちろんいるよ。それはみんなりとるさんたの子供も、人間の子供たちと一緒だよ・・・」

「現に僕にだって、お父さんやお母さんや妹がいるし、それにお祖父ちゃんやお祖母ちゃんだっているよ・・・」

さくらちゃんは、くも丸の話を聞いているうちに、ちょっと寂しそうな表情になりました。

それは、たぶんさくらちゃんはずっとお母さんと二人暮らしで、お父さんや妹弟たちと一緒に暮らしたことがないから、くも丸が自慢げに話す家族の話が羨ましかったに違いありません。

くも丸も、そんなさくらちゃんの表情を見たとたん、彼女のクリスマスプレゼントの配布用のデータファイルーに、彼女にはお父さんや妹弟がいないことが書かれていたのを思い出し、すぐに素直に彼女にその配慮が欠けていたことを詫びました。

「ごめんね、さくらちゃん。君にお父さんや妹弟がいないことを知りながら、僕は勝手に自分の家族のことばかりを話して・・・」

「さくら、そんなこといちいち気にしていないから大丈夫よ・・・」

さくらちゃんは言葉通りに、彼女がこの一件に関してくも丸が思ったほど気にしている様子はなく、ずっとそれよりもりとるさんたそのものの生活習慣や、その他の特技などについてかなり興味を持ったようで、まだまだ色々とリトルサンタに関する多くの話を、くも丸が何から話したらいいのか?困ってしまうほど聞きたがっていました。

でも、くも丸に今回のさくらちゃんの事件を調査する期間として、リトルサンタを管轄するホワイトランド政府が許可されたのは、わずか十日間という少ない日程でした。

そのために、その与えられた期間中に本題を解決するのには、まだわずか九才(小学二年生)のさくらちゃんにとってはかなり酷な話でしたが、一刻も早く本来の目的である水死事故の方に、どうしても話の内容を方向転換して行くしかありませんでした。

ただそうは言っても、やはり水死事故ことについて直接すぎる聞き方をしてしまうと、せっかく自分に対して心を開き始めてくれているさくらちゃんが、また心を閉じてしまうのではないかという心配があり、くも丸は彼女の死について彼女を傷つけないように、ほかの話から切り出して間接的に聞いてみることにしました。

「それより、さくらちゃんは天の国へ行く汽車に乗らないで、どうしてここに残っているの?」

「だって、お母さんが独りぼっちになったら、可哀相でしょう・・・」

「えええっ!」

くも丸は、さくらちゃんの口から出た言葉が、あまりにも自分の思っていた内容と掛け離れていたので、一瞬自分が肩透かしを食らった感がするほど驚きました。

それは生前、さくらちゃんの母親直美が何か事ある度に彼女に食事を与えなかったり、町から支払われている学費や給食費の教育扶助金(生活保護費)を、彼女は自分の遊興費などに使ってさくらちゃんに渡してあげなかったために、クラスの中で彼女一人だけが学費や給食費を支払えなくて困っているなどの、かなりさまざまな虐待を受けていたことを風の噂に聞いていたからでした。

それよりもなによりも、くも丸は自分がその通り一遍の噂を信じ、さくらちゃんのお母さんに対して持っている見識を、何の言い訳も出来ないほど間違って思っていたことを、深く心から反省しました。

さらにまた、さくらちゃんがお母さんの話をする際に印象深かったのは、常に話の最中に彼女のまん丸い瞳の中に、大きな涙の粒が光っていたことでした。


おそらく、さくらちゃんのその涙の意味の中には、自分の生前時のお母さんに対するさまざまな思い入れがあったからでしょうが、そんな彼女の健気な姿を見ていてくも丸が感じたことは、たとえ他人から見てその母親の人格がどうであれ、やっぱり子供は自分の母親(お母さん)が一番で、どんなことがあっても大好きなんだなあと思ったことでした。


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りとるさんた / 母の顔をした殺人鬼 1

2011-05-24 23:31:22 | 社会・政治・ニュース・教育・家族・話題

今回のりとるさんた / 母の顔をした殺人鬼は、秋田県藤里町で起きた畠山彩香ちゃんと米山豪憲くんが殺害された連続児童殺人事件を、二度とこういった悲惨な事件があってはいけないという強い思いから、作品づくりのモチーフにして描いた童話作品です。そして、その内容は本来の人間の本性と欲望を抉り出して解き明かし、母と子の親子関係の哀れみを率直に描いた感動がいっぱいの作品です。ただし、本作品の内容と、秋田県藤里町で起きた連続児童殺人事件とはまったく無関係であり、あくまでも本作品がフィクションとして作られたものであることをご了承ください。


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~水死事故児童の疑惑~
作 / 猪 寿


鬼は外、福は内・・・鬼は外、福は内・・・・・


「お前らを取って食っちゃうぞ!」
鬼がきた 鬼がきた 真っ赤な顔をした鬼がきた
食われるぞ! 早く逃げろ~
「あれれれ?お嬢ちゃん!君は、どうして逃げないの?」
「だって・・・うしろを振り向いたら、鬼の顔が大好きなお母さんだったんだもん・・・」


ニュースをお知らせします。―
今日の午後一時半頃、ブナの森の小学校に通う長澤さくらちゃん九歳が、水死体で発見されました・・・
白神署の調べによりますと、さくらちゃんは自宅近くの鬼子母神川で石を積んで遊んでいるうちに、水辺の石で足を滑らせ川に落ちて流されたとみられ・・・事故死の可能性が高いと見られています・・・――

くも丸は、このテレビのニュースを見て驚きました。
それは、くも丸がリトルサンタとして、今年のクリスマスから新しく赴任してプレゼントを届けるのが、このブナの森の町だったからです。
「なんで?!どうして?!」
「今年のクリスマスになったら、ずっと僕が会うのを楽しみにしていたブナの森の町の子供が、こんな痛ましい水死事故にあうなんて・・・」
そして、くも丸は今年のクリスマスから新しくプレゼントを届ける地域のブナの森の町の子供たちは、大自然の野山や川などがある場所で育っているせいで、とても純粋な心の持ち主の子供たちが多いと噂に聞いていて、一日でも早くその子供たちみんなに会うのを楽しみしていただけに、よけいにこのテレビのニュースを見て愕然としました。

ただ、ほとんどの近所の人たちが、さくらちゃんが水を嫌いなのを知っていたために、正直なところ今回の彼女の水死事故には、何らかの疑問を持っていました。
しかし、その後も警察は近所の人たちの話にまったく耳を貸そうとはせずに、さくらちゃんの死を単なる水死事故と断定し、そのまま捜査を打ち切りました。
でも、今回のさくらちゃんの水死事故に疑問を持ったのは、近所の人たちばかりではなく、くも丸もそうでした。

最初にくも丸がさくらちゃんの水死事故に、“おかしいな?”と疑問を持ったのは、テレビに映った彼女の母親直美の不可解な言動でした。
それは、直美の言動がテレビで報道されるたびに、「さくらちゃんが友達に人形を見せに行ったまま戻らなかった・・・」とか「買い物の途中までは一緒にいた・・・」などと、話す内容が二転三転したからでした。

それから三日後・・・やっぱり気になったのでしょう。
くも丸は、今回の事件が人口三千人たらずの小さな町で起きたものだけに、きっと子供たちの中には未だに今回の事件に対する、多くの不安や恐怖を感じている子供が大勢いるだろうと思い、彼らに楽しいクリスマスを迎えてもらうためにも、自らさくらちゃんの水死事故の真相を確かめるために、ブナの森の町へ行くことを決心しました。

「うわっ!すごい生命力を感じるぞ・・・」
くも丸が、ブナの森の町を訪ねて最初に目に付いたのは、広大な山肌に広がるブナ原生林の息吹の凄さでした。

そして、すごい心を奪われるほど感動したのは、このブナ原生林がつくり出す自然の恵みによって、猿やカモシカなどの動物と草花や樹木が一対になって、たくさんの動植物が共存共栄しているという現実の、自然が育む生命の根源の奥の深さでした。

この目の前に広がる日本の原風景を遡ると、それは7千年以上も前の縄文時代へと続き、ブナを代表とするクリ、ナラなどの落葉広葉樹に覆われた森の世界に辿り着くといいます。7千年以上もの長い時代、人間をはじめとする多くの動植物が、この森の恵みと庇護の下で生活を営んで来たかと思うと、今もなおこのブナ原生林は生命のある者たちにとって、まさに父親や母親のような存在だと言えるのかもしれません。

「なんで、せっかくこんなに素晴らしい自然環境の中に生まれた子供が、その大切な命を、そんなに簡単に失わなければいけないのだろう・・・」
くも丸は、ブナの原生林を眺めているうちに、さくらちゃんの人生の運命の儚さと、あまりにその生きた時間の短さに哀れみを感じ、自然に涙が溢れ出て来た。

くも丸がさくらちゃんの家を訪ねたのは、その後二、三十分経ってからでした。
くも丸がさくらちゃんの家に到着し、屋根の上の煙突から家の中に入って、台所や居間を覗いてみましたが、まったく人の気配はありませんでした。

ただ、居間と襖で仕切られている奥の部屋に目をやると、小さめの座卓が白い布をかぶせておいてあり、さくらちゃんのものらしい遺影が飾られていました。
そして遺影の前には、だいぶん萎んだ白い菊の花数本と、さくらちゃんが生前に好物だったと思える、苺ポッキーやキャラメルなど何種類かのスナック菓子が、無造作に供えられていました。
印象深かったのは、中途半端に襖で閉ざされた部屋の薄暗い湿っぽさに比べて、遺影の写真に使われている、さくらちゃんらしき女の子のVサインをした明るい笑顔でした。
「あっ!」
くも丸が肝を潰すような出来事が起きたのは、なんとなくさくらちゃんらしき女のこの遺影が置いてある天井の方角に視線を向けた時でした。

それは、遺影が置いてある場所と天井との間に、左右の髪の毛を紺色の輪ゴムで結んだ女の子が、赤いランドセルを背負って立っていたからでした。

「あっ!も、もしかして、さくらちゃん?!」
その女の子は、くも丸に問いかけに小さく頷き、自分がさくらちゃんであることを告げました。



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RE-10

2011-03-20 22:18:42 | 社会・政治・ニュース・教育・家族・話題

 

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作 / nana℃

三人で浜辺を歩いていると小さなパラソルの下にかわいらしいおばあちゃんがいた。
パラソルよりも小さな看板には、「天気予報」と書かれている。
藤岡が声をかけた。
「はじめまして。ここで何をしていらっしゃるんですか」
「明日の天気を占える方なんですか」
希も興味深そうな声を出してしゃがみこんだ。
「わたしが占うのは、天気ではありません」
「といいますと?」
「人生です。あなたや彼女の人生です」
「おばあちゃん、あたしを占ってもらえないかしら」
「ええ。もちろんですよ」
ちいさなおばあちゃんは、しわしわの手を静かに広げ、希の手に触れた。
祥子は、その様子を黙ってみていた。
「6月3日。明日は、確か大雨だったわね」
「ええ。台風が来ていたような気がします」
「でも、お前さんの未来はきっと雲ひとつない晴天だ」
「晴天、ですか。それはよい兆しということでしょうか」
希は、答えを急ぎ、話すスピードが速くなっていた。
しかし、老婆から出た一言は、予想外のものだった。
「私のようになってはいけない」
「え?」
ほとんど同じタイミングで三人は声をあげて、互いに目をあわした。
「今、なんと?」
老婆は、宝石箱からちいさな指輪を取り出して、希に手渡した。
「わたしは、この世界で生活し始めてもうニ十年だ。
ここでは年をとらないけど、わたしももう現実世界では九十のおばあちゃんだよ」
「この指輪は?」
「わたしがあなたぐらいの年の頃に婚約者からいただいたものだ」
「そんな大切なもの」
「いいや。ぜひもらっておくれ」
金色に光る細く小さな指輪は、太陽の光に淡く反射した。

僕ときみが

つなぐ未来と過去
 
巡りあう季節は
 
いつも穏やかさを持って
 
僕らの涙をぬぐってくれた
 
 
憧れや希望に似た
 
いくつものカケラたちが
 
もう一度空へとのぼるなら
 
昨日よりもほんのすこし
 
僕らは互いを暖めあうように
 
強く儚く生きていよう
 
 
さあ
 
目を開けたなら
 
時空の階段をのぼり
 
約束の輪を描こう
 
 
もう一人じゃないと
 
彼や彼女や
 
花や月や星
 
あらゆるすべてに
 
あの日の夢を贈ろ

 
Photo プロフィール


名前:魔女っこ kirara・*★

性別:女性

現住所:大阪府

誕生日:09月22日

自己紹介:nana℃(ななど)といいます。

小説、脚本、音楽関係のお仕事などをしています。


おとぎのお家と仲間たち-石坂まさを写真1


石坂まさをプロフィール

本名:沢ノ井龍二 昭和16年5月18日生。東京新宿区出身。昭和44年9月25日「新宿の女」で作詞作曲家としてデビュー。


主な作品

「新宿の女」「女のブルース」「圭子の夢は夜ひらく」「命預けます」(藤圭子)
「北へ」(小林旭)
「おしどり」「べにばな」(五木ひろし)
「花のように鳥のように」(郷ひろみ)
「漂流者たち」(西城秀樹)他多数

主な著書

「きずな」(文藝春秋)
「心歌十二章」(世界文化社)
「日本歌文化」(ぎょうせい)
小さな魔法の動物詩集(サンリオ)

▲現在、アメブロにおいて石坂まさを先生の、「石坂まさをの魂ことば」を掲載中です。

アメーバーブログ「おとぎのお家と仲間たち」
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宇多田ヒカル
EMI Music Japan Inc./U3music Inc.

RE-9

2011-03-20 22:18:17 | 社会・政治・ニュース・教育・家族・話題

1_2RE-9
作 / nana℃

祥子と藤岡が、その海を訪れたのは、夕日が沈みこむ少し前だった。
あの時出会った少女は、あの日と同じように三角すわりをしながら、海の先をみつめている。
「明日だね」
一週間前と何も変わらない海の姿に祥子はとても安心した。
この世界で変わらないものはなにひとつない。
自然も同じである。
しかし、この海は違うような気がしていた。
どんな旅人をも大きな心で受け止めてきたような強さや安心感を感させてくれる絶対的な存在だ。
「この三日間、自分を何度も責めたわ。
もし過去に戻れるなら、彼のかわりに死んでもいいって思ったの。
もうすぐ6月9日。あたしと彼が出会った日がくるわ」
祥子は、大好きな人を失ったときのことを無意識に考えてしまう。
過去は変えられない。
そのことが人生を生きていく糧や活力になると同時に、無気力感や喪失感を生み出すという二面性を持つ。
それがはがゆくて、彼女は目を閉じた。
言葉にならない感情が世の中には多すぎる、と祥子は感じた。
どんなときでも言葉を超越した出来事や思いや命や運命が存在し、とても生物の力ではおよばない、大きな事柄や存在に支配されていることをいやでも意識してしまう瞬間だといえる。
「・・・でも、だめね。あたしまだ決心がついていないの。
過去を変えて彼とは別々の道を歩くことになってもいいって思っているのに、あの人のいない世界に戻るのが怖くて仕方ないよ」
「彼が本当に好きなのね」
祥子は、彼女の小さな肩を抱き、共に涙を流すことしかできない自分が悲しかった。
誰かのために何かをしたいと、人は思うものではあるが、その方法が見当たらないときほど無力さを痛感する。

僕ときみが

つなぐ未来と過去
 
巡りあう季節は
 
いつも穏やかさを持って
 
僕らの涙をぬぐってくれた
 
 
憧れや希望に似た
 
いくつものカケラたちが
 
もう一度空へとのぼるなら
 
昨日よりもほんのすこし
 
僕らは互いを暖めあうように
 
強く儚く生きていよう
 
 
さあ
 
目を開けたなら
 
時空の階段をのぼり
 
約束の輪を描こう
 
 
もう一人じゃないと
 
彼や彼女や
 
花や月や星
 
あらゆるすべてに
 
あの日の夢を贈ろう

 

 
Photo プロフィール


名前:魔女っこ kirara・*★

性別:女性

現住所:大阪府

誕生日:09月22日

自己紹介:nana℃(ななど)といいます。

小説、脚本、音楽関係のお仕事などをしています。



おとぎのお家と仲間たち-石坂まさを写真1
石坂まさをプロフィール

本名:沢ノ井龍二 昭和16年5月18日生。東京新宿区出身。昭和44年9月25日「新宿の女」で作詞作曲家としてデビュー。


主な作品

「新宿の女」「女のブルース」「圭子の夢は夜ひらく」「命預けます」(藤圭子)
「北へ」(小林旭)
「おしどり」「べにばな」(五木ひろし)
「花のように鳥のように」(郷ひろみ)
「漂流者たち」(西城秀樹)他多数

主な著書

「きずな」(文藝春秋)
「心歌十二章」(世界文化社)
「日本歌文化」(ぎょうせい)
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RE-8

2011-03-20 22:17:54 | 社会・政治・ニュース・教育・家族・話題


1_2RE-8
作 / nana℃


男の名前は、藤岡という。

背が高く、肉付きもいい中年男性だ。

祥子は、彼の横顔をみつめていると、時々ずっとこうしていたいと思ってしまう。

男の横顔は、それほど美しく、凛としていた。

「病院には様々な人がいますね」

「そうだな。命が生まれる場所であると同時に、失う場所でもある。神聖な場所だと僕は思う」

「わたしも、そう思います」

「うん」

「これから、どうしますか」

「どうしようかな。なんだか、今は何も考えたくない気分だ」

「海、行きませんか?」

「温海?」

「ええ」

「よし」

二人は同時に立ち上がり、病院の入り口まで歩いていく。反対側から走ってきたナースと祥子の肩がぶつかった。

「申し訳ありません。失礼いたしました」

その女性は、笑顔が印象的だった。目を丸くしたのは、祥子だ。

「あなたの名前はなんですか」

言葉を発すると同時に名札が目に入る。「安達」と書かれていた。

「安達希といいます。整形外科のナースです」

彼女はぺこりとお辞儀をして、先ほどよりも早いスピードで走っていく。祥子は、海にいる彼女を想った。


僕ときみが

つなぐ未来と過去
 
巡りあう季節は
 
いつも穏やかさを持って
 
僕らの涙をぬぐってくれた
 
 
憧れや希望に似た
 
いくつものカケラたちが
 
もう一度空へとのぼるなら
 
昨日よりもほんのすこし
 
僕らは互いを暖めあうように
 
強く儚く生きていよう
 
 
さあ
 
目を開けたなら
 
時空の階段をのぼり
 
約束の輪を描こう
 
 
もう一人じゃないと
 
彼や彼女や
 
花や月や星
 
あらゆるすべてに
 
あの日の夢を贈ろう

 
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波今日の話題

―海を渡った大きな夢への挑戦!!その18

(花ちゃんの投稿コメントより抜粋応用)


1_2イープン君
※現在、特別に今回の『海の向こうにかかる虹』の主人公、イープン君の実像と絵本とアニメの画像をみなさんにご紹介しています。

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宇多田ヒカル
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宇多田ヒカルというと、1stアルバムの『First Love』が、いきなり国内外で約1000万の超メガヒットになる売り上げをし、彼女がそれをきっかけに日本の音楽業界で神話的な存在になり、日本の音楽史上歴代1位のとなる超スーパースターになったことは、あまりにも有名な話です。しかし、彼女の本当の才能を開花させる基本は、彼女自身が幼い頃からアメリカンスクールに通い、唯一世界に通用する歌や映画づくりやショービジネスの本場であるアメリカで生活していた、“帰国子女”であったということではないでしょうか。そして、それが世界の音楽市場の厚い壁を突き破ると同時に、日本での“R&B”の彼女独特の“音楽の世界”を生み出し、超スーパースター「宇多田ヒカル」という、日本一のブランド名が創りあげられる、大きな要素になっているような気がします。


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RE-7

2011-03-20 22:17:31 | 社会・政治・ニュース・教育・家族・話題


1_2RE-7
作 / nana℃


橘病院は、地元では有名な病院だ。
5棟にも別れて真っ白なビルが連なっており、内科や外科はもちろん、精神科や皮膚科、整形外科なども隣接している。
祥子と男は、急いで産婦人科の病棟へと向かった。
いやでも気づいてしまう。病棟ごとに時代が微妙にずれているのだ。産婦人科は、おそらく1985年よりも以前。つまり、男の妻は入院していなかった。

「そんなに簡単にはいかないよな」

男は落ち込んだようには見えなかった。
祥子は、病院内をしばらく歩くことにした。
足を止めるきっかけになったのは、どこかで見た人物を見つけたからだ。
白髪の混ざったやわらかな髪質。
少し若いが、間違いなく、あの屋敷のおばあさんが眠っている。彼女に話しかけている男性は夫だろうか。

「はじめまして」

祥子が声をかけると、男性は静かにお辞儀をした。

「家内のお知り合いですか」

「はい。以前紅茶をいただいたことがあります」

「そうですか。和子はとても紅茶がすきでしたからね」

赤い華の茎をつかみ、男は洗面台の前に立った。
祥子は、何年か前の彼女をみつめる。

「植物状態なんですよ」

男が花瓶に華を入れ替えた。

「そうですか」

「いつ目覚めるのかはわかりません。でも、わたしは彼女が目を覚ましたとき、悲しい思いはさせたくないので、今でも彼女の帰りを待っています」

「きれいな寝顔ですね」

祥子は、涙をこらえながら、病室を後にした。
男性の後姿を長くは見れなかった。

あの屋敷の女性は、出れないと言っていた。
閉じ込められているのだ。
縛られているのかもしれない。
何か、とても大きな力によって、足止めされているから目が覚めないのかもしれない。


僕ときみが

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もう一度空へとのぼるなら
 
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僕らは互いを暖めあうように
 
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さあ
 
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波今日の話題

―海を渡った大きな夢への挑戦!!その17

hanachanの『海の向こうにかかる虹』で新聞社とTVの取材が決まったそうです。そしてさらに、現在“北風小僧の寒太郎”で有名な宝塚大学の月岡教授と学生さんたちがボランティアで作ってくれているアニメがもうじき完成するということで、hanachanの“海を越えた大きな夢 /海外支援”がもうじき現実に花開きそうですね。

(花ちゃんの投稿コメントより抜粋応用)


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※現在、特別に今回の『海の向こうにかかる虹』の主人公、イープン君の実像と絵本とアニメの画像をみなさんにご紹介しています。

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宇多田ヒカルというと、1stアルバムの『First Love』が、いきなり国内外で約1000万の超メガヒットになる売り上げをし、彼女がそれをきっかけに日本の音楽業界で神話的な存在になり、日本の音楽史上歴代1位のとなる超スーパースターになったことは、あまりにも有名な話です。しかし、彼女の本当の才能を開花させる基本は、彼女自身が幼い頃からアメリカンスクールに通い、唯一世界に通用する歌や映画づくりやショービジネスの本場であるアメリカで生活していた、“帰国子女”であったということではないでしょうか。そして、それが世界の音楽市場の厚い壁を突き破ると同時に、日本での“R&B”の彼女独特の“音楽の世界”を生み出し、超スーパースター「宇多田ヒカル」という、日本一のブランド名が創りあげられる、大きな要素になっているような気がします。


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RE-6

2011-03-20 22:17:10 | 社会・政治・ニュース・教育・家族・話題


1_2RE-6
作 / nana℃


「会いたい人がいるんだ」

「それは誰ですか」

「ボクの息子だ」

「息子さんですか」

「ああ。家内が病院に運ばれて僕は東京から大阪までの飛行機に乗った。それから仕事で疲れていていつのまにか眠っていたから、記憶がない。気がついたらこの世界にいたんだ」

「息子さん。心配ですね。奥さんも」

「ああ。早く見つけなきゃいけない。三船病院まで行ってくれ」

「はい」

タクシーの運転手は軽快にハンドルを切った。祥子は、どうか彼の息子や母親が無事であることを変わり行く空に祈った。


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宇多田ヒカルというと、1stアルバムの『First Love』が、いきなり国内外で約1000万の超メガヒットになる売り上げをし、彼女がそれをきっかけに日本の音楽業界で神話的な存在になり、日本の音楽史上歴代1位のとなる超スーパースターになったことは、あまりにも有名な話です。しかし、彼女の本当の才能を開花させる基本は、彼女自身が幼い頃からアメリカンスクールに通い、唯一世界に通用する歌や映画づくりやショービジネスの本場であるアメリカで生活していた、“帰国子女”であったということではないでしょうか。そして、それが世界の音楽市場の厚い壁を突き破ると同時に、日本での“R&B”の彼女独特の“音楽の世界”を生み出し、超スーパースター「宇多田ヒカル」という、日本一のブランド名が創りあげられる、大きな要素になっているような気がします。


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RE-5

2011-03-20 22:16:44 | 社会・政治・ニュース・教育・家族・話題


1_2RE-5
作 / nana℃


その男性に話しかけられたとき、祥子はすこしたじろいだ。なぜなら、この世界にきてから先に話かけられるということがなかったからだ。

「僕らは時空を旅することができるようだな」

無精ひげを少し触りながら、男は真剣な面持ちで言った。

祥子は、頷き、何かを考えていた。

男とであった空港には、たくさんの人がいるのに、まるでふたりぼっちになってしまったような感覚を祥子はぬぐえずにいた。

この男といれば何かがわかるのではないかというような予感もした。

「あなたが知っている最後の記憶は、何年ですか?」

「僕は1985年だ」

「あたしが生まれる一年前だわ」

「そうか。きみは今いくつなのかな」

「2009年で25歳になりました」

「そうか。とても遠い未来に感じるよ」

「わたしもです」

祥子は男と空港を出てタクシーに乗り込んだ。

空を見上げると二キロほど離れた箇所に雨が降っている。

おそらくその空の下はいつかの過去だ。祥子は少しずつだが、この世界に慣れはじめていた。男もそれは同じだという。

時代の違いは、音楽やニュースですぐにわかる。

または、そこに住んでいる人たちの言葉や習慣や服装。

または景色や外観・なつかしい風景もあれば、真新しささえ感じられるぐらい古い過去にもでくわした。

そのたびに、自分は何のためにここにいるのだろうと祥子は考えてしまう。

何か、何か大きな使命が自分には課せられているのではないかと疑ってみたりもする。

男は、窓を開けて、ため息ともちがう吐息をもらした。


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―海を渡った大きな夢への挑戦!!その15

1,2mの目の前に虹が現れてくれたとは・・・苦労が報われた瞬間だったのでは?いいことが起こりそうな予感がします。こちらでは、二重の虹が出ていました。

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宇多田ヒカルというと、1stアルバムの『First Love』が、いきなり国内外で約1000万の超メガヒットになる売り上げをし、彼女がそれをきっかけに日本の音楽業界で神話的な存在になり、日本の音楽史上歴代1位のとなる超スーパースターになったことは、あまりにも有名な話です。しかし、彼女の本当の才能を開花させる基本は、彼女自身が幼い頃からアメリカンスクールに通い、唯一世界に通用する歌や映画づくりやショービジネスの本場であるアメリカで生活していた、“帰国子女”であったということではないでしょうか。そして、それが世界の音楽市場の厚い壁を突き破ると同時に、日本での“R&B”の彼女独特の“音楽の世界”を生み出し、超スーパースター「宇多田ヒカル」という、日本一のブランド名が創りあげられる、大きな要素になっているような気がします。


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