おとぎのお家と青い鳥

本ブログでは、主に人間が本来持つべき愛や優しさ、温もり、友情、勇気などをエンターテイメントの世界を通じて訴えていきます。

新 青春うたものがたりシリーズ「風のある町」8 / A town with the wind

2013-08-17 21:24:24 | 人・愛・夢・運命・教育・家族・社会・希望

2013年の新年を迎え、すべての有名サイトでNO1に輝いた当ブログ人気作品─新青春うたものがたりシリーズ『風のある町』─が、Googleサイトにおいて約115,000,000 件中1位を獲得するという大快挙を成し遂げました。それを記念して新シリーズとして─新青春うたものがたりシリーズ『風のある町』─を 再スタートさせて頂くことにしました。前回の連載同様どうぞよろしくお願い致します。

ピアノ企画 / 下家 猪誠
作 / 猪 寿

第8話/ 最後の肌の温もり
~愛の突然の死~

アメージンググレイス・・・
いつも僕のために 歌ってくれてた
君の歌が もう聞こえない
あの大空に 君が旅立ってから
だけどこの瞳(め)を 閉じれば
いつも僕のそばには 君がいる

◎前回のあらすじ


TOKIOスカイダイビングクラブに到着後、約三十分ほどの簡単なレクチャーを受けた大輝と愛は、オーナー兼スカイダイビングのインストラクターでもある谷口自身が操縦桿を握るセスナ機で、遊覧飛行も兼ねたて主治医の堂本誠や、担当看護師の吉田由美子らと一緒に四千メートルの上空へと向かって飛び立って行った。
大輝と愛が“夢を見ているのではないかと・・・”と思うほど驚いたのは、彼女が望んでいた結婚衣装を身に着けて、スカイダイビングを行うことだけではなく、みんながセスナ機の中で二人のために結婚式を挙げてくれたことだった。
主治医の堂本誠が神父代わりになって、愛が自分の命を賭けてまで望んでいた、大輝との空の上での結婚式が行われた。
「その健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」
「はい、誓います。」
「はい、誓います。」

その後、二人は結婚式の儀式がひととおり終わると、谷口の指導の下防寒具を身に付けインストラクターと体を固定しジャンプするための、ハーネス(パラシュートを装着するための器具)と呼ばれるベルトを背負った。
大輝は相葉と、愛は稲垣と、それぞれにパートナーを組むことになった。
二人が感激したのは、谷口の粋な計らいで大輝と愛が空中で話が出来るように、ヘッドホンマイクを用意してくれていたことだった。
ただ、大輝は乗降口が開かれたそのとたん、さっきまで大はしゃぎして張り切っていたにも拘わらず、これまで体験したことがない上空での風圧の凄さと、直接肌に感じる空気の冷たさにすっかり恐れをなして、思わず後ずさりして腰が砕けたようその場に座り込んでしまった。
「アッハッハハハ・・・」
愛は、それでも必死で子供のように言い訳して、なんとか自分の面子を保とうとしている大輝の姿を見て、思わず大笑いした。
「うわーっ!たすけて~」
「耳が痛いよ~」
「神様、僕はまだ死にたくないよ~」
もう大輝は自分が気付いた時には、相葉に気持ちを落ち着かせるために深呼吸させられている最中の、彼が気を抜いた一瞬の隙に半ば強制的に背中を押されて、機内の外に飛び出していた。
「大輝、大丈夫よ。隣を見て私も一緒だから・・・」
突然、愛の声がヘッドホンを通じて聞こえて来たのには、さすがに大輝もビックリしたが、彼女が隣にいることが分かると、人って気持ちって不思議なもので、だんだんと大輝の不安も消えていった。
だが、それとは逆に愛のこの行動が、自分の死を早めることになろうとは、この時の彼女自身はもちろんだが、大輝を含め彼女に係わっている周囲の者も誰一人として気付いていなかった。
「それにしても、私たちが現実に空を飛んでいるって、考えてみると凄いことだよね・・・」
「そうだね、頬はブルブル震えて痙攣を起こしだそうだし、躰全体も海老反っていてかなり痛いけどね(笑う)」
大輝と愛が、なんだかんだと話し込んでいるうちに、四人の躰は地上1500メートルほどの距離まで降下していて、相葉と稲垣の合図ともにパラグライダー(パラシュート)が開かれた。
さすがに、パラグライダーを開く瞬間は、もの凄い衝撃が躰全体に走ったがフリーフォールのうつ伏せから本来の縦の状態になると、随分と身体も安定し楽になった。
そして、落下速度がゆっくりになったぶん、それほど風圧も感じられなくなると同時に、地上の景色がよく眺められるようになった。
インストラクターの相葉と稲垣が、大輝と愛にパラグライダーの操作をしてみるかと聞いて来たので、二人はすごく興味があったのでふたつ返事でOKし、大空の散歩を心の底から楽しんだ。
『大輝、私の「空を飛んでみたい・・・」という望みを叶えてくれて、本当にありがとう・・・』
『僕は、何もしていないよ、愛の「空を飛んでみたい・・・」という情熱が、みんなの心を動かしたんじゃないか・・・』
「そんなことはないわよ。もし大輝に私の望みを叶えてあげたいという強い信念がなかったら、きっとこんなふうに私の望みは実現してなかったと思うわよ・・・」
「愛、ありがとう・・・愛にそう言って貰えるだけで、僕は嬉しいよ・・・」
「私の望みは叶えてもらったから、今度は大輝の望みが叶うといいね・・・」
「僕の望み?もう叶っているじゃないか、こうして君と結婚式が挙げられたんだから・・・」
「本当にそう思ってくれいるの・・・」
「もちろんだよ・・・」
大輝のその言葉を聞いた瞬間、愛の目は自然に涙でいっぱいになっていた。
ただ、そんな幸せのひとときも長くは続かなかった。
それは、すぐ眼下に最初4000メートルの大空に向かって飛び立った、TOKIOスカイダイビングクラブの滑走路がハッキリと見えるよになり、だんだん目的地の着地場所に向かって高度を下げて近づいて行く度に、「大空を飛んでみたい・・・」という、愛が命がけで訴たえた大輝との空の上での結婚式の旅も、もうじき終わろうとしているからだった。
四人の乗ったパラグライダーは、大輝と愛にはかなりゆっくりとしたスピードで、目的の着地場所に向かって高度を下げているように感じたが、二人の空の上での結婚式の旅が終わりに近付いて名残り惜しいと思う気持ちとは裏腹に、わずか十分ほどでもう地上にいる人たち姿がハッキリと見える、200メートルか150メートルくらいの距離まで降下していた。
そして、地上までの距離が25メートルほどの所くらいまで来ると、最初は大輝がインストラクターの相葉に言われて、着地時の用意のために両足を前方に投げ出すような格好で、ランディング(上半身と下半身が直角になるような形を取り、尻で滑るようにして着地すること。)する準備をとった。
すぐに、愛も大輝に続いてインストラクターの稲垣に言われて、同じようなポーズを取った。
着地時に多少の衝撃があったり、慣れてないせいで前方につんのめりそうになったりした場面はあったものの、無事に二人とも無傷で目的の着地場所に降りることが出来た。
地上に着き、大輝と愛がジャンプスーツを脱いでみんなが待っている場所に向かうと、泰三と百合子を始めに今日の結婚式に出席してくれた親戚や、TOKIOスカイダイビングクラブのスタッフたちが、大きな拍手で二人を出迎えてくれた。
その中には、さっきまでセスナ機を自ら操縦していた、このTOKIOスカイダイビングクラブのオーナー兼インストラクターの谷口の姿もあった。
その後、TOKIOスカイダイビングクラブの事務所に行くと、ホテル披露宴時のようにはいかないが、それなりの大輝と愛の二人のために、祝宴の料理や飲み物などが用意されていた。
まず結婚披露宴を始める前に、“祝 亀梨大輝・石坂愛様ご結婚おめでとう”書かれた看板の前で、みんなで記念撮影を行うことになったが、大輝と愛が一緒に並んで写真を撮ることに対して、泰三は相変わらず不愉快な顔を見せたが、みんながいる手前もあったからだろう。
そのことを口に出して、それ以上の何か小言などを言うことはなかった。
泰三が、愛の父親として今日二人の結婚式に出席してくれたみんなに礼を言うと、泰三と百合子の関係の親戚代表や、TOKIOスカイダイビングクラブのオーナーの谷口ら何人かの祝辞が述べられる後に、最後は愛の主治医であり今日セスナ機の機内で、大輝と愛が仮の結婚式を挙げるときに神父の代役を引き受けてくれた、堂本誠が乾杯の音頭で結婚披露宴が始まった
ただ、愛本人はみんなに悪い気がしたからだろうが、一言も疲れたなんて口には出さなかったが、なんとなく彼女に疲れた様子が見られるようになったこともあり、披露宴は短時間の一時間ほどで打ち切られた。
その後、大輝は今日世話になった谷口や、TOKIOスカイダイビングクラブのスタッフの連中に礼を言うと、愛を泰三や百合子らと一緒に慶都病院まで送ると、その日の夜行列車で風のある町に帰った。
愛は、大輝と別れるその瞬間まで、絶対に片時も彼の手を握ったまま離そうとしなかった。
きっと、愛にはこれが大輝の温もりを肌で感じる、最後の時間(とき)だと分かっていただからかも知れない。

―♪瞳を閉じて・・・・・―
大輝の携帯電話の着歌が鳴り響き、百合子から愛に急激な体調の異変が起こり、彼女の死を知らせる電話が入ったのは、彼が風のある町に帰ってから三日後のことだった。
「か、亀梨さん、あ、愛が今日の十三時二十五分に亡くなりました・・・」
「え、え、えっ!!」



 中西友紀

◎紹介コメント
この地球上で一番美しいと言われている顔の表情が、燦燦と輝く太陽の中で大地に向かって働き、その顔が汗まみれになって輝きを放っている表情だと言われています。その表情と同じような輝きと美しさを持っているのが、友紀さんの笑顔です。だから、僕にとって友紀さんイメージは、太陽の輝きそのものであり人に「心の癒し」と、「幸せ」を与える素晴らしい笑顔の持ち主ですね。そして、僕はそんな友紀さんの、いつも輝いている笑顔が大好きです。

◎プロフィール

勤務先: Dream Agent(代表)
出身校: 関西学院大学文学部フランス文学科
居住地: 枚方市言語: 英語、フランス語、近畿方言、Universal Light Languages、日本語
血液型: O型
出身地: 福井市
誕生日: 9月4日
ウェブサイト
http://www.facebook.com/nakayoshi.club
http://www.dream-agent.com
http://jwtnavi.cart.fc2.com/



ハッピーハウス

ビジネスパートナー・協力者の募集!

『ハッピーハウス』は、この度いよいよ日本を出発点とした国境線や人種、宗教などの壁をすべて取り払い、全世界の人々が同じ「地球民」として貧困の差別がなく平和に暮らせるようにするための先導者としての、慈善事業ビジネス活動団体を立ち上げてその愛と希望の矢を世界に向けて放つことにしました。

現在、『ハッピーハウス』ではそのためのビジネスパートナー及び協力者の募集をしています。

◎その対象になる慈善事業ビジネス活動類は、次の通りです。

1:世界の国々への政党政治ノウハウの提供
2:世界の国々への農業生産ノウハウ(第六次産業を含む)の提供
3:世界の国々へのエンターテイメント教育・健康指導ノウハウの提供
4:世界の国々への企業・商業ビジネスノウハウの提供
5:世界の国々への男女平等労働・生活権利取得ノウハウの提供
6:その他


※本件の詳細内容のお問い合わせにつきましては、上記の携帯電話かメールにてご連絡ください。

携帯 /  090-1990-3944  担当 下家 猪誠(しもいえ いせい)
メールアドレス / m_ishizaka518@yahoo.co.jp

◇現在、「ハッピーハウス」の考え方は、政治や経済復興、ビジネス業界などにおいて、現次元の問題を高次元で思索分析し解決する新思考法としてとても役に立っています。




新 青春うたものがたりシリーズ「風のある町」7 / A town with the wind

2013-03-04 19:23:12 | 人・愛・夢・運命・教育・家族・社会・希望

2013年の新年を迎え、すべての有名サイトでNO1に輝いた当ブログ人気作品─新青春うたものがたりシリーズ『風のある町』─が、Googleサイトにおいて約115,000,000 件中1位を獲得するという大快挙を成し遂げました。それを記念して新シリーズとして─新青春うたものがたりシリーズ『風のある町』─を 再スタートさせて頂くことにしました。前回の連載同様どうぞよろしくお願い致します。

ピアノ

企画 / 下家 猪誠
作 / 猪 寿

第7話/ 生きていることが一番の幸せ
      ~愛のスカイダイビング~2

どんなに淋しくたって 生きていることが一番の幸せだと
誰かが言っていた
どんなに悲しくたって 生きていることが一番の幸せだと
誰かが言っていた
どんなに苦しくたって 生きていることが一番の幸せだと
誰かが言っていた
それは、きっと本当だろう・・・
だって生きているからこそ 笑ったり
だって生きているからこそ 泣いたり
だって生きているからこそ 怒ったり
だって生きているからこそ 楽しんだり
この両手で抱えきれないほどの いっぱいの感動に出会えるんだもの


◎前回のあらすじ


愛の「大空を飛んでみたい・・・」と望みが、彼女の命がけの訴えで叶うことになった。
「お願い、私にはもう時間がないの・・・」
「それは、本当はパパやママそうだけど、先生だって知っていることでしょう・・・」
「だから、私は自分の命と引き換えにしても、大輝との残こされた時間を少しでも大切にしたいし、ひとつでも多くの自分の思いを叶えたいの・・・」
そしてもうひとつ、愛が大輝に頼んだことは、最後の二人の愛の証としてお互いに結婚衣装を身に着けて、スカイダイビングを行うことだった。
例え、それが仮の結婚式だと分かっていても、自分が「大空を飛んでみたい・・・」と望んでいた空の上で、大好きな大輝と結婚式があげられることは、あと数ヶ月の限られた命しか残っていない愛にとっては、この上ない最高の幸福だった。
TOKIOスカイダイビングクラブに到着後、約三十分ほどの簡単なレクチャーを受けた大輝と愛は、オーナー兼スカイダイビングのインストラクターでもある谷口自身が操縦桿を握るセスナ機で、遊覧飛行も兼ねたて主治医の堂本誠や、担当看護師の吉田由美子らと一緒に四千メートルの上空へと向かって飛び立って行った。
大輝と愛が“夢を見ているのではないかと・・・”と思うほど驚いたのは、彼女が望んでいた結婚衣装を身に着けて、スカイダイビングを行うことだけではなく、みんながセスナ機の中で二人のために結婚式を挙げてくれたことだった。
主治医の堂本誠が神父代わりになって、愛が自分の命を賭けてまで望んでいた、大輝との空の上での結婚式が行われた。
「その健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」
「はい、誓います。」
「はい、誓います。」
二人とも堂本の言葉に、何のためらいを見せることもなく、結婚することを誓いあった。
そして、今日の二人の結婚式に参列してくれた人たちみんなの、予想もしていなかった温かい心遣いに対するあまりの感激から、指輪の交換が無事終了しケーキの入刀が終わる頃には、もう二人の目の色は真っ赤に変色してしまうほど、勝手に次から次に涙が溢れ出して来てしまい止まらなくなっていた。
そのあまりの感激から大輝と愛は、いつの間にか周囲に人がいるのも忘れてしまって、二人だけの世界に入り込んでしまい、ボロボロと頬を伝って零れ落ちるお互いの涙を拭いあいながらい抱きあっていた。
そして、その姿がごく自然で当たり前のように、二人の唇はまるで一心同体でもなるようかのように、ひとつになって重なり合っていた。
だが、それは愛にとって大輝との最後の口づけであり、最後の愛の交換でもあった。


「お二人さん、もう愛の交換タイム(時間)はもう終わりましたか?」
みんなが搭乗しているセスナ機を操縦している、TOKIOスカイダイビングクラブのオーナー兼インストラクターでもある谷口が、ちょっと大輝と愛をからかうふうにそう言うと、二人はお互いに顔を見合わせ照れ笑いした。
その姿は、まるで新婚生活を迎えたばかりの、本当の夫婦のようだった。
「どうやら見たところ、愛の交換タイムも終わったようだし、そろそろスカイダイビングの準備に入りますか?」
「はい、大丈夫です・・・」
大輝が谷口に向かってそう答えると、愛も「私のほうも大丈夫です・・・」と、結婚式を挙げた時と同じように、大輝に同調するかのように言った。
早速、二人は2000回以上のスカイダイビング歴を持つという、ベテランインストラクターの相葉浩と稲垣健一の指示に従って、結婚衣装の上にジャンプスーツを着込むと、ヘルメット、ゴーグル、手袋などのスカイダイビングに必要な防寒具を身に付けた。
そして、二人は防寒具を身に付ける準備が終わると、インストラクターと体を固定しジャンプするための、ハーネス(パラシュートを装着するための器具)と呼ばれるベルトを背負った。
大輝は相葉と、愛は稲垣と、それぞれにパートナーを組むことになった。
二人が感激したのは、谷口の粋な計らいで大輝と愛が空中で話が出来るように、ヘッドホンマイクを用意してくれていたことだった。
ただ、このハーネスと呼ばれるベルトは、思ったより躰を強く締め付けるものだったので、大輝が愛に“大丈夫か?”と聞くと、笑顔でピースサイン返って来たので一安心した。
このハーネスを強く締める理由は、空中でパラシュートを開いた瞬間に、その空圧でベルトが強く肩にくい込んだり、その反対に躰からすり抜けたりしでもしたら危険だという、安全性上の問題からだという。
「さあお二人さん、いよいよお待ち兼ねの空の散歩に、出掛けることにするかね・・・」
谷口のその言葉で、大空に飛び出すための乗降口が開かれた。
おそらく、初めての体験だということもあったし、その風圧の強さと空気の冷たさに恐怖感に襲われたのだろう。
乗降口が開かれたそのとたん、ほんの今さっきまで空中に飛び出すジャンプの準備をしてはりきっていた、大輝の顔色が全身から血の気が引いたように青白く豹変し、思わず腰が砕けたように後ずさりした。
「ち、ちょっと待ってください!」
そんな大輝の、子供のようなへっぴり腰で言い訳をする態度を見て、最初はクスクス苦笑していた愛も、最後は思わず吹き出した。
「アッハッハハハ・・・」
「あ、愛、何がそんなに可笑しいの!」
「だって、大輝がそんなにビビっているところ、初めて見たんだもの。なんだか、子供がお医者さんに注射をされるとき怖がって、無意識に自分の中だけで注射は痛いものだと決め付けて、駄々をこねている姿を見ているみたいで可笑しくて――アッハッハハハ・・・」
「そ、そんな、子供が注射を怖がる話と、今のことを一緒にするなんて・・・」
「愛、それってちょっと酷くない・・・」
「まあ、まあ、お二人さんもう夫婦喧嘩は止めて、やることやらないとね・・・」
「旦那がそんなビビリじゃ、奥さん行く先大変だね・・・」
谷口がそう言うと、機内中で大爆笑が起こった。
それに釣られて、大輝も気持ちが解れたのか、右手で頭をかきながら照れ笑いした。
その瞬間だった。
大輝が、相葉に「躰の力を抜いて大きく深呼吸して・・・」と言われ、相葉の言葉に従って躰の力を抜いて深呼吸していると、いきなりドンと背中を押されて気が付いたら、もう機内の外に飛び出していた。
「うわーっ!たすけて~」
「耳が痛いよ~」
「神様、僕はまだ死にたくないよ~」
ただ、大輝がどんなに喚こうが騒ごうが、もう空中に出た以上どうすることも出来なかった。
でも、当初はさすがに大輝が喚き散らしているように、人間が自然の理屈に逆らって時速200キロで降下するということは、スカイダイビングの未体験者にとっては、かなりの風圧や息も出来ないようなスピードを感じ、これまで地上では味わったことがない、独特の恐怖感に襲われるのかも知れない。

「大輝、大丈夫よ。隣を見て私も一緒だから・・・」
突然、愛の言葉がヘッドホンを通じて聞こえて来たので大輝はビックリしたが、確かに彼女が言ったとおりに隣を見ると、愛が彼の方を見て手を振っていた。
それにしても、愛の度胸は大したものだった。
まったく大輝とは違い、彼がこれまで体験したことがない風圧や空気の冷たさに対する恐怖感から、なかなか決心がつかないために半ば強制的にスカイダイビングを実行させられたのに対して、まったく愛は逆に彼女のパートナーであるインストラクターの稲垣も驚くほど、自ら進んで自分が鳥にでもなったかのように、大空に向かってジャンプして行った。
そしてまた、時速200キロという猛スピードで降下しているのにもかかわらず、大輝のことを気遣って声を掛けたり手を振ってあげたりする、スカイダイビングの初体験者とは思えないような余裕さえ見せた。
もしかして、これは愛自身がこれまで常に死の恐怖と隣り合わせに生きて来て、いつしかその死に対する恐怖感を彼女なりに物凄い努力をして、自分の中で素直に受け入れるようになっている、ひとつの強い気持ちの
現われでもあるのかも知れない。

だが、この行動が愛の死を早めることになろうとは、このときの彼女自身はもちろんだが、大輝を含め彼女に係わっている周囲の者は誰一人として気付いていなかった。


 
 にこら善恵

◎紹介コメント

僕にとっての善恵さんのイメージは、汚れのない「自然」そのものです。もっと分かりやすく言いますと、それだけすべての人に対して愛や幸せを齎してくれる人だということです。僕が大好きな海と戯れ、僕が尊敬しているマザー・テレサを尊敬していることからも、すぐにその人柄が連想できます。

◎プロフィール

職業:リフレ 責任者
出身校: 大阪大学 医学部(看護)
居住地: 愛知県西春日井郡
出身地: 大阪府大阪市
誕生日: 4月2日
ウェブサイト:http://ameblo.jp/niconicoyoshie/
メールアドレス:nicola.yourfriend@gmail.com


『ハッピーハウス』

募集!

『ハッピーハウス』では、只今本企画に対する内容やシステム立ち上げのための協力者を、広く全国(又は世界)から募集しています。

僕と一緒に、日本の教育制度や経済復興のための人材育成のためのプランやシステムづくりにご協力いただける方(企業、団体、個人などは問わない)がいましたら、ぜひ下記の電話やメールアドレスまでご連絡ください。

携帯電話 090-1990-3944

メールアドレス icchi0720@ybb.ne.jp

『ハッピーハウス』の詳細につきましては、お手数ですが当Facebookをご覧ください。

https://www.facebook.com/shimoie



 


新 青春うたものがたりシリーズ「風のある町」6 / A town with the wind

2013-03-04 19:22:53 | 人・愛・夢・運命・教育・家族・社会・希望

2013年の新年を迎え、すべての有名サイトでNO1に輝いた当ブログ人気作品─新青春うたものがたりシリーズ『風のある町』─が、Googleサイトにおいて約115,000,000 件中1位を獲得するという大快挙を成し遂げました。それを記念して新シリーズとして─新青春うたものがたりシリーズ『風のある町』─を 再スタートさせて頂くことにしました。前回の連載同様どうぞよろしくお願い致します。

ピアノ

企画 / 下家 猪誠
作 / 猪 寿

第6話/ 最後の愛の交換
~空の上の結婚式~2

◎前回のあらすじ

愛の母親の百合子の手助けによって、なんとか大輝は愛の望みである「大空を飛んでみたい・・・」という願いを叶えてあげようと努力をするが、彼女の主治医である堂本誠の反対により、あっさりとその望みは絶たれてしまった。
帰り際、堂本の勧めもあって愛の病室を訪ねた大輝がその事実を彼女に伝えると、彼女は泣き狂ったように点滴用の器具を自らすべて取り外して床に投げ捨てると、無菌室の扉を勝手に開けて四人がいる病
室の待合室がある廊下の外に飛び出して来た。
そして、両親の泰三と百合子や主治医の堂本の前で床に跪きくと、大粒の涙をボロボロ零しながら自分の最後の頼みを聞いて欲しいと大声で訴えた。
「お願い、私にはもう時間がないの・・・」
「それは、本当はパパやママそうだけど、先生だって知っていることでしょう・・・」
「だから、私は自分の命と引き換えにしても、大輝との残こされた時間を少しでも多く一緒にすごして大切にしたいし、自分の望みを叶えたいの・・・」
さすがに、愛のそんな行動をみたら、どんなに頑固な泰三であろうと、心を動かされずにはいなかった。
もちろん、それは百合子も主治医の堂本も同じ思いだった。


そんな二人の親心とはまったく逆に、愛は久しぶりに空の上から見る街や海、山並みの景色に、大感激した。
「大輝、やっぱり空の上に来ると、いつもくよくよしている自分が馬鹿らしく思えるほど、気持ちが晴れやかになれるし最高ね。

「これは、もしかしたら、私が今生きているという実感から来ることかしら・・・」
「僕には、そんなに難しいことは分からないけど、きっと愛の言う通りだと思うよ。」
「じゃあ、やっぱり死んでしまったら、こんな気分は味わえなくなるんでしょうね。」
「今日は、そんな湿っぽい話はやめようよ。」
「?????」
「だって、二人の結婚式じゃないの。」
「ごめん、そうだったわね。」
大輝がそう言うと、彼の言葉にこのセスナ機に同乗していた全員が同調して頷き、二人の結婚式を祝うために長渕 剛の“乾杯”
を歌い始めた。
♪かたい絆に 想いをよせて・・・
そのとたん、大輝と愛の目には自然に涙が溢れ出していた。
そして、みんなの大合唱が終わると、主治医の堂本誠が神父代わりになって、愛が自分の命を賭けても望んでいた、大輝との空の
上での仮の結婚式が挙げられた。
「その健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬
い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」
「はい、誓います。」
「はい、誓います。」
二人とも堂本の言葉に、何のためらいを見せることもなく、結婚を誓いあった。
そして、誓いの言葉が終わると、百合子が二人のために用意してくれていた指輪の交換が行われた。
さらにまた、堂本を始めとして今日二人の結婚式に出席してくれたみんなが用意した、ウェディングケーキへの入刀式が行われた

ウェディングケーキ自体は、やはり本物の結婚式の会場で挙式をあげるときの物のようにはいかず、かなり誕生日時のような小さ
なものだったが、ずっと二人とっては本物の挙式のときのケーキよりも大きく、価値のあるものに思えた。
今回の空の上での挙式のことが、まったく二人には知らされていなかったために、指輪の交換を終えケーキの入刀が終わる頃には
、もう二人の目の色は真っ赤に変色してしまうほど、みんなの温かい気遣いに対する感激で胸がいっぱいになり、自然に涙が溢れ出して来て止まらなくなっていた。
それからの大輝と愛は、いつの間にか周囲に人がいるのも忘れてしまって、二人だけの世界に入り込んでしまい、ボロボロと頬を
伝って零れ落ちるお互いの涙を拭いあいながら、いつしかい抱きあっていた。
そして、知らず知らずのうちに二人の唇は、まるで一心同体でもなるようかのように引きよせられてひとつになり重なり合ってい
た。

だが、それは愛にとって大輝との最後の口づけであり、最後の愛の交換でもあった。



藤原綾子

◎紹介コメント

最近は、あまりご挨拶は頂いていませんが、よく以前はご挨拶に遊びに立ち寄ってくれていました。ほとんど、お話したり直接お会いしたりしたことがありませんので、正直なところ本当の意味での藤原綾子さんがどんな方なのかはまだよくは分かりません。ただ僕が藤原さんの写真や文章を見て感じていることは、かなり前向きで気丈な性格(人前では、絶対に弱さを見せない)の方ではないかと思っています。

◎プロフィール

職業:Vert Mer 代表

出身校: 早稲田大学

居住地: 世田谷区既婚

言語: 日本語、英語

血液型: O型

出身地: 世田谷区

誕生日: 6月20日

ウェブサイト:http://www.vert-mer.com/

メールアドレス:http://facebook.com/ayako.fujiwara1

 


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新 青春うたものがたりシリーズ「風のある町」5 / A town with the wind

2013-03-04 19:22:30 | 人・愛・夢・運命・教育・家族・社会・希望

2013年の新年を迎え、すべての有名サイトでNO1に輝いた当ブログ人気作品─新青春うたものがたりシリーズ『風のある町』─が、Googleサイトにおいて約115,000,000 件中1位を獲得するという大快挙を成し遂げました。それを記念して新シリーズとして─新青春うたものがたりシリーズ『風のある町』─を 再スタートさせて頂くことにしました。前回の連載同様どうぞよろしくお願い致します。

 

ピアノ企画 / 下家 猪誠
作 / 猪 寿

第5話/ 最後の愛の交換
~空の上の結婚式~1


◎前回のあらすじ

愛の母親の百合子の手助けによって、なんとか大輝は愛の望みである「大空を飛んでみたい・・・」という願いを叶えてあげようと努力をするが、彼女の主治医である堂本誠の反対により、あっさりとその望みは絶たれてしまった。
帰り際、堂本の勧めもあって愛の病室を訪ねた大輝がその事実を彼女に伝えると、彼女は泣き狂ったように点滴用の器具を自らすべて取り外して床に投げ捨てると、無菌室の扉を勝手に開けて四人がいる病
室の待合室がある廊下の外に飛び出して来た。
そして、両親の泰三と百合子や主治医の堂本の前で床に跪きくと、大粒の涙をボロボロ零しながら自分の最後の頼みを聞いて欲しいと大声で訴えた。
「お願い、私にはもう時間がないの・・・」
「それは、本当はパパやママそうだけど、先生だって知っていることでしょう・・・」
「だから、私は自分の命と引き換えにしても、大輝との残こされた時間を少しでも多く一緒にすごして大切にしたいし、自分の望みを叶えたいの・・・」
さすがに、愛のそんな行動をみたら、どんなに頑固な泰三であろうと、心を動かされずにはいなかった。
もちろん、それは百合子も主治医の堂本も同じ思いだった。

「大輝どうもありがとう。愛の願いごとをふたつも聞いてくれて・・・」
「そんな願いごとなんか、愛の病気に比べたらなんでもないことだよ・・・」
愛が「大空を飛んでみたい・・・」という望みと、もうひとつ大輝に頼んだことは、最後の二人の愛の証として結婚衣装を身に着けて、スカイダイビングをすることだった。
例え、それが仮の結婚式だとしても、自分が「大空を飛んでみたい・・・」と望んでいた空の上で、大好きな大輝と結婚式をあげられることは、あと四ヶ月の限られた余命しかない愛にとっては、この上ない最高の幸福のことだった。
大輝は白ピケの蝶タイに薄いワイン色の燕尾服(衿は拝絹)、愛は真っ白なフリルの付いたシルクの生地に、彼女の生まれた六月の誕生花にちなんだ淡いピンクのバラの花の刺繍がされた、ウェリングドレスだった。
すべて、「今日、二人の愛の証の思い出に結婚式をあげたい・・・」という愛の願いを聞き入れて、わざわざ百合子がオーダーメイドして、新しく作ってくれたものだった。
愛と百合子は、この二人の結婚式のイベントを心から歓迎していたが、泰三は「自ら世間に恥をさらすようなもの」だと、当初から猛反対していた。
だが、愛の命がけの訴えがあったあの出来事以来、もう泰三は愛が望むことに反対するような言葉を一切口にしたり、態度に出すようなことはなくなっていた。
逆に言い方をすると、おそらくどんなに頑固な父親であろうと、たった一人の愛娘があと数ヶ月しか生きられないという現実に直面すると、実際にはいつも見せるあの傲慢な態度とは正反対に、父親として泰三の心の中にも何とも言えない苦しみがあったのかも知れない。
この日のために、泰三が小型のリムジンバスをチャーターし、大輝、愛、百合子、その他に泰三と百合子の親戚数名を乗せたバスは、成城の自宅から慶都病院のある信濃町に向かった。
やはり、愛の体調のことを心配した主治医の堂本誠が、自ら彼女に付き添うことを志願したからである。
日曜日のせいか、いつもとは段違いに車の数が少なく高速道路が空いていたために、三十分ほどで堂本との待ち合わせ場所である、慶都病院の門の前に着いた。
慶都病院の門の前に着くと、主治医の堂本と一緒に愛の担当看護師である、吉田由美子も待っていた。
「堂本先生、吉田さん、今日はわざわざ休日だというのに、愛のために出て来ていただいてありがとうございます・・・」
愛が満面に笑みを浮かべてそう言うと、二人とも口を揃えるかのように「ご結婚おめでとう・・・」
と、今日の大輝と愛の結婚式があくまでも虚偽のものだと知っているにもかかわらず、笑顔で祝福してくれた。
今の愛にとっては、それが真実のものであろうが虚偽のものであろうが、そんなことなどにまったく関係なく、自分が生きているうちに大輝と結婚式が挙げられるということが、何よりも嬉しかった。
堂本と吉田がバスに乗り込むと、バスは関越自動車道がある練馬ICに向かった。
そして、練馬ICから関越自動車道に入り、大泉、新座、所沢、三好、大井ICを通り越し、川越ICの出口を降りて国道17号線のある高崎線桶川駅方面に向かい、太郎右衛門橋を渡って二、三分すると、目的地のTOKIOスカイダイビングクラブに到着した。
バスが到着し、燕尾服姿の大輝とウェリングドレス姿の愛がバスから降りてくると、この日のために大輝と百合子が何度も足を運び、今回のいきさつの事情を細かく説明していたために、このクラブのオーナーでもありインストラクターでもある谷口大輔が、数十人のスタッフと共に拍手で二人を出迎えてくれた。
そして、愛の誕生花にちなんだ彼女のウェリングドレスの刺繍と同じ、ピンクのバラの花束を二人手渡してくれた。
その後、約三十分ほどの簡単なレクチャーを受けた大輝と愛は、オーナーである谷口自身が操縦桿を握る、真っ白なボディーに青空をイメージしたブルーのラインが両翼の上に描かれている、遊覧飛行も兼ねたセスナ機に乗り、主治医の堂本誠や担当看護師の吉田由美子、ベテランインストラクターの相葉浩、稲垣健一らと一緒に、七人で四千メートルの上空へと向かって飛び立った。
やはり気になるのだろう、大輝と愛らが乗ったそのセスナ機を、泰三と百合子は滑走路の横の芝生の上に立って、心配そうに眺めていた。


◎紹介コメント
とにかく、下記のようにいろんな職業の肩書きを持っていて、僕以上に何が本当の職業なのか?僕自身未だに分からないとこがありますが、僕が修子さんを大好きなところは発想が常識を超越しているところと、もしかしたらこの人片方では子供のような純粋な心を持った天使で、もう片方ではこの世に蔓延る悪に挑む「女戦士」ではないかと思わせるような、不思議な一面を持ち合わせているところです。
・プランナー
・ファシリティーエンタテイメントプランナー
・メディカルハーブプランナー
・メディカルフィトセラピスト
・ライター

 井町修子

◎プロフィール
職業:Cafe chez soi*Jeudi 世話人ときどきプランナー
出身校: 大阪芸術大学
居住地: 奈良県奈良市既婚
血液型: O型
出身地: 岩手県二戸市
誕生日: 10月13日


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新 青春うたものがたりシリーズ「風のある町」4/ A town with the wind

2013-03-04 19:22:06 | 人・愛・夢・運命・教育・家族・社会・希望

2013年の新年を迎え、すべての有名サイトでNO1に輝いた当ブログ人気作品─新青春うたものがたりシリーズ『風のある町』─が、Googleサイトにおいて約115,000,000 件中1位を獲得するという大快挙を成し遂げました。それを記念して新シリーズとして─新青春うたものがたりシリーズ『風のある町』─を 再スタートさせて頂くことにしました。前回の連載同様どうぞよろしくお願い致します。


ピアノ企画 / 下家 猪誠
作 / 猪 寿

第4話/ 愛の命を賭けた訴え
~私にはもう時間がないの・・・~

人にとって一番の 幸せってなんだろう
人にとって一番の やすらぎってなんだろう
ふとそう思って思い悩んだとき ふっと心の中に浮かんだのは
それは・・・いつも手を伸ばすと・・・ 真実の優しさや温もりにすぐ触れられる
家族や愛する人が いつもすぐ傍にいてくれることかも知れないと・・・・・


◎前回のあらすじ

大輝が、愛と再会し“風のある町”
に帰って来てから、一ヶ月近くになろうとしていた。
だが悲しいことは、愛の「大空を飛んでみたい・・・」という彼への最後の頼みに対して、彼の彼女の望(願いごと)みをなんとしてでも叶えてあげたいという焦る気持ちとは裏腹に、まだ未だに何ひとつとしてそれに対する名案は見つかっていなかった。
ある日、大輝が偶然に町の本屋の前を通りかかった時に、彼の目に一冊の本が目に留まった。
それはスカイダイビングの本であった。
大輝は、「大空を飛んでみたい・・・」という、愛の望みを叶えてやるのは「これだ!」直感した。
しかし、それを実行に移すためにはふたつの大きな問題が、彼の前に立ちはだかった。
それは、スカイダイビングに掛かる大輝と愛の二人分の費用が、大学生の彼にとってはすぐには用意するのは難しい、大金の五十万円ほどかかることと、いくら愛の「大空を飛んでみたい・・・」という望みを叶えてあげるためだといっても、彼女の体調のことを考えると、おそらく彼女の家族や病院側がそれを許してくれないだろうという、現実の大きな壁だった。
大輝は、まずは第一の問題である金のことを、田舎の両親に電話をし理由を話して必死で頼んだが、父親に「大学生の分際で・・・」と怒鳴られたあっさりと断られた。
そうなると、頼みの綱はもうひとつしか残っていなかった。
それは、一番今回の事情を良く知っている愛の母親百合子に、直談判することだった。
大輝はそう決めると、居ても立ってもいられなくなりすべてのことを取り止めて、すぐに風のある町を出て夜行列車に飛び乗り、愛の実家がある東京の成城に向かった。
その時、愛に残された余命は、あとわずか四ヶ月あまりだった。


京都の寺などでよく見かける、日本庭園風の庭が窓ガラス越しに見える、二、三十畳はあろうかと思う応接間に通されると、例の大輝が愛の家を最初に訪問したときに会った、家政婦の吉田恵子がいかにも高級そうなコーヒーカップに入ったコーヒーと、モンブランケーキを持ってきてくれた。
さすがに当初は、大輝の突然の訪問に百合子も驚いていたが、彼と愛との真実の関係を一番良く知っている彼女は、彼の訪問を快く出迎えてくれた。
大輝には都合よく、愛の成城にある実家を訪ねると、着いたのがもう時間が午前十時を回っていたせいか、彼女の父親の泰三は会社に出掛けていなく、愛の母親である百合子が応対してくれた。

―ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン・・・・・―

「ところで亀梨さん、今日は突然連絡もなしに訪ねてくれるなんて、何かあったのですか?」
百合子は、大輝の不意の訪問を不思議がりそう尋ねた。
「実は、今日僕がお邪魔したのは、愛ちゃんの望みを叶えてあげたくて、ご相談に来たんです・・・」
「それに、すみませんが連絡をしないで来たのは、おそらく電話でその相談をすると、その時点で断られることが分かっていたからです・・・」
「愛の望み?」
『そうです。お母さんも一緒に病院に行ったときに聞いていたでしょう。愛ちゃんが僕に対して「大空を飛んでみたい・・・」と話していたことを・・・』
「ずっとあれから、愛ちゃんの望みをどうやったら叶えてあげられるかを考えていたのです・・・」
「そして、やっとその方法が見つかったのですが、今の僕の身分ではどうすることもできないのです・・・」
「その方法は、お母さんは知らないかも知りませんが、鳥や飛行機のように空を自由に飛ぶことが出来て遊覧飛行や空の散歩を楽しめる、スカイダイビングというものなのですが・・・」
「ですから、こうやってお母さんに相談に来たのです・・・」
「それってどういうことですか?」
百合子は、大輝の話をじっと黙って聞いていたが、彼の言っている事情がまったく呑み込めず、再び彼に問い返した。
「愛ちゃんの“大空を飛んでみたい・・・”という望みを叶えてあげるためには、僕なりに考えたところこの方法が一番いい方法ではないかと思うのですが、そのためにはふたつの大きな問題があって・・・」
「ふたつの大きな問題って?」
「そのひとつ目ですが、スカイダイビングを行うためには入会費や会費、受講料など必要で、僕と愛ちゃん二人分に費用を合わせると、僕のような貧乏学生の身分ではとても用意できない五十万円近くもの大金が必要であるということと・・・」
「そして、そのふたつ目ですが、愛ちゃんにそのスカイダイビングをやらせることを、お母さんたち家族や病院側が許して貰えるかということなんです・・・」
「・・・・・」
さすがに、大輝の話を聞き終えて事の真相を理解した百合子も、いくら愛の望みを叶えることだといっても、彼の唐突すぎる内容には頭の中が混乱して、どう返事していいのか判断がつかずに言葉に詰まった。
ただ、だんだんと落ち着きを取り戻し心の整理がつくと、自分の率直な思いを明確な口調で大輝に伝えた。
「亀梨さんには悪いけど、お金のことならともかく愛の病気のことを考えると、とてもスカイダイビングなんてやらせられないわ・・・」
大輝は、当初から反対されることは分かっていたとはいえ、百合子の言葉を聞いて愕然とした。
ただ、今ここで「はい、そうですか・・・」と引き下がってしまうと、愛が大輝に託した望みを彼女が生きている間に叶えてあげることはとても無理だという思いが、彼の心の中では強く働いていたので、彼は涙ながらに百合子に土下座して、何とかその返事を考え直してくれるように頼み込んだ。
さすがに、百合子もそんな大輝の姿を見ていると心を動かされ、しぶしぶ愛の父親である泰三や愛の主治医の堂本誠と交渉してくれることを承諾してくれた。

百合子が、泰三に連絡を取り大輝から聞いた話の内容を伝えると、当初は彼女と泰三が電話で話す姿を見ていると、かなり泰三は彼女に対して怒りをぶつけているようだったが、どうやら最後は彼女に説得されてしぶしぶ承諾したようで、愛が入院している病院の一階の受付の前で、会社の仕事が終わる午後七時に待ち合わせることになった。
そして、百合子は同時に緊急に相談したいことがあると言って、愛の主治医である堂本誠とも会う約束を取り付けてくれた。
大輝と百合子が、タクシーで病院に向かい病院に到着すると、約束の一階の受付の前で泰三が大柄な躰をイラつかせるように揺り動かしながら、彼の運転手の河本輝夫と一緒に待っていた。
「お前たち、遅いじゃないか・・・」
「すみません・・・」
まだ約束の時間の七時まで十五分も前だというのに、相変わらず泰三は横柄な態度で百合子に文句を言っていたが、さらに今回の大輝の計画には相当腹を立てているようで、彼が挨拶をしても彼とは一切口を聞こうとはしなかった。
愛が入院している七階の受付を尋ねると、百合子が連絡を入れていたこともあり、愛の主治医である堂本誠が待っていてくれて、診察室と隣接した場所にある入院患者や、その家族への病状の説明に使われるカンファレンス室を用意していてくれていた。
堂本は、百合子の話を聞いたとたん、「そんなこと、本気で言っていっているんですか?」と言い、あっさりと百合子の話を断った。
そして、その堂本の言葉に同調するかのように、その話を隣で聞いていた泰三が、「こんな馬鹿げたことで、俺まで呼び出すなんて・・・」と、吐き捨てるように言った。
「せ、先生なんとかお願いできませんか?愛ちゃんが僕に最後に託した望みなんです・・・」
「亀梨くん、君のようなド素人が何を言うのかね。だいいち、家族でもなんでもない他人の君が、先生にそんなことを話すなんて大変失礼ことなんだぞ・・・」
「まあ、まあ、そう怒らずに落ち着いてください。彼も彼なりに愛ちゃんのことを思って一生懸命やったことでしょうから・・・」
さすがの泰三も、愛の主治医である堂本には頭があがらないみたいで、ブツブツ口ごもって愚痴は零していたものの、大輝に対してそれ以上何かを言うことはなかった。
これでもう、愛の「大空を飛んでみたい・・・」という望みを叶えてあげることは、すべて絶たれてしまうことになった。

「せっかくお見えになったんだから、愛ちゃんの病室を寄って行ったらどうですか?」
堂本の勧めもあって、もう通常なら面会の時間はとっくに過ぎていたが、堂本が同行するという条件で病院側から許可を得て、三人は愛の病室に立ち寄ることにした。
大輝たちが愛の病室を訪ねると、彼女は病気の治療のための点滴を受けている最中だったが、すぐに大輝の姿に気がつくと満面の笑みを浮かべながらベッドから起き上がり、点滴用のスタンドを片方の空いている左手で押しながら、彼の方に向かって近寄って来た。
そして、大輝に分かるようにひと言ひと言ずつ大きく口を開いて、「今日は、何をしに来たの?」尋ねた。
大輝は、愛のその言葉の意味を理解すると、ショルダーバッグの中から以前に彼女と話した時と同じように大学ノートと取り出し、彼女の問い掛けに対して返事を書いた。
――今日は、君がこの前来た時に僕に話した「大空を飛んでみたい・・・」という、君の望みを叶えてあげたくて、君のお父さんやお母さんそれに主治医の堂本先生にお願いに来たんだけど、どうやら君の病気(体調)のことを考えると、とても難しいという結論になってしまって。だから、ごめんね。君の望みを叶えてあげられなくなって・・・――
その大輝が大学ノートに書いた文章を読んだとたん、愛は泣き狂ったように点滴用の器具を自らすべて取り外して床に投げ捨てると、無菌室の扉を勝手に開けて四人がいる病室の外に飛び出して来た。
そして、泰三や百合子や主治医の堂本の制する言葉にも耳も貸さずに、自ら四人の足元に跪いて床に顔を押し付け、大粒の涙をボロボロ零しながら大声で訴えた。
「お願い、私にはもう時間がないの・・・」
「それは、本当はパパやママもそうだけど、先生だって知っていることでしょう・・・」
「だから、私は自分の命と引き換えにしても、大輝との残こされた時間を少しでも大切にしたいし、自分の望みを叶えたいの・・・」
「ねえ、パパもママも先生も、私のそんな気持ちを分かってくれてもいいでしょう・・・」
さすがに、愛のその行動を目の当たりにしたら、どんなに頑固な泰三であろうと、心を動かされずにはいなかった。
もちろん、それは百合子も主治医の堂本も同じ思いだった。


 


    渡部猛夫

◎プロフィール

職業:あおぞら整骨院院長

出身校:帝京医学技術専門学校

出身地・居住地:神奈川県横浜市

好きな言葉:心得

すべてに感謝し

生かされている自分は

人に感謝の念を持って施術に入る

電話:勤務先045-581-0715 携帯 080-4072-8306

ウェブサイト:http://www.facebook.com/l.php?u=http%3A%2F%2Faozora.jisseki.net%2F&h=ZAQDhfWU0

http://ameblo.jp/aonofujitora/

メールアドレス:aozorabs@gmail.com

◎紹介コメント

一言でいうと、とても魅力ある人間らしい方です。それは、誰に対してもこまやかな心遣いと愛情を持って接し、勇気(元気)や希望を与えられる方だからです。僕は、そんな渡部さんの人間としての、人柄の尺度の大きさが大好きです。


Happy New Year! 2013

お友だちのみなさん、新年明けましておめでとうございます。

 今年は、新たな「日本の天地創造」の時だと思っています。
それに伴い、いよいよ僕自身も自らの人生の最終章に向かう年だと思っています。

そこで、これまで僕は僕自身がやり残したことを、すべては出来ませんが出来る限りやって行こうと決心しました。
その最後の答えが見つかるまでは試行錯誤すると思いますが、これまでのように絶対に自分を甘やかせないで生きることにしました。

 ただ、やる目的は決まっていますので、後は自分自身の努力次第でそれが本物になるか、しょせん偽物で終わるのかが決まると思います。

つきましては、これまで以上にすべての物事に対して本気で立ち向かって行こうと思っていますので、お友だちのみなさんの中でぜひ僕に対してどんな小さなことでもいいですので、ご支援やご指導を頂ける方がいましたら、下記のメールアドレスまでどうぞご一報いただけますようよろしくお願い致します。

 連絡先
m_ishizaka518@yahoo.co.jp
icchi0720@ybb.ne.jp

平成25年1月吉日
 下家 猪誠

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新 青春うたものがたりシリーズ「風のある町」3/ A town with the wind

2013-03-04 19:21:41 | 人・愛・夢・運命・教育・家族・社会・希望

2013年の新年を迎え、すべての有名サイトでNO1に輝いた当ブログ人気作品─新青春うたものがたりシリーズ『風のある町』─が、Googleサイトにおいて約115,000,000 件中1位を獲得するという大快挙を成し遂げました。それを記念して新シリーズとして─新青春うたものがたりシリーズ『風のある町』─を 再スタートさせて頂くことにしました。前回の連載同様どうぞよろしくお願い致します。



ピアノ企画 / 下家 猪誠
作 / 猪 寿

第3話/ 愛の願い
~大空を飛んでみたい・・・~


◎前回のあらすじ

あ、愛ちゃんに会わせて下さい・・・」
「・・・・・」
大輝が必死で頼んでも、愛の母親百合子はなかなか首を縦に振らなかった。
おそらく、大輝の気持ちの中では愛の父親である泰三が許さないからだろうという、強い気持ちがあった。
しかし、本当の理由はそれだけではなかった。
それは、大輝が今の愛の本当の姿を見てしまうと、百合子の心の中に彼の気持ちにかなりの動揺が起こり、彼のこれまでの愛に対する気持ちが離れていってしまうのではないかという、母親としての大きな心配があったからである。
そして、もうひとつそれと同時に、今の愛の本当の姿を知ったとたん、大輝の彼女に対する愛情が薄れてしまい、彼女に対して冷めた態度をとられたらという、ちょっと百合子の心の中に考えすぎではないかと思うほどの、ひとつの怖さがあったからだった。
それでも、大輝はあまり乗り気ではない愛の母親である百合子を強引に口説いて、愛が入院している新宿の信濃町にある慶都病院に向かった。

―コンコン、コンコン、コンコン・・・―

そこで待っていたのは、かつてのように美しい黒髪姿の面影などはまったくない、白血病の治療の副作用のせいで髪の毛はすべて抜け落ち、頭にベージュ色のニットの帽子を被り、躰全体が拒食症患者のようにやせ衰えた愛だった。
突然の大輝の訪問に驚いた愛は、最初は照れくさそうにただ笑っているだけだったが、いつしか二人とも
“風のある町”
で一緒に暮らしていた頃のように心をひとつに取り戻すと、どちらからともなくお互いの肌の温もりを確かめるかのように近付いて来て、気付いたときには心身ともにひとつになって、しっかりとガラス越しに両手と両手を重ね合わせていた。
やがて愛の目には大粒の涙が溢れ出していた。
それは、大輝も同じだった。
二人は、ほんの数十センチという近い距離にいながら、ガラスの壁に阻まれて直接言葉が交わせないぶん、日記帳と大学ノートを使って会話をすることにした。

「また会えてよかったね・・・」
「ありがとう」
「どうして僕に、本当のことを教えてくれなかったの?」
「・・・・・」
大輝が書いたその言葉に、突然愛の表情が悲しそうになったので、彼はすぐに話題を変えた。
「早く君が元気になって、また二人で風の町に帰りたいね・・・」
「そうね・・・」
「いつまでも僕は、君が帰ってくるのを待っているからね・・・」
大輝が大学ノートにそう書いた台詞を見たとたん、また愛の目頭には薄っすらと涙が浮かんで来た。
「ごめん、変なこと書いちゃって・・・」
「ううん、大丈夫よ・・・」
二人の、日記帳と大学ノートを使った文字での会話は三十分ほども続いたが、やがて愛の担当看護師がやって来て、「もういいでしょう。これ以上、無理やり続けて、愛さんに何かあったらどうするんですか?」大輝に向かってそう言うと、半ば強引に二人の会話を打ち切らせた。
その担当看護師の言葉を聞いて、愛自身は自分は大丈夫だと強引に訴えたが、看護師が彼女の言葉を一切聞くことはなかった。
大輝の横にいて二人の会話のやり取りをずっと見守っていた百合子も、さすがにそう思ったのか?担当看護師の言葉に一切口出しをすることは無かった。
最後に、大輝が愛に今一番何がしたいか?尋ねると、彼女の口からは彼が予想もしていなかった言葉が飛び出した。
「大空を飛んでみたい・・・」
「大空!どうしてまた?」
「どうしても・・・」
「私の、最後の大輝に対する我侭だと思って、それを叶えてくれる・・・」
「ね、大輝いいでしょう・・・」
大輝とっては、まだ自分さえ飛んだことがない大空を飛ぶことなんて、とても自分の力で愛の夢を叶えてあげるのは無理なことだとは思ったが、でもあと半年間しかもたない愛の命のことを考えると、なんとしてでも彼は彼女の夢を叶えてあげたいと思った。
その日、大輝は愛からその言葉を最期に聞くと、百合子と一緒に彼女の病室を後にした。
大輝が愛に別れを告げて帰る時、一瞬後ろを振り返ると笑顔は見せているものの、彼女の目頭に薄っすらと涙が浮かび、「ありがとう・・・」という言葉を、ひと言ずつ口を大きく開いて一生懸命に伝えようとしている姿が見えた。
大輝は、自分が予想もしていなかった愛の言葉にすごく戸惑ったが、愛が生きていられる時間があと半年の間しかないと思うと、何とかして彼女の夢を叶えてやりたかった。
輝が、愛と再会を果たし風のある町に帰って来てから、月日が経つのは早いもので、もう一ヶ月近くになろうとしていた。
ただ大輝はその間、学校へ行っている時もアルバイトの行っている時も、片時も愛の「大空を飛んでみたい・・・」という夢を、絶対に叶えてあげたいということを忘れることはなかった。
しかし、残念なことに大輝のそう思う強い気持ちとは裏腹に、まったく未だにその名案は見つかっていなかった。
る日、大輝が偶然に町の本屋の前を通りかかった時に、彼の目に一冊の本が目に留まった。
それはスカイダイビングの本だった。
大輝は、「大空を飛んでみたい・・・」という、愛の夢を叶えてやるのは「これだ!」思い、その本を夢中で読み漁った。
ただ、大輝はスカイダイビングで誰かが飛んでいるのを、これまでテレビのバラエティ番組の罰ゲーム一などでしか見たことがなく、彼の意識の中でのスカイダイビングはそのスピードやスリル感を楽しむ、ある種レジャー楽しむための金持ちのひとつ遊びだというイメージが強かった。
が、その本を読んでいるうちに、実際のスカイダイビングはパラシュートの操縦技術を競い合う、世界各国で大会が行われているれっきととしたスポーツ競技の一種だということが分かった。
スカイダイビングで愛がいう大空の飛ぶのには、ハワイやグァムなどの世界各地の様々な場所でその体験が出来るようだったが、彼女の躰の体調のことを考えると、日本の中でその体験が出来る場所を探すしかなかった。
都合がいいことに、愛が入院している慶都病院からさほど距離的に遠くはない埼玉県の川島町に、TOKIOスカイダイビングクラブという、スカイダイビングが体験できる会社が見つかった。
ただ、大空を飛ぶ体験が出来るスカイダイビングのクラブが見つかったことで、愛の望みである“大空を飛んでみたい・・・” という願いは叶えてあげられそうになったが、それを実行に移すためにはふたつの大きな問題があった。
それは、入会費や会費、受講料が大輝と愛の二人分を合わせると、大学生の彼にとってはすぐには用意は出来ない、大金の五十万円ほどの費用がかかることと、いくら愛の「大空を飛んでみたい・・・」という夢を叶えてあげるためだといっても、おそらく彼女の家族や病院側がそれを許してくれないだろうという、現実の大きな壁があった。
大輝は、まずはその第一の問題である金のことを、「大学を卒業して働くようになったら、必ず返すから・・・」と言って、田舎の両親に電話して必死で頼んだが、父親に「お前は大学生の身分で、なんでそんな恥知らずなことをやっているんだ!それに家は、貧農家でお前を大学に行かせるだけで精一杯なんだぞ・・・」と、逆に大怒りされてあっさりと断られた。
そうなると、頼みの綱はもうひとつしか残っていなかった。
それは、愛が入院している病院に一緒に同行し、彼女が大輝に対して“私の、最後の我侭だと思って、その願いを叶えてくれる・・・”と、彼に頼んだことをその場で聞いていた、愛の母親の百合子に相談することだった。
大輝はそう決めると、すぐに風のある町を出て夜行列車に飛び乗り、愛の実家がある成城に向かった。
その時、愛に残された余命は、あとわずか四ヶ月あまりだった。


 
K

Kimiko Eva


プロフィールの紹介

楽 し い 通 訳 ☆ き み 子 で す

英国人と結婚して英国に住むようになり、
氣がついたら、もうすぐ30年になります。

会社内の翻訳・通訳を経てフリーになって7年。
臨時講師ですが大学で逐次・同時通訳も教えます。
国際会議、リサーチ、ビジネス、面白そうな仕事は何でもウェルカム。
最近はケンブリッジ大学のリサーチ機関とも御縁ができました。

モットーは、何でも楽しくやろう!です。
漫画とアニメ大好き、美味しい食べ物・ワインはモチロン大好き。

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新 青春うたものがたりシリーズ「風のある町」2 / A town with the wind

2013-03-04 19:21:17 | 人・愛・夢・運命・教育・家族・社会・希望

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第2話/ 愛の病気
~限りある命(白血病)~

風のある町を君は去って行った きっともう帰れないと知っていたから
(片道切符一枚で・・・Woo ooo)
知らず知らずにいつか 二人の間を急ぐように時間が駆け抜け
知人(ひと)を通して聞いてた 君の噂も聞かなくなったいつからか
あのまま君が生きていてくれたら 二人にとってどんな人生があっただろう
歳をとったせいだろうか こんなにも涙もろくなったのは
もう帰れないからだろうか 君と過ごした思い出の場所へ
どこまでも青く澄み切った 星空を見ていたら
子供のように夢を見る とても惨めな大人の姿の僕がいた

歳をとったせいだろうか 意味もない自分探しをするのは
もう帰れないからだろうか あのときめきの青春(じだい)の瞬間(なか)に
心地よい陽だまりの中の 眠りから目覚めたら
輝きもときめきもない 時の流れに置きざりにされた僕がいた

◎前回のあらすじ

突然、愛が地図にも名前が載っていない、“風のある町”
にやって来たのは、桜前線の話題がいっせいにテレビニュースで騒がれ始めた、早春の風の強い日だった。
大輝との出会ったのは、駅前の不動産屋の前で部屋を探すための貼り紙を見ているときに、偶然その場を通りかかった彼が、彼女に声を掛けたことがきっかけだった。
大輝は愛と出会ったときには、まだ彼は地元の大学に通う学生だった。
そして、愛は大輝よりふたつ年上の、OLだった。
やがて、二人は偶然の出会いから親しくなり、一緒に暮らし始めるようになる
ただ、大輝は愛と暮らし始めるようになってから、だんだんと2人の将来について理想を描くようになっていったが、その思いは2人が一緒に暮らし始めてから彼の気持ちとは裏腹に、わずか2ヶ月足らずで崩れてしまう。
その理由は、「ママが体調を崩したみたいだから、ちょっと家に帰って来るね。でもすぐに帰って来れると思うから心配しないでね・・・」という、一通のメモが残されていたのがきっかけだった。
それは、実際には愛の母親が病気ではなく、彼女自身が病気だったからだったからである。
それも、後命が半年しかもたないという、思い白血病だった。
実は、愛がふらりと偶然にも風のある町にやって来たのは、天国に旅立つための自分に残された、最後の時間を楽しむためだったのである。

「あ、愛ちゃんに会わせて下さい・・・」
「・・・・・」
大輝が必死で頼んでも、愛の母親百合子はなかなか首を縦に振らなかった。
おそらく、大輝の気持ちの中では愛の父親である泰三が許さないからだろうという、強い気持ちがあった。
しかし、本当の理由はそれだけではなかった。
それは、今の愛の本当の姿を知ると、百合子の心の中に大輝の気持ちに大きな動揺が起こり、彼の気持ちが愛から離れていってしまうのではないかという、かなり母親としての恐れがあったからだった。
愛は、高度の白血球の減少に伴い化学療法や造血幹細胞移植術等の血液疾患により、外には一歩たりとも出ることが出来ずに、無菌室で集中治療中を受け続けていたが、その副作用で髪はすべて抜け落ち頬はこけ目は窪んで、その姿にはかつての彼女の面影は何ひとつとして残っていなかった。
百合子は、そのことを大輝に話すかどうか迷っていたが、彼の話を聞き彼が本心から愛を愛してくれていることを知ると、彼にすべてを打ち明ける決心をした。
そして、やはり泰三は同行するのを嫌がったが、大輝と百合子は愛が入院している新宿の信濃町にある慶都病院に向かうことになった。
車は、いつも泰三が通勤に使っている白塗りのクラウンロイヤルで、泰三の運転手の河本輝夫が二人に同行した。
慶都病院は、かつて日本を代表するアクションスターの石渡裕一郎が入院したり、初めて日本人の女性宇宙飛行士として有名になった、向田千秋が医師として勤務していたりしたことでも、有名な病院である。
二人を乗せた車は成城の自宅を出ると、世田谷通りから環八に入り、用賀から首都高に乗って、首都高速道路4号新宿線外苑出入口で降り、慶都病院に向かった。
慶都病院は、同大学のキャンパスにあるせいか、意外に若い人の姿も多く見かけた。
1階で受付を済ませると、大輝と百合子は愛が入院している無菌室がある7階に、通路のちょうど中ほどにあるエレベーターで向かった。
愛が入院している病室に付くと、彼女はじっとベッドの上から淡いピンクのパジャマ姿のままで、青くどこまでも晴れ渡った大空をじっと見つめていた。
ただ、愛の姿が以前の姿とまったく違っていたのは、百合子が彼女を訪ねる前に話していたように、白血病の治療の副作用のせいで髪の毛はすべて抜け落ち、頭にベージュ色のニットの帽子を被り、躰全体が拒食症患者のようにやせ衰えていたことただ。


――コン、コン、コン コン、コン、コン・・・――

大輝が、硬い透明のガラスで仕切られた壁をノックすると、愛はビックリした表情で立ち上がり、最初は照れくさそうに笑っていたが、やがて彼女の目には大粒の涙が溢れ出していた。
それは、大輝も同じだった。
気付いた時には、大輝の目からも、愛と同じように大粒の涙が、自然に勝手に溢れ出していた。
そして、しばらく二人は見つめ合ったまま、決して何かを語ろうとはしなかったが、まるで久しぶりの再会をひとつひとつ確かめて喜び合うかのように、だんだんとガラスを挟んでふたつの躰が近づくと、気付いた時には両手と両手が重ね合っていた。
その姿を横で見ていた、愛の母親の百合子も思わずもらい泣きして、しばらく三人の涙が止むことはなかった。
また、それは、大輝と愛の真実から愛し合っている偽りのない姿でもあった。



長町

長町ゆかり


プロフィール紹介

未来を担う子供達が、健やかな心と身体を保てるように願い、こどもパン教室『ぷちぱんキッズ』を始めて8年半になりました。
これから1年かけて、イメージトレーニングのインストラクターの資格も取ります。
子ども達の心を癒し、豊かな未来を築きあげる力をつけるお手伝いができることを喜びに、自分自身も楽しんでいきたいと思います☆
どうぞ宜しくお願いします♪

▲僕も大好きな“ゆかぱん”こと、長町ゆかりさんとお友だちになりたい方は、下記のブログやメールでご連絡をしてくださいね。


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りとるさんた / 永遠のきずな2

2012-01-15 18:32:13 | 人・愛・夢・運命・教育・家族・社会・希望


クリスマスツリーもしも、みなさんの中で本作品『りとるさんた / 永遠のきずな』をご覧になって、ひとつぶの涙を流したり一度の感動も受けなかったという方がいましたら、ぜひ私の方へご連絡ください。それだけ、本作品は一人のハルという五歳の女の子の人生を通して、「親子の愛」「家族の愛」「人間の愛」について真剣に問いかけ、その答えを導き出した作品です。それだけに、すべての読者のみなさんに本物の“愛”と“感動”を必ず届けてくれると思います。

企画 / 下家 猪誠
著作 / 猪 寿

子どもの一番の夢ってなんだろう

子どもの一番の愛ってなんだろう

子どもの一番の幸福ってなんだろう

それは・・・いつも手を伸ばすと・・・

真実の優しさや温もりがすぐ届くところにある

心のやすらぐ生活の場所があることかもしれない

(三)

「もうすぐクリスマスね。」

「うん。」

「今年はサンタさん、何をプレゼントしてくれるかねぇ。」

「ハルは、ウォルドルフ人形かテディベアのぬいぐるみがいいな~。」

「お前はとってもいい子だから、きっとサンタさんもお前の願い事を聞いてくれると思うよ。」

「ほんと!おばあさん。」

「・・・・・」

「うっ、うっ、うっう、うう・・・」

――ガッチャン・・・――

「???・・・」

キッチンテーブルでぬり絵をして遊んでいたハルが、おばあさんの呻き声と食器を落とす音に驚いて、振り向いた瞬間、再び彼女を悲しい出来事が襲いました。

さっきまで、普段と変わらない様子で台所で洗い物をしているおばあさんが、いきなり苦しそうな表情を浮かべて、床の上に倒れ込んでしまったのです。

「おばあさん!おばあさん!大丈夫?」

「ハァ、ハァ、ハァ・・・」

ハルがどんなに躰を揺すったり叩いたりして呼びかけても、おばあさんは床の上に苦しそうに這い蹲ったまま、まったく返事をしてくれませんでした。

いくら彼女が、両親を失くしてから自立心が強くなったといっても、まだわずか八歳たらずの女の子。

やがて、おばあさんの身動きひとつしないで、ずっと這い蹲ったまま苦しんでいる姿を見ているうちに、どうしていいのか途方に暮れてしまい、とうとう彼女はおばあさんの傍らでへたり込んでしまい泣き出してしまいました。

運良く、たまたまおばあさんと仲のいい近所のおばさんが、買い物に出掛ける途中に家の前を通りかかった際、ハルの異常な泣き声に気が付いてくれて、台所で蹲っている二人の姿を見つけてくれました。

そして近所のおばさんは、おばあさんをハルと一緒に抱きかかえてソファに寝かせると、大急ぎで救急車を呼んでくれました。

―ピーポー、ピーポー、ピーポー・・・―

ただ悲しいことに、おばあさんの病状はとても悪く、すぐに隣町の大きな病院に入院することになりました。

独りぼっちで家に取り残されたハルは、おばあさんが入院したその日から、「もしも、このままおばあさんが帰って来なかったら・・・」という、不安な気持ちでいっぱいになり、その重圧から何日も眠れない日が続きました。

だけど、子供の彼女にはどんなに心配しても、おばあさんが早く元気になって、家に帰って来るのを、ただ神様に祈ることしかありませんでした。

毎日、ハルは天の国のパパとママに、おばあさんの病気が早く良くなるよう祈りました。

その度に、彼女の青く澄んだまん丸い大きな瞳は、涙でいっぱいになっていました。


そんな彼女の姿を、煙突の上から見ていたチッチが、ひと言つぶやきました。
「ハルちゃん、がんばって・・・」


(四)

おばあさんが病院を退院して家に帰って来たのは、ハルが一人で留守番をするようになってから、二回目のクリスマスを迎えるひと月ほど前のことでした。

その日のハルは、あまりの嬉しさからおばあさんの傍を、かたときも離れようとしませんでした。

その思いは、おばあさんにとっても同じでした。

ハルのそんな無邪気な行動を、ひとつひとつ愛しそうに眺めている、おばあさんの目にはいつしか大粒の涙が光っていました。

ただ、そんな喜びもそう長く続くことはありませんでした。

それは、おばあさんの病気が下半身の麻痺した、一人では歩くことが出来ない重い病気だったからです。

そのせいで、家に帰って来てからのおばあさんは、ずっと車椅子を使う生活でした。

「おばあさん、無理しないでね。ハルがおばあさんの分も頑張るから大丈夫だからね・・・」

「ありがとう・・・」

ハルはおばあさんが病気になってからは、ずっと以前にも増して自から進んで、洗い物や掃除をしたり買い物に行ったりなどして、いっぱいおばあさんの代わりに手伝いをするようになりました。

また、病気のおばあさんによけいな心配を掛けたくなかったので、学校でどんなに悲しいことや辛いことがあっても、いつでもおばあさんの前では明るく振舞いました。

でも、おばあさんにはそんなハルの健気な姿を見ていて、かえって彼女の思いとは逆に自分の病気のせいで、彼女に苦労を掛けているという思いが募るようになり、とても辛くなりました。

そして、いつしかおばあさんの心の中は、自分がハルの世話をかつてのようにしてあげられないという焦りと重圧感で、いっぱいの不安に襲われるようになりました。

当然のごとく、その焦りと重圧感は日に日に増していき、やがてだんだんとおばあさんの大きな心の負担になるようになりました。

「こんな不自由な体では、もうハルの面倒をみるのは無理なのでは・・・」

ハルの将来を心配したおばあさんが、来る日も来る日も思い悩んだあげく、とうとう彼女を児童養護施設にあずけることを決心したのは、彼女が通う小学校が冬休みに入ったばかりの初雪の夜でした。



チョコみなさん、次回のりとるさんた世界でいちばんの贈り物~は、エミリーちゃんの願いごと(ペルシャ猫の子猫を飼いたい)を叶えてあげるための、クリスマスイブまであと1日と迫った時間の中で、チッチは“りとるさんた”が持っているどんな超能力を使って、彼女に世界でいちばんのクリスマスプレゼントを贈るとおもいますか?アッ!と驚くような予想もしないストリー展開に、みなさん自身もこれまで一度も体験したことがない超ファンタヂックの世界を、今年のクリスマスはこの作品で初めて童心に返って体感することができ、その幸せな気分を思う存分に楽しめることになると思いますので、ぜひご覧になってくださいね。









りとるさんた / 永遠のきずな1

2011-12-19 00:07:06 | 人・愛・夢・運命・教育・家族・社会・希望


クリスマスツリーもしも、みなさんの中で本作品『りとるさんた / 永遠のきずな』をご覧になって、ひとつぶの涙を流したり一度の感動も受けなかったという方がいましたら、ぜひ私の方へご連絡ください。それだけ、本作品は一人のハルという五歳の女の子の人生を通して、「親子の愛」「家族の愛」「人間の愛」について真剣に問いかけ、その答えを導き出した作品です。それだけに、すべての読者のみなさんに本物の“愛”と“感動”を必ず届けてくれると思います。

企画 / 下家 猪誠
著作 / 猪 寿

子どものいちばんの夢ってなんだろう

子どものいちばんの愛ってなんだろう

子どものいちばんの幸福ってなんだろう

それは・・・いつも手を伸ばすと・・・

真実の優しさや温もりがすぐ届くところにある

心のやすらぐ生活の場所があることかもしれない


(一)

りとるさんたは、遥か空の上にあるおとぎの国、ホワイトランドに住んでいます。

その姿は、小さなサンタクロースの身形をしています。

毎年、クリスマスの時期になるとやって来て、世界中の純粋な心を持った子どもたちの、夢や願いごとを叶えてくれます。

でも、りとるさんたの姿は、決して大人たちには見えません。

それは、りとるさんたが、子どもたちの純粋な心のエナジー(エネルギー)で創られた、幻想の国の妖精だからです。


ウーウーウー ウーウーウー・・・・・


今年も、りとるさんたの集まりを知らせるハート型のサイレンの音が、ホワイトランドの国中に鳴り響きました。

さあいよいよ、りとるさんたの出動の季節がやって来ました。

サイレンの音が鳴った瞬間、まるでこの時期を待ちかまえていたかのように、今年もホワイトランドのあっちこっちから、りとるさんたの任命を受けた何百人、いや何千人もの妖精たちが、子どもの夢の製造工場があるメルヘンシティー(ホワイトランドの中心都市)に続々と集まって来ました。

その目的は、世界中の子どもたちの家に、クリスマスのプレゼントを届けるためにやって来たのです。

りとるさんたは、大人になっても人間の赤ちゃんほどの大きさしかありません。

子どものときはその半分ほどの大きさです。

普段のりとるさんたは、人間の子どもたちと同じように、ホワイトランドの町の小学校や塾などに通っている、普通の男の子や女の子たちです。

今回、海辺の町ショコラビーチからやって来たチッチも、普段は小学校に通う男の子です。

ただ、りとるさんたは人間とは違って妖精ですので、そのぶん空の上を縦横無尽に飛びまわったり、人間の子どもや動物たちとテレパシーを使って話したり、現在から過去や未来の時間の空間をの中を自由自在に移動したり、人間(大人を含む)や動物の夢の中にワープできるなどの、数多くの特技(超能力)を持っています。

ただし、子ども以外に現実や夢の世界などで、大人に自分の姿を見られたり大人と話したりすると、極端に体のエナジーが消滅してナメクジのように干からびていき、最後には生命の危険に晒されてしまうという弱点があります。

さっそく、チッチは夢の製造工場に着くと、お気に入りの黄色いサンタクロースの衣装に着替えて、りとるさんたに早変わりです。

ちなみにチッチは、りとるさんたに任命されるのは今回が初めてで、この役目をすごく楽しみにしている反面、心の中はとてもドキドキして緊張していました。


―ドーン!ドーン!ドーン! シュルシュルシュル パーンパーンパーン・・・―


「メリークリスマス!」

「メリークリスマス!」

メルヘンシティーの夜空に、何万発もの色鮮やかな花火が次々に打ちあがり、町中のあっちこっちで大勢の見物客が賑わう中、ひときわあでやかなクリスマスを祝うパレードが始まりました。

さあ、いよいよ待ちに待った、りとるさんたの出発の時です。


りとるさんたに変身したチッチは、子どもたちの夢や願いごとがいっぱい詰まった、大きなプレゼント用の袋を赤鼻のトナカイの橇に乗せると、ほかのりとるさんたの仲間たちと一緒に、元気よく満天の星の中に飛び立って行きました。


(二)

チッチが最初に向かったのは、あるダウンタウンのパン工場の近くにある、ハルという名前の女の子の家です。

ハルはおばあさんの手伝いをしながら、チッチと同じようにこの町の小学校に通う、とてもがんばり屋で心のやさしい女の子です。

ただ彼女には両親がいません。

彼女が五歳の時、交通事故で亡くなりました。

両親を交通事故で亡くして以来、ずっとおばあさんと二人で暮らしています。

まだ幼かったとはいえ、両親ふたりを一緒に失くしたことは、ハルにとっては大きなショックでした。

そのせいで、ハルはそのことを知ると、しだいにすべての物事から遠ざかり、みんなに心を閉ざすようになりました。

そして、いつも近所の子どもたちに誘われても、一緒に学校に行ったり遊んだりするのを嫌がり、いつしか独りで部屋にひきこもることが多くなりました。

そんなハルの心の痛みや悲しみを取り除いてくれたのが、おばあさんのいつでも変わらないやさしい笑顔と、温かい愛情でした。

今では、おばあさんはハルにとって、パパでもありママでもある両親のような存在です。
彼女が良いことをすると、自分のことのように喜んで褒めてくれ、彼女が悪いことをすると、大粒の泪を流して本気で怒ってくれます。


ハルは、そんなおばあさんが大好きで、今では自分の一番大切な宝物のように思っています。


チョコみなさん、次回のりとるさんた世界でいちばんの贈り物~は、エミリーちゃんの願いごと(ペルシャ猫の子猫を飼いたい)を叶えてあげるための、クリスマスイブまであと1日と迫った時間の中で、チッチは“りとるさんた”が持っているどんな超能力を使って、彼女に世界でいちばんのクリスマスプレゼントを贈るとおもいますか?アッ!と驚くような予想もしないストリー展開に、みなさん自身もこれまで一度も体験したことがない超ファンタヂックの世界を、今年のクリスマスはこの作品で初めて童心に返って体感することができ、その幸せな気分を思う存分に楽しめることになると思いますので、ぜひご覧になってくださいね。






Super Santa Claus シンデレラ / 蛍 最終回

2011-12-18 21:28:02 | 人・愛・夢・運命・教育・家族・社会・希望

クリスマスツリーSuper SantaClaus シンデレラ』 ~~も、今回でいよいよ最終回です。天の国に旅立つ、ララちゃんのためにシンデレラが最後に用意した、宇宙規模で催しされる“世界で一番のクリスマス・プレゼント”の中身が何であるのか?を、きっとあなたもララちゃんと同じようにその中身の内容を知ると、今までに体験したことがない人間の世界を超越した“愛と感動”に出会えると思います。ぜひ、シンデレラがララちゃんに贈ったその“愛と感動”の中身が何なのか?を、直にあなた自身のその目で確かめてみてください。

12_5 
企画 / 下家 猪誠
最終回
 世界で一番のクリスマス・プレゼント
 

★前回までのあらすじ

「ねえ見て、パパママ。雪よ。」
「そうね、ララ。いつもララがおりこうな親孝行の子供だから、今日のクリスマスのお祝いのために、きっと神様がプレゼントしてくれた雪かもしれないわね・・・」
三人が、犯人の車の運転手を突き止めその後を追いかけると、犯人はララちゃんをひき逃げした直後にもかかわらず、家に帰るとのうのうと家族みんなでクリスマスパーティーを開き、楽しんでいました。
「ララちゃんをひき逃げして、のうのうクリスマスパーティーを楽しんでいるなんて、絶対に許せない・・・」
「まったく、同感だ・・・」
ひとつ目のララちゃんの願い事であった、彼女をひき逃げした犯人を捕まえたいという願い事は、シンデレラとルドルフおじさんの活躍によって、無事に解決しました。
風の噂には聞いていましたが、ほ、本当にSuper Santa Clausっていたのですね・・・」
「普段は、普通の女子高校生ですけどね・・・」
「こ、こら、シンデレラよけいなことを言うでない・・・」
「いやいや、いいですよ、ルドルフさんそんなにお気を使わなくて・・・」
「噂でしか聞いたことがない方々に、こうして夢じゃなく実際にお目にかかれて、とても光栄に思っていますから・・・」
そしてまた、ララちゃんのふたつ目の願い事であった、かつてのように彼女の住んでいる村の川や沼に、再び蛍やめだかが住めるようにしたいという願い事も、ザビエル神父の協力を得て、何とか無事に解決することが出来ました。

ララちゃんが、天の国行きの汽車に乗らずに人間界に留まっていた理由の、彼女を引き逃げした犯人を捕まえることと、彼女が住んでいた村の川と沼にかつてのように蛍とめだかが住めるようにすることの、ふたつの問題を解決してあげたシンデレラとルドルフおじさんは、彼女を人間界に残し呪縛霊にしないための、最後のSuper Santa Clausとしての使命である、彼女を天の国行きの汽車に乗せてあげるために、大急ぎで天の国行きの汽車の乗り場があるカラスの森の駅に向かいました。
やはり、最初ララちゃんはシンデレラやルドルフおじさんと別れて、一人で天の国行きの汽車の乗るのを嫌がってすねていましたが、最後はシンデレラの説得に応じて、汽車に乗ることを快く承諾してくれました。

―プォーォー、プォーォー、プォーォー・・・・・―

三人が天の国行きの駅に到着すると、もう出発の汽笛がホーム中に鳴り響いていました。
「シンデレラ、ララと最後に約束してくれる・・・」
「なにを?」
「今度、またララが人間に生まれ変わって戻って来たら、これまでと同じように友達なってくれる?」
「もちろんよ・・・」
「じゃ、指きりしてね・・・」
ララちゃんは、まだ紅葉のような小さな手を出し、その小指でシンデレラと指きりしました。
「♪指きりげんまん嘘ついたら針千本のーます・・・」
ララちゃんは、シンデレラと指きりすると安心したのか、エンジン音を響かせて出発の準備をしている汽車の乗車口の方角に向かって、満面な笑みで手を振りながら駆けて行きました。

―シュッ、シュッ、シュッ、シュッ・・・・・―

―ゴットンガットン、ゴットンガットン、ゴットンガットン、ゴットンガットン・・・・・―

やがて、ララちゃんを乗せた天の国行きの汽車はしだいに加速をつけて走り出すと、“グゥオー、グゥオー”というものすごいエンジン音を響かせながら、青い澄み渡った冬の夜空に向かって飛び立ちました。
汽車が夜空に飛び立ったとたん、驚くようなことが起こりました。
それは、どこからともなく何十万匹いや何百万匹はいると思われる蛍の群れが、汽車の周りに飛んで来て
「ララちゃん、Merry X’mas」という文字を、蛍の光のイルミネーションで夜空いっぱいに描いたからです。
さすがにこれにはララちゃんも、当初は何がなんだか分からずに驚いていましたが、シンデレラの拳を握り親指を立てるgooサインを見て、ようやくその意味を理解し感激でいっぱいになりました。
そしてその瞬間、ララちゃんの瞳の中は嬉しさの涙でいっぱいになっていました。
「ありがとう・・・シンデレラ・・・」
これは、シンデレラが、ララちゃんために贈った最後のクリスマスプレゼントだったのです。


そして、ララちゃんを乗せた天の国行きの汽車は、数百万匹の蛍の作ったトンネルを潜り抜けながら、冬の星座の中に混じり小さな点になって消えて行きました。