只今公開中の、~青春うたものがたり2~『幸せという名の不幸』は、あなたにとって、母と子の絆とは何なのか?あなたにとって、家族の存在とは何か?その人間(ひと)としての答えを一緒になって考えさせてくれる、“人間の生”というものが作り出す幸と不幸のヒューマニズムに溢れた作品です。また同時に、人の運命って一度狂ってしまうとこんなにもさまざまな束縛や、抑圧による非人間的状態に晒されてしまうのか?と思わなくならざるを得ないような、その人が持つ宿命の陽と陰とを関係を一人の女性の人生を通じて見せてくれる涙と感動の作品でもあります。
企画 / 下家 猪誠 作 / 猪 寿
第6話/初めての独り旅
~もしかして、現実の出来事からの逃避?~
<こんな寂しい夜だから>
Sentiment travel 気まぐれな秋風に 背中を押されるように
行き先も決めずに 片道切符を買って汽車に乗る
荷物といえば ふたりの五年の思い出を詰めるのには ちょっと小さすぎるけど
Happy travel 初めてふたりが旅行する時に買った
紺の揃いのスーツケースが一個だけ 淋しすぎよね
住み慣れた都会(まち)を汽車が離れ ひと駅ひと駅と通り過ぎて行く度に
愛を刻んだあなたとの またひとつ思い出が遠ざかっていく
「真実(ほんとう)の愛に 気づく時間(とき)もないまま・・・」
お互いに傷つけ合うほど ah別にたいしたケンカをしたわけでもないのに
別れ話が切り出されて ah心の鍵を掛けあった二人
Traveling alone I am very lonely
ああひとり旅は初めてじゃないのに 頬を涙が濡らすのはやっぱりあなたが隣にいないせいですかね?
逢澤絹代
写真は、お子さんの萩くんとぶどう狩りを楽しむ絹ちゃんです。
◎人物紹介コメント
お母さんって、やっぱり子供にとっては世界一の宝もの!
今日みなさんにご紹介する人物は、この見出しのタイトルのように本当にお母さんの役目と看護師の仕事を見事に両立してこなしながら、3人のお子さんを育てている絹ちゃんこと逢澤絹代さんです。絹ちゃんは、僕と大の仲良しの僕が大好きな友達の中の一人ですが、普段は本当に温かくて子供思いの優しいお母さんです。本当は、母親としての役目と看護師としての仕事の両方をやりながら子供を育てるということは、とても辛いことも多いと思いますが、絹ちゃんと子供たちが写っている本当に自然で、心底から母と子の愛が育まれている写真を見ていると、そんなことなど微塵も感じられませんね。それは、絹ちゃんそれだけ努力しているからでしょうね。「子供は、親の背中を見て育つ。」とよく言いますが、こんな素晴らしいお母さんの背中を見て育っている子供たちは、きっとお母さんのことをとても大事にしてくれる、誰よりも親子愛を大切にする大人になるのではないかと思います。
◎プロフィール
出身校: 加世田女子高等学校専攻科
居住地: 大阪府大阪市既婚
血液型: A型
出身地: 鹿児島県鹿児島市
誕生日: 1969年12月7日
ウェブサイト
http://ameblo.jp/aisurukodomotati/
http://ameblo.jp/tattitodai55
https://www.facebook.com/iine.happylife
メールアドレス
kinuyo.aizawa@facebook.com
rensyuu1177@yahoo.co.jp
za53287@yf7.so-net.ne.jp
翌朝、ありさは電車の混雑時刻を避けるために、早々と午前六時頃に方南町のアパートを出ると、東京メトロ(地下鉄)の丸の内線の電車に乗って東京駅に向かった。
そのお陰で、新宿駅あたりから多少乗車客は増えたものの、それでもわりと空いている席が多かったために、ゆったりと座って東京駅まで行けた。
ただ、さすがに東京駅に着くと、日本の中心都市の最大の駅だけあって、もう駅関係者を始めにいろんな職業の人たちが、それぞれの仕事の準備で忙しそうに駅の構内を動き回っていた。
まだ、どこへ行くとも決めていない気ままな独り旅だっただけに、そう急いで乗車の切符を買う必要もないだろうと思って、ありさはいったん東京駅の八重洲口方面にある地下街に向かい、のんびりと朝食を採ることにした。
たまたま地下街に行くと、ちょうど階段を下りて右側の少し歩いたところに、“ゆきうさぎ”というまるで童話の世界にでも出てきそうな名前のこぢんまりとした、雪景色の風景画を飾ったコーヒーショップがあったので、そこでコーヒーとサンドイッチがセットになった、モーニングサービスを注文して朝食を採ることにした。
ゆったりと朝食を採った後、新幹線の乗り場に行くともう時刻が八時を回っていたこともあり、いつも目にする人混みでごった返す、本来の東京駅の姿に戻っていた。
ありさは、しばらく新幹線の切符売り場に行くと、ひかりにするかのぞみにするか迷ったが、結局誰も待つ人がいない急ぎ旅でもないので、のぞみ乗ってのんびりと旅を楽しむことにした。
ふいに、切符買う際「どこまでですか?」と切符売り場の窓口係員に尋ねられたので、まだまったくどこへ行くとも決めていなかったために、かつて翔太と本気で交際し始めた学生時代に二人で旅行したことがある、思わず彼の実家がある「名古屋」と答えてしまった。
久しぶり乗る新幹線は、乗務員や売り子の制服姿を含め何もかにもが新しく模様替えされていて、自分がそれだけ長い年月に渡って、誰とも旅行をしていないことをひどく痛感した。
――プルプルプル・・・・・ブー・・・――
――タ、タ、タァタ、タン――
「今日も新幹線をご利用いただきまして、ありがとうございます。この電車はのぞみ号博多行きです・・・」
やがて、発車を告げるベルの音がホーム中に鳴り響いてドアが閉まり、車内に録音テープの案内アナウンスが流れ出すと、新幹線は徐々にスピードを上げながらホームを離れて、最終目的地の博多駅に向かって走り出した。
やはり、いくら気まま一人旅といっても、久しぶりの独り旅は以外にありさの心の、寂しさを募らせた。
きっと、そのせいだろう。
新幹線が、見慣れた駅をひと駅ひと駅通り過ぎていく度に、何か自分が現実の出来事から逃れて、別な世界に向かっているような気分になり、その街の風景を見ているうちに突然急に悲しくなって、泣きたいわけでもないのに自然に涙が溢れ出して来た。