おとぎのお家と青い鳥

本ブログでは、主に人間が本来持つべき愛や優しさ、温もり、友情、勇気などをエンターテイメントの世界を通じて訴えていきます。

Super Santa Claus シンデレラ / 蛍6

2011-12-18 21:20:30 | 人・愛・夢・運命・教育・家族・社会・希望

クリスマスツリー只今、当ブログではクリスマス特別作品として『Super SantaClaus シンデレラ』の連載を開始しています。本作品は、地球を飛び出し宇宙規模でシンデレラと七人の小人たちが、それぞれが持つ超能力を発揮しながら、現実に起こる問題を痛快・愉快に解決していく、超スペクタクルロマンの作品です。そしてさらに、アニメや童話のようにファンタジックに飛んだ世界の中で、人間愛や家族愛、友情、優しさ、エンターテイメント性などを通じて、多くの“愛と感動”を読者のみなさんに届ける作品です。どうぞ、当ブログでシンデレラとその仲間の七人の小人たちが繰り広げる、“愛と感動の大冒険”の物語を心行くまで楽しんでください。


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企画 / 下家 猪誠
第6話
 
蛍やめだかが村に戻ってくる

★前回までのあらすじ

シンデレラとルドルフおじさん、ララちゃんの三人は、情報収集のためにアップルタウン警察に立ち寄った後、犯人の手掛かりを捜すために、ルドルフおじさんの超能力のひとつである、時空の中を自由に行き来が出来るタイムトンネル(四次元空間)使って、ララちゃんがひき逃げにあった事故現場に向かいました。
三人が、ララちゃんがひき逃げ事故に遭う直前の事故現場に着くと、そこにはこの直後にララちゃんがひき逃げ事故に遭い、まさか亡くなることなど予想もしていない、彼女の一家の幸せそうな姿がありました。
「わーい、雪だ。雪だ。」
「ねえ見て、パパママ。雪よ。」
「そうね、ララ。いつもララがおりこうな親孝行の子供だから、今日のクリスマスのお祝いのために、きっと神様がプレゼントしてくれた雪かもしれないわね・・・」
三人が、犯人の車の運転手を突き止めその後を追いかけると、犯人はララちゃんをひき逃げした直後にもかかわらず、家に帰るとのうのうと家族みんなでクリスマスパーティーを開き、楽しんでいました。
「ララちゃんをひき逃げして、のうのうクリスマスパーティーを楽しんでいるなんて、絶対に許せない・・・」
「まったく、同感だ・・・」
その姿を見て怒ったシンデレラとルドルフおじさんは、犯人がララちゃんをひき逃げした証拠品を集め終わると、絶対に犯人が逃走できないようにするために、その最後の仕上げとしてルドルフおじさんの超能力武器“真心ビーム”を使って、犯人に罪の意識を反省させることにしました。
―“真心ビーム”とは、人の悪い心を取り除き正直な心に変える、いわば人の気持ちを童心に返すような武器である。―
その甲斐があり、翌日ララちゃんをひき逃げした犯人は、自分から警察に自首をしました。


あと残ったのは、ララちゃんの最後の願い事である、蛍やめだかを彼女が住んでいる村の川や沼で、もう一度見られるようにすることです。
三人は、その相談をするために神父さんにするために、ララちゃんたちが住んでいる村近くの町の丘の上にある教会に向かいました。
三人が教会に行くと、ザビエル神父が快く出迎えてくれました。
ただ、さすがに当初はザビエル神父も、シンデレラとルドルフおじさんの姿を見た時は、言葉に詰まって一瞬たじろぐほど驚いていました。
「か、風の噂には聞いていましたが、ほ、本当にSuper Santa Clausっていたのですね・・・」
「普段は、普通の女子高校生ですけどね・・・」
「こ、こら、シンデレラよけいなことを言うでない・・・」
「いやいや、いいですよ、ルドルフさんそんなにお気を使わなくて・・・」
「噂でしか聞いたことがない方々に、こうして夢じゃなく実際にお目にかかれて、とても光栄に思っていますから・・・」
会えるなんて、大光栄ですから・・・」
―いくらシンデレラが全天界の神王ゼウスの使者と言っても、ルドルフおじさんを心配させるほどおしゃべりが過ぎるのは、やはり十七歳の女子高校生である。―
「実は神父さん、今日お邪魔したのは・・・」
ドルフおじさんが、ララちゃんの願いことの事情を詳しく説明し、きちんと彼女をみんなと一緒に天の国行きの汽車に乗せてあげたいことを伝えると、休日のたびに教会にミサに通っていたララちゃんのことを良く知っていた、ザビエル神父はその手伝いをすることを快く引き受けてくれました。
「それに、神王ゼウス様の使者みなさんに、こうしてわざわざお越しいただいたのに、神に使える身としそれをお断りするわけにはいけませんからね・・・」
翌日から、さっそくザビエル神父は近隣の町や村を訪ねて集会を開き、ララちゃんの住んでいた村の川や沼で、再び蛍やめだかが見られるように協力もらうように、集会に出席した住民に呼びかけてくれた。
その甲斐があり、だんだんとララちゃんの住んでいた村の近隣の町や村で、これまでリゾート開発の名の下に必要以上に森林伐採を行っていた企業や、彼女の村に建てられたホテルが商売を優先して身勝手に捨てる生ゴミや洗剤、油などのせいで、川や沼の水質が汚染されて蛍やめだかが住めなくなったことに対する大規模な反対運動が起り始めたために、むやみに商売のためだけに身勝手な行動をしていた企業やホテルも、必要以上に森林伐採を行ったり水質汚染の原因になる生ゴミなどを川や沼に捨てたりすることを、自ら自粛しその改善に取り組まざるようになることを余儀なくされました。


ララちゃんが、そのことを自分の目で確かめて、天の国行きの汽車に乗ることを決めたのは、それから三日後のことでした。
ちょうどその時、ララちゃんの願いが叶ったのを祝福でもするかのように、町の丘の上にある教会ではクリスマスを祝うための、祝賀の鐘が鳴り響いていました。



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Super Santa Claus シンデレラ / 蛍5

2011-12-18 21:20:13 | 人・愛・夢・運命・教育・家族・社会・希望


クリスマスツリー只今、当ブログではクリスマス特別作品として『Super SantaClaus シンデレラ』の連載を開始しています。本作品は、地球を飛び出し宇宙規模でシンデレラと七人の小人たちが、それぞれが持つ超能力を発揮しながら、現実に起こる問題を痛快・愉快に解決していく、超スペクタクルロマンの作品です。そしてさらに、アニメや童話のようにファンタジックに飛んだ世界の中で、人間愛や家族愛、友情、優しさ、エンターテイメント性などを通じて、多くの“愛と感動”を読者のみなさんに届ける作品です。どうぞ、当ブログでシンデレラとその仲間の七人の小人たちが繰り広げる、“愛と感動の大冒険”の物語を心行くまで楽しんでください。


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企画 / 下家 猪誠
第5話
 
ドルフおじさん大活躍

★前回までのあらすじ

シンデレラとドルフおじさんとは、ララちゃんのことが気になり彼女が搬送されていった病院に、彼女の様子を見に行きました。
二人は病院に着いたとたん、偶然テレビニュース見て驚きました。
それは、ララちゃんを撥ねた自家用車の運転手が逃亡し、まだ犯人が捕まっていなことを知り、彼女が遭った交通事故がひき逃げ事故だということを知ったからでした。
おまけに、悲しいことにララちゃんは二人が病院に着いたときには、もう強く頭を打ったのと出血多量が原因で死亡していました。
二人は、ララちゃんに直接会って、彼女が天の国行きの汽車に乗らずに独り取り残されて、呪縛霊になって永遠に人間界を彷徨ことにならないためにも、彼女のやり残した願い事を手伝ってあげることにしました。
それは、パパやママをこれ以上悲しめないためにも、早くひき逃げ犯を捕まえることと、大型ホテルの建設による大規模な森林伐採や環境汚染のために、すべて彼女が住む村の川や沼から姿を消してしまった蛍やめだかを、もう一度かつてのように川や沼に戻してあげることでした。
早速、シンデレラとドルフおじさんとは、ララちゃんのために犯人探しを手伝うことにしました。
三人が、情報収集のためにアップルタウン警察に立ち寄った後、犯人の手掛かりを捜すために向かったのは、今日ララちゃんが交通事故にあった時間の、ひき逃げの事故現場です。「時間(とき)の渦よ出でよ!」と、ルドルフおじさんがそう大声で叫ぶと同時に、その目の前には現在と未来や過去を自由に行き来が出来る、大きな時空の渦が現れました。
そして、二人を橇に乗せてその時空の渦の中に、ルドルフおじさんが変身した赤鼻のトナカイは、時速三百キロの物凄いスピードで向かって飛びこんで行きました。
三人は、ひき逃げ事件が起きたのが今日だったこともあり、すぐにララちゃんがひき逃げにあった事故現場に到着しました。
そしてそこには、まさかこれからひき逃げ事故に遭うなんて予想もしていない、ララちゃん一家の幸せそうな姿がありました。
「わーい、雪だ。雪だ。」
「ねえ見て、パパママ。雪よ。」
「そうね、ララ。いつもララがおりこうな親孝行の子供だから、今日のクリスマスのお祝いのために、きっと神様がプレゼントしてくれた雪かもしれないわね・・・」

ララちゃんがパパとママと一緒に、横断歩道のところまでやって来た時、突然雪に足を滑らせて転んでしまいました。
その時、蛍の卵と一緒に手に持っていたブドゥー人形が、転んだ拍子に横断歩道の一、二メートル先までコロコロと転がっていきました。
「あっ、あたしのブドゥー人形が・・・」
ララちゃんはすぐに起き上がると、自分が可愛がっていつも持ち歩いているブドゥー人形を拾うために、ブドゥー人形があるその方角に向かって、夢中で駆け出して行きました。
その時でした。

―キキキー、キキキー・・・―

―ドッカーン!―

ララちゃんが、ブドゥー人形を拾うために駆けて行っている方角に向かって、その前方から青い自家用車が猛スピードで突っ込んで来て、彼女を撥ねたまま車は止まることなく、一目散に逃走して行きました。
「シンデレラ!信号の色はどうなっている?」
「青だわ、青よ!」
「と、言うことは、ララちゃんには完全に非がないということだな・・・」
「ということになるわね・・・」
「よし、これで安心して犯人を捕まえられるぞ・・・」
その後は、ララちゃんがひき逃げ事故に遭った時間と同じ、その時の様子が繰り返されていた。
「きゃーっ!」
「た、たいへんだ!ラ、ララが・・・」
「うわーっ、だ、誰か、ララを助けて!」
―子どもが車に撥ねられたぞ!救急車を呼べ!―
その瞬間、現場は騒然となり横断歩道には、ブドゥー人形を抱いたまま倒れている小さな女の子(ララちゃん)と、その子を抱きかかえて必死で助けを求めて泣いている両親(ララちゃんのパパとママ)と思われる大人の男女を囲んで、人山が出来ていました。

でも、三人はその現場に留まることなく、ひき逃げ犯の犯人の後を追いかけることにしました。
「ララちゃん、この人に間違いないわね?」
「絶対に間違いないわ。ララが見たのはこの顔だったわ・・・」
犯には見たところ、三十七、八歳の中肉中背の男で、特徴としては眉と眉の間に大きなホクロがありました。
犯人はクリスマスということもあってか、かなり酒を飲んでいるようで、相当顔色が紅潮していた。
そして犯人の車は、アップルタウンの街を通り過ぎて隣街にあるある住宅街の一軒家の前に止まり、車庫に車を入れるとララちゃんひき逃げした証拠を隠すために、念入りに車をワックスで磨いていました。
「シンデレラ、証拠写真を撮っておけよ・・・」
「分かった・・・」
ただ驚いたことには、ひき逃げの犯人にララちゃんと同じ年頃の、男と女の子の子供いたことだった。
そして、家に帰るとララちゃんをひき逃げしておきながら、何食わぬ顔をして家族みんなでクリスマスパーティーをやっていることだった。
「こういう心が腐っているような人って、絶対に許せないわね・・・」
「そうだなあ、それにはもっと証拠となるものを探さなくちゃあな・・・」
「そうね、きっと残っているはずだと思うから・・・」
再び、三人は犯人の車が止めてある車庫に戻って、車の中やその周辺をくまなく調べた。
そのかいがあって、犯人がララちゃんを撥ねた時に付いたと思われる、血痕を拭き取った布が屑籠の中から見つかりました。
「シンデレラ、よくやった。それさえあれば、もう大丈夫だろう・・・」
「だけど、ルドルフおじさん念には念を入れておかなくちゃあね・・・」
「そうなると、あれを使うしかないな・・・」
「そうね、ルドルフおじさん頼むわね・・・」
「よーし、それじゃあ一発お見舞いするか・・・」
「真心ビーム発射!」
ルドルフおじさんがそう言うと、突然胸の辺りに真っ赤なハートマークの不思議な光が現れて、その光が犯人をめがけて飛んで行きました。
そのとたん、今まで陽気に酒を飲んで家族と一緒に騒いでいた犯人が、急に大人しくなって奥さんに今日あった事故のことを、正直に話し始めました。
突然、その話を聞かされた奥さんはさすがに驚いて、クリスマスパーティーを中止して子供たちを部屋に帰すと、最初は犯人の夫に対しして散々卑下し喚き散らしていたが、とうとう最後はどうすることも出来なくて泣き崩れてしまいました。
結局、この様子を見ていてシンデレラは、交通事故は事故に遭った家族も悲惨な思いをするが、事故を起こした家族の方も悲惨な思いを強いられる現実を思い知らされました。
もちろん、シンデレラたちは自分たちが集めた犯人の証拠品をアップルタウンの警察署に届けましたが、そうするまでもなくルドルフおじさんの“真心ビーム”を浴びた犯人は、翌日自分から警察に自首しました。
ララちゃんのパパやママもそうですが、アップルタウンの警察も急に犯人がどうして自首して来たのか?まったくその理由について分かりませんでした。
もちろん、その裏でシンデレラたちが動いていたことなど、誰も知るはずはありません。

「あとララちゃんの願い事の残りは、蛍やめだかを村の川や沼に返すことね・・・」
「さて、この件についてはどうするかな・・・」
「とりあえず、協会の神父さんに相談してみましょうよ・・・」
「そうするか・・・」
三人は、ララちゃんの残りの願い事を叶えるために、犯人が自首したその日に教会の神父さんにそのことを相談するために、ララちゃんたちが住んでいる村近くの町の丘の上にある教会に向かいました。


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Super Santa Claus シンデレラ / 蛍4

2011-12-18 21:19:54 | 人・愛・夢・運命・教育・家族・社会・希望


クリスマスツリー只今、当ブログではクリスマス特別作品として『Super SantaClaus シンデレラ』の連載を開始しています。本作品は、地球を飛び出し宇宙規模でシンデレラと七人の小人たちが、それぞれが持つ超能力を発揮しながら、現実に起こる問題を痛快・愉快に解決していく、超スペクタクルロマンの作品です。そしてさらに、アニメや童話のようにファンタジックに飛んだ世界の中で、人間愛や家族愛、友情、優しさ、エンターテイメント性などを通じて、多くの“愛と感動”を読者のみなさんに届ける作品です。どうぞ、当ブログで「シンデレラ」とその仲間の「七人の小人たち」が繰り広げる、“愛と感動の大冒険”の物語を心行くまで楽しんでください。


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企画 / 下家 猪誠
第4話 時空を超えた犯人さがし

★前回までのあらすじ

―ピポ、ピポ、ピポ・・・―

―ウー、ウー、ウー・・・―

やがて、町の人の連絡を受けて、ララちゃんはやって来た救急車で病院に運ばれて行きますが、彼女がクリスマスプレゼントとして、ブドゥー人形と一緒に手に持っていたその中身を見て、シンデレラは驚きました。
それは、他の子供たちのプレゼントに比べて、その中身がちょっと風変わりな物だったからです。
なんとそのプレゼントとは、蛍の卵だったからです。
シンデレラはその訳を、その後天子になったララちゃん本人に聞き、その純真な気持ちに胸が詰まる思いがします。
「おーい、シンデレラ!ワシじゃ、ワシじゃ!」
「あっ、ルドルフおじさん、相変わらず早いわね・・・」
「そりゃあ、可愛いわがお嬢ちゃんシンデレラに呼ばれちゃあ、何を放っておいても真っ先に飛んで来なくちゃあな・・・」
シンデレラがルドルフおじさんの呼ぶ声に気が付いて、彼の声がする方角のデパートの屋上の空の上を見上げると、赤鼻のトナカイに変身したルドルフおじさんが、満面に笑みを浮かべて手を振っていました。
やがて、ジングル・ベルの鈴の音が聞こえ出し、♪ジングル・ベル ジングル・ベル・・・と聖歌隊合唱の歌が聞こえ始めると、天空から鮮やかな無数の色の光が降注いで来てシンデレラの全身を包み込み、グルグルと竜巻のように猛スピードで回転しながら彼女の躰が上空の方に向かって引っ張られて行くと、彼女はいつの間にかSuper Santa Claus「シンデレラ」に変身していた。
そして、早速シンデレラはSuper Santa Claus「シンデレラ」に変身すると、ララちゃんのことが気になり、彼女が搬送されていった病院に、ルドルフおじさんと一緒にその様子を見に行きました。
二人は病院に着いたとたん、偶然テレビニュース見て驚きました。
それは、ララちゃんを撥ねた自家用車の運転手が逃亡し、まだ犯人が捕まっていなことを知ったからです。
「犯人が逃走?」
「もしかして、ララちゃんの交通事故って、ひき逃げ事故ということ?!」
おまけに、悲しいことにララちゃんは二人が病院に着いたときには、もう強く頭を打ったのと出血多量が原因で死亡していました。
「シンデレラ、こうなったらララちゃんためにも、弔い合戦だ・・・」
「なんとしてでも、ララちゃんをひき逃げした犯人を捕まえるぞ!」
「そうね、そんな非人道的な人は、絶対に許せないわね・・・」
人間界で病気や事故などにあって死亡し霊魂になった人は、大人や子供に限らず天の国行きの汽車に乗って、人間として新たに生まれ変わるまで、新しい世界でまったく別人としてその人の過去に関係なく、暮らすことが義務付けられているにもかかわらず、何故か?まだララちゃんは天の国行きの汽車の乗り場がある駅には行かずに、病院の玄関口に立っていました。
「あっ!ルドルフおじさんちょっと待って。ララちゃんがいるわ・・・」
「えっ?あっ、ホントだ・・・」
シンデレラは、その理由を本人から直接聞くために、ララちゃんに声を掛けました。
「ララちゃん、こんばんは・・・」
「えっ!」
シンデレラとルドルフおじさんの姿を見ると、派手なサンタクロースの衣装を身に着けた女の子と、人間の言葉をしゃべるトナカイのルドルフおじさんの姿に、最初ララちゃんは目を見開いたままピクリとも動かさないほど物凄く驚いていましたが、どうやら二人がその訳を話すと、まだ不可思議さは感じているものの、何とか二人のことを理解をしてくれたようです。
「ところで、ララになんのようがあって来たの?」
「実は、ララちゃんがひき逃げ事故に遭った現場を、その時に偶然通りかかってね・・・」
「じゃ、あなたはララのことを心配して来てくれたっていうわけ・・・」
「そうだね・・・」
「それより、どうしてララちゃんは天の国行きの汽車が乗る駅には行かずに、まだ病院に残っているわけ?」
シンデレラがそう尋ねると・・・
「ララ、ちょっとやり残してことがあって・・・そのことが気になって・・・」
「やり残したこと?もしララちゃんが嫌じゃなかったら、話してもらってもいい・・・」
「そして、そのやり残したことが少しでも早く片付いて、ララちゃんがみんなと一緒に天の国行きの汽車が乗れるように、私にも手伝わせてくれない・・・」
「そうしないと、ララちゃんはみんなと一緒に天の国に行けなくなって、独りぼっちになるだけじゃなく、一生呪縛霊として人間界を彷徨ことになるからね・・・」
「そうなの?知らなかった・・・」
「そうなんだよ、ララちゃん。悪いけど、早くこの一件に決着をつけて、みんなと一緒に天の国行きの汽車が乗るようにしないとね・・・」
「だったら、お願い、ララそうなりたくないからなんとかして・・・」
「わかった・・・」
「あっ、そうか!シンデレラって色んな超能力を持っていて、子供たちの夢や願い事を叶えてくれるSuper Santa Clausなんだものね・・・」
「ゴホン、ゴホン。ワシもその一人なんだがなあ・・・」
「ひとつめのやり残した問題のことなんだけどね、私ひき逃げした犯人の顔を見たの・・・」
「え、えっ!」
「そ、それって本当!」
ララちゃんの、いきなりの予想もしていなかった話の内容に、さすがにシンデレラもルドルフおじさんも驚いた。
「きっと一瞬だったと思うけど、わりと車に撥ねられる瞬間は何故か?時間がゆっくりと回っているような感じがしたから、ハッキリと犯人の顔が見えたの・・・」
「そう、それは事件解決のための、すごく重要な証拠になるわね・・・」
「こんなに早く死んじゃって、パパやママを悲しませたでしょう。だから、このままじゃパパとママが可哀相だから、早く犯人を捕まえて二人を安心させてあげたいの・・・」
「うん、分かった。必ずララちゃんのパパやママを安心させてあげるためにも、シンデレラとこのルドルフおじさんが犯人を見つけ出してあげるからね・・・」
ルドルフおじさんがララちゃんに向かってそう言った。
「それより、もうひとつの相談ごとって?」
シンデレラがそう尋ねると、まだ五歳にも満たない子供の口から、シンデレラ自身も思わず胸を打たれ泣き出しそうになる答えが返って来た。
「村の川に蛍を戻してあげたいの・・・」
「蛍?」
「うん、蛍よ・・・」
ララちゃんの話しによると、彼女の家があるメロン村の川や沼には、数年前までたくさんの蛍やメダカたちが生息し、村の子どもたちの課外授業の科目のひとつにもなっていたそうです。
ところが、メロン村に巨大ホテルが建設されたのを機に、大規模な森林伐採や環境汚染が急速に進み、村の川や沼からホテルが建設されてしばらくしたある日をきっかけに、すべての蛍やメダカたちの姿が消えてしまい、一匹も見られなくなったそうです。
その原因は、大規模な森林伐採もそうですが、ホテルが捨てる生ゴミや洗剤、油などで川や沼の水質が汚染されてしまい、蛍やメダカたちが住めなくなってすべて死んでしまったのが原因で、ララちゃんはなんとかしても一度蛍やメダカたちをメロン村の川や沼で見られるようにしたかったのだそうです。
この話しを聞き、シンデレラはララちゃんがクリスマスのプレゼントに、どうして蛍の卵を買って貰っていたのかの答えが、ようやく分かりました。


「じゃあララちゃん、さっそく犯人探しをしなくちゃね・・・」
「犯人を探すって、どうやって見つけるの?」
「まずは、何か手がかりになる物が見つけなくちゃいけないから、アップルタウンの警察に行って見ることにしようね・・・」
「うん。わかった・・・」
三人は、ララちゃんのひき逃げ事故の捜査本部がある、アップルタウン警察に向かいました。
捜査本部に入ると、数人の刑事が集まってララちゃんのひき逃げ事故に関する、お互いに集めた犯人に関する情報のチェックをしながら、その内容についての話し合いをしていました。
どうやら、犯人を特定する情報は入手できなかったものの、現場に残されたタイヤ痕の鑑定から車種の割り出しは出来ていました。
「車は×○△か。車種が分かっただけでも参考になるからな・・・」
「あたし、車の種類のことは分からないけど、その車を探せば犯人を見つけられる可能性が高いってことね・・・」
「そうことになるわね・・・」
「じゃあ、すぐに犯人探しに行こうよ、シンデレラ・・・」
「ち、ちょっと待ってララちゃん・・・」
「その前に、今度は私とひとつ約束して欲しいことがあるの・・・」
「なあに?」
「もし、この事件が解決したら、天の国行きの汽車に乗ることを、必ず約束してくれる・・・」
「・・・・・」
ララちゃんはシンデレラの言葉を聞いた瞬間、ちょっと寂しそうな表情を浮かべ何か不満そうでしたが、シンデレラが「大丈夫よ。そんなに心配しないで。きっと、パパやママにだってララちゃんが、きちんと天の国に行けることを一番に願っていると思うから・・・」と言って笑いながらハンドシグナル(親指を立てる)を送ると、すぐに明るさを取り戻し元気よく返事をしてくれました。
「うん。分かった。」
そして、その表情にはさっきまでのような寂しさや不満は、まったく感じられませんでした。


「それじゃあ、シンデレラお嬢さんこの後どうするかね?」
「ルドルフおじさん、ララちゃんがひき逃げ犯人の顔を見ている以上、きっとその現場に行くと犯人の特定が出来ると思うの・・・」
「と、言うことは、今日ララちゃんがひき逃げにあった時間にタイムスリップして、その犯人の顔を再確認して貰うことが、一番の早道ってことか・・・」
「ピンポーン。大当たり・・・」


―今どきの女子高校生にしては、シンデレラが古いジョークを言うのは、やはりルドルフおじさんたち年を取ったおじさんたちと、幼児期から暮らしているせいだろうか?―


そして、ルドルフおじさんが変身した赤鼻のトナカイは、二人を橇に乗せると大急ぎでララちゃんが交通事故にあった時間の、ひき逃げの事故現場にタイムスリップすることにしました。
「時間(とき)の渦よ出でよ!」と、ルドルフおじさんが大声で叫ぶと同時に、その目の前には現在と未来や過去を自由に行き来が出来る、大きな時空の渦が現れた。
さすがに、それを見た瞬間のララちゃんは、自分が童話やアニメの世界にでも迷い込み、夢でも見ているのではないかと思うほど驚きました。
そして二人を橇に乗せた、ルドルフおじさんが変身した赤鼻のトナカイは、時速三百キロの物凄いスピードで、その時空の渦の中に向かって飛びこんで行きました。
時空の渦の中は、飛び込んだ瞬間に多少の風圧や揺れはあったものの、その後の移動中は風圧や揺れを、ララちゃんが思っていたほど感じることはありませんでした。


ララちゃんが、ひき逃げにあった事故現場に到着すると、これから自分が車に撥ねられ死ぬことも知らずに、無邪気に両親の前をその事故現場に向かって走って行く、彼女の姿がありました。
「わーい、雪だ。雪だ。」
「ねえ見て、パパママ。雪よ。」
「そうね、ララ。いつもララがおりこうな親孝行の子供だから、今日のクリスマスのお祝いのために、きっと神様がプレゼントしてくれた雪かもしれないわね・・・」

 







Super SantaClaus シンデレラ / 蛍2

2011-12-18 21:19:16 | 人・愛・夢・運命・教育・家族・社会・希望

クリスマスツリー只今、当ブログではクリスマス特別作品として『Super SantaClaus シンデレラ』の連載を開始しています。本作品は、地球を飛び出し宇宙規模でシンデレラと七人の小人たちが、それぞれが持つ超能力を発揮しながら、現実に起こる問題を痛快・愉快に解決していく、超スペクタクルロマンの作品です。そしてさらに、アニメや童話のようにファンタジックに飛んだ世界の中で、人間愛や家族愛、友情、優しさ、エンターテイメント性などを通じて、多くの“愛と感動”を読者のみなさんに届ける作品です。どうぞ、当ブログで「シンデレラ」とその仲間の「七人の小人たち」が繰り広げる、“愛と感動の大冒険”の物語を心行くまで楽しんでください。


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企画 / 下家 猪誠
第2話 ルドルフおじさんの怒り

★前回までのあらすじ

おとぎの家の「シンデレラ」は、ちょっと童話の世界の「シンデレラ」とは、そのストーリーもですが、登場キャラの設定も違います。

やさしい、お母さんが死んでしまっていないというのは同じですが、その後釜として意地悪な義理のお母さんが、わがままな娘三人とやって来て、シンデレラに家中の掃除をさせたり、お父さんの死をきっかけに屋根裏部屋に住まわされたりして、いじめ受ける話などはまったくありません。

それは、シンデレラが意地悪な義理のお母さんではなく、彼女のお守り役の七人の小人に育てられた上に、実は彼女の実際の正体が、全宇宙の神王であり彼女の祖父でもあるキングゼウスに、地球の子供たちの夢や願いごとなどの問題を解決してあげるようにと天の国から送られて来た、今流行の超がつくスーパー高校生にさらに超が十個以上も付く、超超超・・・のスーパー女子高校生『Super santaClaus』だからです。

―♪Sha la la la・・・・・―

―事件の依頼あり。すぐ帰れ。ルドルフ< m(__)m>―

彼女のお守り役として、全宇宙の神王でありシンデレラの祖父でもあるキングゼウスに一緒に地球に行くように命じられた、七人の小人のリーダーであるルドルフおじさんから、突然事件の依頼があったことの連絡を受け、学校の授業を抜け出して大急ぎで帰宅途中の、クリスマスの祭事で賑わうアップルタウンの町中で、ララという一人の女の子が車に撥ねられ血まみれになって倒れている事件に遭遇する。

―キッキッキッー、キッキッキッー・・・―

―ドッカーン!―

「きゃーっ!」

「た、たいへんだ!ラ、ララが・・・」

「うわーっ、だ、誰か、ララを助けて!」

―子どもが車に撥ねられたぞ!救急車を呼べ!―

すぐに、シンデレラは鞄の中から携帯電話を取り出すと、ルドルフおじさんと連絡を取った。

「ルドルフおじさん、今帰る途中だったんだけど、大変なことが起きちゃっているの・・・」

「どうしたんだ?シンデレラ」

「ララという、五、六歳の女の子が車に撥ねられて、アップルタウンの横断歩道のところで血まみれになって倒れているの・・・」

「なんじゃと!」

「だから、悪いけどこのまま放っておくわけにはいかないから、さっきの事件のことはダッシャーおじさんたちに任せて、すぐこっちに来てくれない・・・」

「わ、わかった・・・」

―ピポ、ピポ、ピポ・・・―

―ウー、ウー、ウー・・・―

やがて、町の人の連絡を受けて、救急車とパトカーがやって来ました。

シンデレラは、ララちゃんのことがとても気になったので、ルドルフおじさんが到着するまで、もう一度人山の中を覗いてみることにしました。

やっぱり、さっきと同じように横断歩道に血まみれになって、ララちゃんが倒れていました。

ララちゃんは、町の教会の丘近くの農園の家の子で、この日はお父さんとお母さんに頼んで町にクリスマスプレゼントを買いに来ていて、どうやら事故にあったようです。

シンデレラは、ララちゃんがブドゥー人形と一緒に手に持っていた、クリスマスプレゼントの中身を見て驚きました。

それが、ほかの子供たちのプレゼントに比べて、ちょっと風変わりな物だったからです。

なんとそのプレゼントとは、蛍の卵だったからです。

なんで、ララちゃんがお父さんやお母さんに頼んで、蛍の卵をクリスマスプレゼントとして買ってもらったのか?その理由を、その後シンデレラはララちゃん本人に聞かされて、その純粋な気持ちに胸が詰まる思いがします。


「おーい、シンデレラ!ワシじゃワシじゃ!」

「あっ、ルドルフおじさん、相変わらず早いわね・・・」

「そりゃあ、可愛いわがお嬢ちゃんシンデレラに呼ばれちゃあ、何を放っておいても真っ先に飛んで来なくちゃあな・・・」

「おじさん、そんなこと言いながら、実際に飛んで来ているじゃない・・・」

「あっ、そうか。ワッハッハッハハ・・・」

ルドルフおじさんの声の方角がする、町のデパートの屋上の空の上を見ると、なんとそこにはトナカイに変身して橇を引く、ルドルフおじさんの姿があった。

――あっ、そうそう、ここでちゃんと説明しておかなくちゃあね。シンデレラも不思議な長州小力?!否、超能力を持った“Super Santa Claus”だが、彼女のお守り役の七人の小人たちも、それぞれ七人とも不思議な超能力を持っている“Super小人”なのである。例えば、ルドルフおじさんの場合には、トナカイに変身して時速300キロの速さで空の上を駆けることが出来たり、現在から未来や現在から過去へと自由に時間の空間の中を移動が出来たり、人の心を自由に操ることが出来たり、超ミクロの形に変身して人間や動物にの躰に入り込んだりすることが出来る。そして、シンデレラを含めて七人の小人たちが共通して出来ることは、テレパシーを使って人間の子供や動物たちと会話が出来ることである。――


やがて、ジングル・ベルの鈴の音が鳴り出し、♪ジングル・ベル ジングル・ベル・・・と聖歌隊合唱の歌が聞こえ始めると、天空から鮮やかな無数の色の光が降注いで来てシンデレラの全身を包み込み、グルグルと竜巻のように猛スピードで回転しながら彼女の躰が上空の方に向かって引っ張られて行くと、彼女はいつの間にかSuper Santa Claus「シンデレラ」に変身していた。
―Super Santa Claus「シンデレラ」に変身した、シンデレラの姿がどんな格好をしているかって?そりゃあ、画を描くのがあまりうまくないし、変な画を描いて載っけてみんなを驚かせたら悪いから、読書のみんなにそれぞれに想像してもらって、自分のイメージSuper Santa Claus「シンデレラ」を創ってもらうのが一番手っ取り早いかな・・・―

「あっ、ママ、あのデパートの屋上の空の上に、トナカイの橇に乗ったサンタクロースがいるよ・・・」

「どこ、どこ?」

「そんなもの、どこにもいないじぁないの・・・」

「ママ、見えないの?あのデパートの屋上の空の上だよ・・・」

「たまたま、デパートかなんかの宣伝で、サンタクロースを衣装を身に付けて仮想したおじさんが、屋上にいただけじゃないの・・・」

「そんなことないよ。あそこにいるじゃない・・・」

「お前、いつまでもそんなとぼけたことばかり言ってママをからかっていると、今日のクリスマスプレゼントに、お前が欲しがっていたガンダムのプラモデル買ってあげないよ・・・」

「・・・・・」

――実際には、子供が言っていたとおり、けして二人の姿は大人には見えないが、純粋な心を持った子供たちの目には見えるのである。――

Super Santa Claus「シンデレラ」に変身したシンデレラは、ルドルフおじさんと一緒にララちゃんの容態が気になり、彼女が救急車で搬送された病院にその様子を見に行きました。

ところが、悲しいことにララちゃんはふたりが病院に行ってみると、もう強く頭を打ったのと出血多量が原因で死亡し、地下の遺体安置室に移されて霊柩車が呼ぶ準備の最中でした。

ララちゃんの両親は、その悲しみのあまりに何度となく彼女の名前を呼んだりして、何かを一生懸命に話しかけていましたが、彼女が両親の呼びかけに二度と反応することは、まったくありませんでした。

おまけに、ララちゃんを撥ねて死亡させた乗用車そのまま逃走し、まだ犯人は捕まっていませんでした。

「な、何、犯人が逃走?」

ルドルフおじさんは、その話を聞いて言葉が詰まるほど、怒りをあらわにしました。

「シンデレラ、こうなったらララちゃんためにも、弔い合戦だ・・・」

「なんとしてでも、ララちゃんをひき逃げした犯人を捕まえるぞ!」

「そうね、こんなまだ十歳にも満たない子供を撥ねて命を奪った上に、何の反省もせずに逃走するようなそんな非人道的な人は、絶対に許せないわね・・・」





Super Santa Claus シンデレラ / 蛍1

2011-12-18 21:19:01 | 人・愛・夢・運命・教育・家族・社会・希望

クリスマスツリー今日から、クリスマス特別作品としてスタートする『Super SantaClaus シンデレラ』は、地球を飛び出し宇宙規模でシンデレラと七人の小人たちが、それぞれが持つ超能力を発揮しながら、現実に起こる問題を痛快・愉快に解決していく、超スペクタクルロマンの作品です。そしてさらに、アニメや童話のようにファンタジックに飛んだ世界の中で、人間愛や家族愛、友情、優しさ、エンターテイメント性などを通じて、多くの“愛と感動”を読者のみなさんに届ける作品です。どうぞ、当ブログで「シンデレラ」とその仲間の「七人の小人たち」が繰り広げる、“愛と感動の大冒険”の物語を心行くまで楽しんでください。


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企画 / 下家 猪誠
第1話 Super Santa Claus シンデレラ登場

おとぎの家の「シンデレラ」は、ちょっと童話の世界の「シンデレラ」とは、そのストーリーもですが、登場キャラの設定も違います。
どうしてかって?
そりゃあ、書いている内容が一緒だったら、面白くもなんともないからです。
やしいお母さんが死んでしまって、お母さんがいないというのは同じですが、その後釜として意地悪な義理のお母さんが、わがままな娘三人とやって来て、シンデレラに家中の掃除をさせたり、お父さんの死をきっかけに屋根裏部屋に住まわせられたりしていじめ受ける話などはまったくありません。
それは、シンデレラが意地悪な義理のお母さんではなく、彼女のお守り役の七人の小人に育てられた上に、実は彼女の実際の正体は、全宇宙で一番えらい神王ゼウスに、地球の子供たちの夢や願い事、困っていることなどを解決してあげるようにと天の国から送られて来た、今流行の超がつくスーパー高校生にさらに超が十個以上も付く、超超超超超超超超超超・・・のスーパー女子高校生『Super Santa Claus』だったからです。

「おはよう、シンデレラ。」
「おはよう、美咲ちゃん。」
「今日は、ちゃんと宿題やってきた?」
「ごめん、ホラ今ちょうどクリスマス時期じゃない。家に帰ると相変わらずなんだかんだと忙しくてね・・・」
「まあ、いつものことだから仕方ないけどね・・・」
「さあ、はやく写させて貰わなくちゃね・・・」
―キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン―
「授業が始まるチャイムの音だわ・・・」
「シンデレラ、急がないと先生が来ちゃうわよ。」
―♪Sha lalala・・・・・―
「ああ、こんなときに着信音が鳴るなんて。」
―事件の依頼あり。すぐ帰れ。ルドルフm(__)m>―
「誰から?」
「ルドルフおじさんよ。」
「あのクソいや素敵な叔父様が、少しは私の立場も考えてくりゃいいのに・・・・・」
「それより、シンデレラの着信音ってカーペンターズでしょう。ちょっと古くない。」
「私、茶道なんかやって、意外と古風なところがあるからね。」
「それと、着信音とは関係ないと思うけどね・・・」
「あ、そうそう、私急用が出来ちゃってまた帰らなくちゃいけなくなったから、また美咲ちゃん悪いけど私の変わりにひな人形座らせておくから、いつものように一人で二役やっておいてね。」
―どうして、シンデレラの代役がひな人形なのか?意味不明である。―
「オイ、それじゃあ出席をとるぞ・・・」
「叶美咲。」
「はい。」
「天空(あまぞら)シンデレラ」
「は~い。」
「オイ、オイ、それってもしかしてひな人形じゃないのか?」
「ち、違います。私、天空シンデレラです。」
「ほ、本当か?」
「本当です。」
「それに、声がいつもと違うようだけど・・・・・」
「ち、ちょっと風邪を引いたみたいで・・・・・」
―そりゃあ、声は違うはずだよね。実際は美咲ちゃんが鼻を摘んでしゃべっているんだもの。―
「天空とひな人形を間違うなんて、なんだか先生目が悪くなったみたいだなあ。明日、早速医者に行ってみないといけないな・・・」
―それより変なのは、たしかシンデレラって日本人じゃなかったよね。それなのに日本名の「天空」という苗字があったなんて知らなかったなあ???―

―キキキー、キキキー・・・―

―ドッカーン!―

「きゃーっ!」
「た、たいへんだ!ラ、ララが・・・・・」
「うわーっ、だ、誰か、ララを助けて!」
―子どもが車に撥ねられたぞ!救急車を呼べ!―
「あれ、何かあったのかな?大勢人が集まっているわ・・・」
シンデレラが、クリスマスのイベントで賑わうアップルタウンの町の中を、家に向かって駆け足で帰っている時でした。
横断歩道に、ブドゥー人形を抱いたまま倒れている小さな女の子と、その子の両親と思われる大人の男女を囲んで、人山が出来ていました。



4_2ブドゥー人形発祥の地は、タイ王国の田園地帯、イサーン地方だといわれています。ブドゥー人形は、他の人形に比べて単に毛糸を巻いて作った質素なものですが、ひとつひとつが手作りですべての人形の表情が違うのが特徴だと言われ、昔からタイ王国では“願い事を叶えてくれる人形”だと、可愛がられ親しまれています。また現在、日本を始めとする多くの国々で、幸運や金運、恋愛運などを呼ぶ人形だとして人気を集めています。

※上記のブドゥー人形の画像は、()Strapya Nextのご協力で掲載させていただいています。

(株)Strapya Next URL
http://item.rakuten.co.jp/keitai/2-hapdll/ 




青春うたものがたりシリーズ2「幸せという名の不幸 」 6

2011-11-14 21:37:20 | 人・愛・夢・運命・教育・家族・社会・希望

只今公開中の、~青春うたものがたり2~『幸せという名の不幸』は、あなたにとって、母と子の絆とは何なのか?あなたにとって、家族の存在とは何か?その人間(ひと)としての答えを一緒になって考えさせてくれる、“人間の生”というものが作り出す幸と不幸のヒューマニズムに溢れた作品です。また同時に、人の運命って一度狂ってしまうとこんなにもさまざまな束縛や、抑圧による非人間的状態に晒されてしまうのか?と思わなくならざるを得ないような、その人が持つ宿命の陽と陰とを関係を一人の女性の人生を通じて見せてくれる涙と感動の作品でもあります。

1_2企画 / 下家 猪誠 / 猪 寿
第6話/初めての独り旅
~もしかして、現実の出来事からの逃避?~

<こんな寂しい夜だから>

Sentiment travel 気まぐれな秋風に 背中を押されるように

行き先も決めずに 片道切符を買って汽車に乗る

荷物といえば ふたりの五年の思い出を詰めるのには ちょっと小さすぎるけど

Happy travel 初めてふたりが旅行する時に買った

紺の揃いのスーツケースが一個だけ 淋しすぎよね

住み慣れた都会(まち)を汽車が離れ ひと駅ひと駅と通り過ぎて行く度に

愛を刻んだあなたとの またひとつ思い出が遠ざかっていく

「真実(ほんとう)の愛に 気づく時間(とき)もないまま・・・」

お互いに傷つけ合うほど ah別にたいしたケンカをしたわけでもないのに

別れ話が切り出されて ah心の鍵を掛けあった二人

Traveling alone I am very lonely

ああひとり旅は初めてじゃないのに 頬を涙が濡らすのはやっぱりあなたが隣にいないせいですかね?



       逢澤絹代

写真は、お子さんの萩くんとぶどう狩りを楽しむ絹ちゃんです。

◎人物紹介コメント

お母さんって、やっぱり子供にとっては世界一の宝もの!

今日みなさんにご紹介する人物は、この見出しのタイトルのように本当にお母さんの役目と看護師の仕事を見事に両立してこなしながら、3人のお子さんを育てている絹ちゃんこと逢澤絹代さんです。絹ちゃんは、僕と大の仲良しの僕が大好きな友達の中の一人ですが、普段は本当に温かくて子供思いの優しいお母さんです。本当は、母親としての役目と看護師としての仕事の両方をやりながら子供を育てるということは、とても辛いことも多いと思いますが、絹ちゃんと子供たちが写っている本当に自然で、心底から母と子の愛が育まれている写真を見ていると、そんなことなど微塵も感じられませんね。それは、絹ちゃんそれだけ努力しているからでしょうね。「子供は、親の背中を見て育つ。」とよく言いますが、こんな素晴らしいお母さんの背中を見て育っている子供たちは、きっとお母さんのことをとても大事にしてくれる、誰よりも親子愛を大切にする大人になるのではないかと思います。

◎プロフィール

出身校: 加世田女子高等学校専攻科
居住地: 大阪府大阪市既婚
血液型: A型
出身地: 鹿児島県鹿児島市
誕生日: 1969年12月7日

ウェブサイト
http://ameblo.jp/aisurukodomotati/
http://ameblo.jp/tattitodai55
https://www.facebook.com/iine.happylife

メールアドレス
kinuyo.aizawa@facebook.com
rensyuu1177@yahoo.co.jp
za53287@yf7.so-net.ne.jp


翌朝、ありさは電車の混雑時刻を避けるために、早々と午前六時頃に方南町のアパートを出ると、東京メトロ(地下鉄)の丸の内線の電車に乗って東京駅に向かった。

そのお陰で、新宿駅あたりから多少乗車客は増えたものの、それでもわりと空いている席が多かったために、ゆったりと座って東京駅まで行けた。

ただ、さすがに東京駅に着くと、日本の中心都市の最大の駅だけあって、もう駅関係者を始めにいろんな職業の人たちが、それぞれの仕事の準備で忙しそうに駅の構内を動き回っていた。

まだ、どこへ行くとも決めていない気ままな独り旅だっただけに、そう急いで乗車の切符を買う必要もないだろうと思って、ありさはいったん東京駅の八重洲口方面にある地下街に向かい、のんびりと朝食を採ることにした。

たまたま地下街に行くと、ちょうど階段を下りて右側の少し歩いたところに、“ゆきうさぎ”というまるで童話の世界にでも出てきそうな名前のこぢんまりとした、雪景色の風景画を飾ったコーヒーショップがあったので、そこでコーヒーとサンドイッチがセットになった、モーニングサービスを注文して朝食を採ることにした。

ゆったりと朝食を採った後、新幹線の乗り場に行くともう時刻が八時を回っていたこともあり、いつも目にする人混みでごった返す、本来の東京駅の姿に戻っていた。

ありさは、しばらく新幹線の切符売り場に行くと、ひかりにするかのぞみにするか迷ったが、結局誰も待つ人がいない急ぎ旅でもないので、のぞみ乗ってのんびりと旅を楽しむことにした。

ふいに、切符買う際「どこまでですか?」と切符売り場の窓口係員に尋ねられたので、まだまったくどこへ行くとも決めていなかったために、かつて翔太と本気で交際し始めた学生時代に二人で旅行したことがある、思わず彼の実家がある「名古屋」と答えてしまった。

久しぶり乗る新幹線は、乗務員や売り子の制服姿を含め何もかにもが新しく模様替えされていて、自分がそれだけ長い年月に渡って、誰とも旅行をしていないことをひどく痛感した。

――プルプルプル・・・・・ブー・・・――

――タ、タ、タァタ、タン――

「今日も新幹線をご利用いただきまして、ありがとうございます。この電車はのぞみ号博多行きです・・・」

やがて、発車を告げるベルの音がホーム中に鳴り響いてドアが閉まり、車内に録音テープの案内アナウンスが流れ出すと、新幹線は徐々にスピードを上げながらホームを離れて、最終目的地の博多駅に向かって走り出した。

やはり、いくら気まま一人旅といっても、久しぶりの独り旅は以外にありさの心の、寂しさを募らせた。

きっと、そのせいだろう。

新幹線が、見慣れた駅をひと駅ひと駅通り過ぎていく度に、何か自分が現実の出来事から逃れて、別な世界に向かっているような気分になり、その街の風景を見ているうちに突然急に悲しくなって、泣きたいわけでもないのに自然に涙が溢れ出して来た。





青春うたものがたりシリーズ2「幸せという名の不幸」 5

2011-10-07 22:37:39 | 人・愛・夢・運命・教育・家族・社会・希望

只今公開中の、~青春うたものがたり2~『幸せという名の不幸』は、あなたにとって、母と子の絆とは何なのか?あなたにとって、家族の存在とは何か?その人間(ひと)としての答えを一緒になって考えさせてくれる、“人間の生”というものが作り出す幸と不幸のヒューマニズムに溢れた作品です。また同時に、人の運命って一度狂ってしまうとこんなにもさまざまな束縛や、抑圧による非人間的状態に晒されてしまうのか?と思わなくならざるを得ないような、その人が持つ宿命の陽と陰とを関係を一人の女性の人生を通じて見せてくれる涙と感動の作品でもあります。


1_2企画 / 下家 猪誠 / 猪 寿
第5話/不自由な体の母からの手紙
   ~母がくれた愛の贈り物~

♪こんな寂しい夜だから

Sentiment travel 気まぐれな秋風に 背中を押されるように

行き先も決めずに 片道切符を買って汽車に乗る

荷物といえば ふたりの五年の思い出を詰めるのには ちょっと小さすぎるけど

Happy travel 初めてふたりが旅行する時に買った

紺の揃いのスーツケースが一個だけ 淋しすぎよね

住み慣れた都会(まち)を汽車が離れ ひと駅ひと駅と通り過ぎて行く度に

愛を刻んだあなたとの またひとつ思い出が遠ざかっていく

「真実(ほんとう)の愛に 気づく時間(とき)もないまま・・・」

お互いに傷つけ合うほど ah別にたいしたケンカをしたわけでもないのに

別れ話が切り出されて ah心の鍵を掛けあった二人

Traveling alone I am very lonely

ああひとり旅は初めてじゃないのに 頬を涙が濡らすのはやっぱりあなたが隣にいないせいですかね?


  有満隆江

◎人物紹介

有満隆江さんは、僕(鹿児島県の種子島出身)と同じ鹿児島県出身のとてつもなくおおらかで、何事においても前向きな考えを持っている、とても笑顔の素敵な女性です。ただ、彼女から話しを聞いて驚いたことは、「聴き屋」という商売があるということです。宗教や占いやカウンセリングなどではよくある話ですが、これまでいろんな商売をしている数多くの方とお会いしましたが、ただ単に“人の話を聴いてお金をもらう”という「聴き屋」という商売があることは、有満さんとあって初めて知りました。いやはやこの世の中には、まだまだ自分が知らないことが、いっぱいあるものですね。今では、彼女とはとても気が合う仲のいい友達ですが、そんな彼女に再び驚かされたのは、「これかどんなことを目指しているの?」尋ねたら「鹿児島を発信基地にして、日本を動かすような仕事をしたい」と、いう答えが返ってきたことです。やはり、鹿児島が産んだ日本の偉人“西郷隆盛”と同じ名前の文字を持っているだけに、それだけ度量も大きいのですかね。

◎プロフィール

勤務先:マッサージ、小顔矯正、聴き屋
出身校:東京理科大学
居住地:東京都杉並区
血液型:A型
出身地:鹿児島県鹿児島市
誕生日:1977年7月12日
ウェブサイト
http://facebook.com/tarimitsu


ありさは、母洋子と別れて病室を出ると、彼女が入院をしている病院がある帝都病院の玄関を出て、すぐその目の前の道路を渡って階段を下りると、地下道で繋がっている西新宿駅に向かった。

いつもは、ちょっとした運動にもなるために自動歩道は使わずに地下道を歩いて帰るのに、久しぶりに洋子の前で大泣きしたこともあるからだろう。

なんだかこの日は、躰全体に気だるさや疲労感が凄くあったために、何人かの通行人がありさの横を急ぎ足で追い越して行ったが、彼女は自動歩道のベルトコンベアの上を一歩もあるこうともせず、ゆったりと手摺りにも凭れかかるようにして駅に向かった。

いつものように、西新宿駅からありさのアパートがある方南町と洋子が入院している帝都病院との、電車の通行区間の乗り換え地点である中野坂上の駅で方南町行きの電車に乗り換えると、運よく座席が空いていたのでホッした安堵感とともに、まるで席にへたり込むようにして座った。

おそらく、わずかその間十分か十五分くらいの距離なのに、すっかり寝込んでしまっていたところを見ると、やはりありさは自身最近いろんなことがあり過ぎて、それだけ疲れているのが、自分でも分かった。

方南町に着くと、この日は花金に加えてまだ午後の五時を回ったばかりで、かなりいつものありさの帰宅時間にしては早いということもあり、商店街の八百屋や魚屋などのあちこちの店先から、あれこれと客寄せのための威勢のいい呼び込みの声が聞こえていた。

ただ、ありさは商店街で買い物をすると、周囲に大型店のスーパーやコンビニなどが出来たことも、そのひとつの悪条件にはなっているのだろうが、やはりそういった大型店に比べると商店街の商品は値段がかなり高いので、方南通りを隔てた向かい側の少し路地を入った所にあるコンビニでで、チューハイの中缶五本と摘まみ用の乾き物の裂きイカとチーズふた袋を買った。

帰宅すると、早々に洗面所で手洗いとうがいを済ませ、さっそく座卓に座ってチューハイを飲みながら、病院ではその手紙の文字を見てあまりもその文字の形に感涙して、たった一行も文面さえ読むことが出来なかった、母洋子からもらった手紙をハンドバックから取り出し、その書かれている手紙の内容に目を通した。

その手紙の中には、次のようなことが書かれていた。




ありさへ

ごめんね。

お母さんがこんな体になったばっかりに、お前にどんなに詫びても詫びきれないほどの苦労を掛けることになってしまって・・・。

それに、お前はお母さんに心配かけまいとして何も言わなかったけど、お母さんの病気のせいでお前が翔太さんのプロポーズの返事をうやむやにしていたばかりに、翔太さんにプロポーズを断れてしまったのではないかということは、お母さんにはなんとなく分かっていました。

それは、お前からクリスマスイヴに翔太さんと会うことを聞いていた、その後のお前の普段とはまったく違う、どこか悲しげな態度を見て直感していたからです。

それに、お前には悪いけど、お母さんはお前の行動や性格を生まれた時から見て来ているから、お前がどんなに隠し事をしていても、なんとなくですがお前の行動を見ていると、「私にこの子は何もいわないけど、何かあったのでは・・・」という、第六巻が働きピンと来るからです。

それは、もうお前にも分かっていることだとは思いますが、お前はお母さんにとって、お母さんがお腹を痛めて産んだ、この世で一番の大切な宝物だからです。

ただ、いくらそんなことを自慢しても、お前の一番大事な時期に、こんな躰になってしまって何もしてやれないことは、お母さんにとっては一番悔しいことであり、お前の母親としては失格だと思っています。

ですが、何も出来ないからといって母親として、このままお前がお母さんのせいで翔太さんにプロポーズを断られて、もがき苦しんでいる姿を黙って見過ごしているわけには行きません。

今、お母さんにしてあげられることは、お前がいない間のことはすべて看護師さんやヘルパーさんに頼んで置きましたので、しばらくお母さんのことを含めて何もかも忘れてもらっていいですから、お前に自由気ままな旅にでも出かけてもらい、少しでもお前が気分転換が出来るように後押しすることです。

そのためには、お前が十分に旅行を楽しめる金額とは言えませんが、五万円を手紙と一緒に封筒の中に入れて置きますので、何か旅先でゆっくりと温泉にでも入り、美味しい物でも食べるたしにしてください。

ありさは、洋子が書いた手紙を読んでいる間中、ここまでお母さんは自分のことを心配してくれているんだと知り、涙が止まることはなかった。

そして、洋子が手紙に書いていたように、もう一度封筒の中をよく覗き込むと、几帳面に折りたたまれてティシュに中に、新札の五万円の金が入っていた。

洋子が、この金をいつどうやって都合して入れたのか?それとも最初から入っていたのに、ありさが洋子が無理して書いた手紙を見て感涙しすぎて、単に気付かなかっただけなのか?まったく予想が付かなかった。

その真相はともかく、ありさの目頭からは、ティシュの中に几帳面に折りたたまれて入っていたそのお金を見た瞬間、再び大粒の涙が乾く間もなく溢れ出し、洋子が書いた手紙の上にボロボロと頬を伝って零れ落ちた。

ありさは、さっそく翌日アルバイト先のスーパーSに休暇届を出すと、洋子の後押しがあったこともあり、久しぶりの旅支度に取り掛かった。

ただ。今回の旅は今までの旅とは違って、かつての恋人の翔太や友達と一緒に行く旅ではなく、まったく行き先や宿泊先も決まっていない上に、初めての独り旅であることだった。









青春うたものがたりシリーズ2「幸せという名の不幸」 4

2011-09-23 22:45:43 | 人・愛・夢・運命・教育・家族・社会・希望

只今公開中の、~青春うたものがたり2~『幸せという名の不幸』は、あなたにとって、母と子の絆とは何なのか?あなたにとって、家族の存在とは何か?その人間(ひと)としての答えを一緒になって考えさせてくれる、“人間の生”というものが作り出す幸と不幸のヒューマニズムに溢れた作品です。また同時に、人の運命って一度狂ってしまうとこんなにもさまざまな束縛や、抑圧による非人間的状態に晒されてしまうのか?と思わなくならざるを得ないような、その人が持つ宿命の陽と陰とを関係を一人の女性の人生を通じて見せてくれる涙と感動の作品でもあります。


1_2企画 / 下家 猪誠 / 猪 寿
第4話/ 病気の母を見捨てられなかった私の人生の罪と罰
                 ~独りぼっちのクリスマスイヴの夜~

♪こんな寂しい夜だから

Lost love 失恋したての こんな寂しい夜だから

少しくらいお酒を飲んで グチってもいいでしょう

こんな日くらい 意地悪な恋の神様だって 許してくれるでしょう

Broken heart 孤独な胸のうち 誰かに分かって欲しくて

仲のいい友達に電話を入れたけど 留守電コール
 
今日はクリスマスイヴだもの こんな男と女が恋愛(こい)の魔法にかかって

夢の中を旅する夜に 家なんかにいるわけがないわよね

「あの娘は私と違って、モテるんだもの・・・」

化粧を落とす鏡の中の ah自分に自分で失恋話している

そんな姿が悲しくて ah勝手に涙が溢れてくる

Anyone is good It is good only tonight.

ああ誰か今夜だけでいいから 何も言わずにその温かい腕の中で眠らせて欲しい



中橋佐知子

◎人物紹介コメント

今日の、青春うたものがたりシリーズで中橋佐知子さんのことをご紹介させていただくきっかけとなったのは、時おり佐知子さんが子供の話題を自分のFacebookの中で取り上げていて、その内容に心を打たれるものがあったからです。まあ思いの中には、かつて僕がNHKの「おかあさんといっしゃ」や群馬県東村の「童謡ふるさと館」(現群馬県みどり市)、「童謡ふるさと列車」などの仕事(企画プロデュース制作)に携わっていたことも、その要因のひとつではないかと思います。ただしかし、今や社会的な問題になっている親が子供を置き去りや虐待したり、親子間に断絶の壁があったりしているこの時代に佐知子さんのような子供に慈しみ持って接して育てるお母さんが一人でも多くいたら、きっと日本の社会は、もっともっと希望や愛情に満ち溢れて、あちこちの家庭でとっても温かい光景が見られたに違いありません。そんな、子供たちに対して愛情や思いやりを持って接している中橋佐知子さんは、きっと観音菩薩のような心の清らかな素晴らしい女性だと思います。

◎プロフィール

職業:輝麗塾塾長
出身校: 大阪デザイナー専門学校編集デザイン
中西正章さんと既婚
居住地:文の里駅の近く
血液型: A型
誕生日: 1月1日
ウェブサイト
http://ameblo.jp/kireijyuku/
メールアドレス
kireijyuku.andy@facebook.com
salonandy@gmail.com


ありさは翔太に改札口まで送ってもらい、新宿駅から乗った地下鉄丸の内線の電車を中野坂上駅で乗り換えて、自分が引っ越したアパートがある場所の方南町の駅に着くと、電車のドアが開くと同時に下車して、一目散でホームを走って改札口を通り抜け、階段を上がって外の出口へと向かった。

それは、いくら翔太に対する自分の身勝手すぎる対応の結果だとはいえ、彼にプロポーズを白紙に戻されたそのあまりの気持ちの動揺で、もう自分の力では勝手に溢れ出して来る涙を、いくら我慢しようと思っても止めきれなくなっていたからだった。

それだけ逆に言うと、本当は翔太のことが好きだったのである。

ただ、今さらどんな言い訳をしてももう後戻りは出来ないが、母洋子がありさが小学二年生のときに父と離婚して以来、女手ひとつで彼女を始めとする三人の子供を育てるために、昼夜なく我が身を削って苦労して働いている、その母親の姿を見て来たありさにとっては、彼女しか誰も面倒を見る者がいない、そんな病気の母親を独り取り残して、どうしても自分が翔太と結婚することに踏み切れなかったのが、今日彼にプロポーズを白紙に戻された本当の理由だった。

だからといって、とくにそうすることを洋子に強制されたわけでもなく、自分で決めた以上は、自分でその罰を受け止めるしかなかった。

病院に洋子を看病に行き、まともに使えるのは右手だけで口も聞けない上に、下半身不随で車椅子生活をしている、まったく今ではあの元気だった頃の昔の姿の面影のかけらのひとつも残っていない、自分の母親の哀れな姿を見るたびに、ますますありさの中でそう思う気持ちが強くなっていった。

ただ、いくらそんな話を翔太にしたところで、その話と彼のプロポーズの話しとはまったく別問題だということは、ありさ自身もよく分かっていた。

それだけに、今日の結果はある意味では、避けては通れない運命だった。

地下鉄の階段を上がり地上に出ると、まださすがに方南通りは人の数は多かったが、ありさがアパートと会社の通勤にいつも使っている商店街通りの中に入ると、さすがに午後の十時を過ぎていたこともあり、何軒かの飲み屋以外の店はすべて閉まっていたために、ほとんど人の姿は見当たらなかった。

そのお陰で、人がいないということもあり多少気が緩んだせいか、自然に歩きながらでも溢れ出して来る涙の泣き顔を、ありがたいことに誰かに見られるという心配は、まったくなかった。

半ば小走りで帰宅していたものの、もしも再び帰宅してから必要以上の不安に襲われて、急に一晩中眠れなかったらという悪感が、脳裏を繰り返し過ぎったために、自販機で大きい缶ビール三本を買った。

ようやく、アパートに辿り着き部屋の中に入る、化粧を落としたり着替えをすることもなく、ベッドに倒れ込むようにして腹ばいになり、これまで堪えに堪えていた涙がいっせいに吹き出すくらい大泣きをした。

その泣き声は、まるで喚く散らしでもしているかのようにあまりにも大きくて、ありさの部屋が角部屋で道路に面していることから、隣やアパート中の住人はもちろんだが、道路を歩いている人にも聞こえるほどだった。

それから、どれくらい経ったのだろう?

ありさが泣き疲れて、ベッドから立ち上がり鏡の中を覗き込むと、涙でアイシャドウや化粧がボロボロになって落ちて入り混じり、まるでその顔は色んな化粧道具を使ってペイントとした歌舞伎役者のようになり、自分でも笑えるほど可笑しな顔になっていた。

ただ、さっき帰宅途中に買った缶ビールを飲みながら、クリスマスイヴの夜に誰も話す相手がいなくて、化粧を落としながら鏡の中の自分に自分で、翔太との失恋話をしている女の姿ほど、見窄らしくて寂しいものはなかった。

そう思ったとたん、ありさはそんな自分の姿が急に哀れに見えて来て、またしても自然に止め処もなく涙が溢れ出して来た。



Photo_2
あなたの愛で
福島の地を「ひまわり」の花でいっぱいにさせてください


 あの世界一美しいと言われている四季と、もう一度日本中に笑顔の花を咲かせるために・・・・・

ヒマワリひまわり基金募集!

「ひまわり基金募集!」 http://www2.ocn.ne.jp/~willtown/Sunflowerfund.pdf
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「あなたの愛をください」企画書
himawari.pdf へのリンク

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〒191-0061

東京都日野市大坂上3丁目8-6

ひまわり基金・ひまわり友の会事務局

電話番号:090-1990-3944

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下家 猪誠







~浪花の夢~笑売人 最終回

2011-09-18 22:16:59 | 人・愛・夢・運命・教育・家族・社会・希望

本日で、いよいよこれまで連載して来ました石坂まさ著の特別企画手記作品『笑売人』も、最終回を迎えることになりました。石坂まさをと深い親交があった、前吉本興業会長の故林裕章さん、その義父であり現在の吉本興業の礎を築いた、林正之助さんの二人の思い出を綴った手記作品『笑売人』を読んで、みなさんはどんな考えをお持ちになりましたか?

浪花の夢~ 笑売人

著 / 石坂まさを
企画 / 下家 猪誠

私が裕章さんを思い出すとき、必ずその傍らには会長の微笑がある。

また、会長を思い出すと、そこには必ず裕章さんの会長をいたわるようなまなざしがある。

吉本興業なくして、今日の芸能界は存在しない。

それほどまでに、数々のスターを育てた吉本興業。

今でこそ、日本中のあらゆるメディアで吉本興業のタレントは活躍しているが、その昔は大阪とその周辺だけだった。

そこを正之助さん、裕章さんの並々ならぬ努力で、漫才ブームを起こし、今日の姿に成長させたのである。

正之助さん亡きあと、裕章さんはラスベガスや中国、ロシアなどを視察し、さらに勉強し、ネタを仕入れて、舶来寄席なども始めた。

そして、芸人だけではなく、スポーツ選手、文化人とも契約して、日本の新しいエンターテイメントを築いたのだ。


「笑売人」 林正之助

畳半畳に 笑いを売れば
商売繁盛の 始まりや
狭い場所でも あきないし
きっと笑いで 金儲け
俺はなにわの 笑売人

落語 漫才 浪曲 歌手と
客が集まる 文化人
人が訪ねりゃ 付いてくる
萬円札が ニコニコと
俺は日本の 笑売人

なにわ文化は 世界の文化
なんでもござれの 世の中さ
宇宙ツァーで 人を乗せ
月にツイてる 夢を売る
俺は世界の 笑売人


▲この手記を書くモチーフになっているのが、故林正之助会長をテーマにした関西テレビで放映された「笑売人」というドラマです。

「時代を駆け抜けた風たちより」




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下家 猪誠





~浪花の夢~笑売人2

2011-09-18 22:11:47 | 人・愛・夢・運命・教育・家族・社会・希望

只今、石坂まさを著による特別企画として、石坂まさをと深い親交があった、吉本興業の会長故林裕章さん、その義父であり現在の吉本興業の礎をつくった、林正之助さんの二人の思い出を綴った手記作品『~浪花の夢~笑売人』を、3回にわたって連載しています。

浪花の夢~ 笑売人

著 / 石坂まさを
企画 / 下家 猪誠


正之助さんは、怒りっぽい人ではなかったが、私を可愛がってくれたせいか、よく怒られた。

寿司屋では、たいていの人は大トロから食べるらしいが、貧乏性の私は甘いタレの付いたタコから食べた。

すると会長は、「すしの食べ方にもルールがある。お金のことを考えず大吐露から食べなさい」と、怒った。

お金が欲しければ儲ければいいではないか、というのが会長の考え方である。

吉本会館の千メートル先の千日前の角には、吉本が経営するパチンコ屋があったが、その一日の売り上げが千五百万円もあるとは、誰も知らなかった。

ひと月に四億五千万円である。

会長は、「商売とは、人にわからないように儲けなければいけない」というのが、口癖だった。

会長が亡くなってしばらくして、関西テレビで「笑売人」というドラマが放映されたが、その主題歌「浪花の夢」は、会長に可愛がられた石坂まさをにしかかけないとプロデューサーにおだてられ、私が担当した。

♪銭が仇の世の中だろと 俺は浪花の夢を売る・・・・・

三笠優子さんが歌ったこの歌は、カラオケなどで広く歌われた。

そして私は、この歌を聴くたびに正之助さんのいない寂しさを感じたものだ。

ここだけのはなしだが、二番の詞のなかに「徳利一本 めざしが二匹 ごめんなさいねと云うお前」というフレーズがある。

それは息子の裕章さんの家に泊まったとき、奥さんのマサさんが僕に出してくれた質素なおかずである。

そのことを思い出して書いたのだった。

今、目が見えなくなった私が一番見たいのは、裕章さんの男らしい笑顔だ。

裕章さんという人は、同志社大学を出て何年かして吉本興業に入り、正之助さんの目に留まり、マサさんの婿養子になった。

あるとき、マサさんが私に話してくれたことが、その後、ずっと続く関係のきっかけになったのである。

彼女はその頃、近くの神社にお百度参りをしていたらしい。

それは、旦那さんの裕章さんに「金のなる木と心の友だちが出来て欲しい」と念じているからだといったのだ。

それを聞いた私は、決心した。

金のなる木になれないが、心友になりたい。

そう思って、裕章さんと心から付き合ってきたのだった。

だからといって、裕章さんが孤独だったわけではない。

夫婦仲も良かったし、会社では社員に慕われ、そして何よりも、正之助さんとは、実の親子以上に絆が強かったと思う。

もちろん、会社経営のパートナーではあったが、義父を思う気持ちは血のつながりよりも強かったような気がする。


▲この手記を書くモチーフになっているのが、故林正之助会長をテーマにした関西テレビで放映された「笑売人」というドラマです。

「時代を駆け抜けた風たちより」


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