山陽メディアフラワーミュージアム
ヒスイカズラ
マメ亜科に分類される常緑つる性植物。原産地はフィリピン諸島(ルソン島など)。
受粉はオオコウモリにより行われる。花弁は翡翠色であるが、これはコピグメント効果によるもので、色素としてマルビン・サポナリンが1:9の割合で含まれていること、表皮細胞のpHが7.9とアルカリ性に傾いていることによる。
マメ亜科に分類される常緑つる性植物。原産地はフィリピン諸島(ルソン島など)。
受粉はオオコウモリにより行われる。花弁は翡翠色であるが、これはコピグメント効果によるもので、色素としてマルビン・サポナリンが1:9の割合で含まれていること、表皮細胞のpHが7.9とアルカリ性に傾いていることによる。
フィリピン諸島のごく限られた熱帯雨林にしか自生しないつる性植物。自生地では、熱帯雨林の減少とともに絶滅が危惧されている。
熱帯降雨林温室では本種の人工受粉を行っており、それによって実った莢は受粉後4か月で熟し、重さは約1.5kgにもなる。
研究者ノート
●まさしくひすい色のヒスイカズラの花に含まれる色素はマルビンという赤紫のアントシアニン色素です。
●まさしくひすい色のヒスイカズラの花に含まれる色素はマルビンという赤紫のアントシアニン色素です。
この花にはさらにサポナリンという無色のフラボノイド成分が含まれており、両者が共存するとコピグメント効果という現象が生じ、紫色になります(がく筒や花柄の色)。
この紫色がひすいのような花の色に変わるのは、色素が含まれている細胞のpHがアルカリ性であるためです。
アントシアニンという色素は酸性で赤、アルカリ性で緑色に近い色になる性質があります。しかし、本来アルカリ性だとすぐに分解してしまいます。これが安定してひすい色のままなのもコピグメント効果のためです。
この色はコウモリが好きで、長い年月をかけて獲得された、花粉媒介者としてのコウモリを誘引するための植物の知恵です。(岩科司)
●世界中に大きさや形など、奇抜な花は数多くありますが、こと色という点でこのヒスイカズラの奇抜さと美しさにかなうものはそう多くはないでしょう。
花の色には赤、青、黄、白と何でもそろっているように思われがちですが、実際にはこのヒスイカズラのヒスイ色のように、ほとんど他の花に見られないものもあります。
花の色の多様性は、花粉を運んでくれる様々な動物(昆虫、鳥、コウモリなど)の目に止まるようにそれぞれの植物が進化させたものです。ですから花の色が変わっているのは、その変わった生態を反映しているからだと考えられます。
のフィリピンで絶滅に瀕していることもあり、自生地で花粉を運ぶ動物が何であるかはよく分かっていないようです。(奥山雄大)
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