◎白菜Chinese cabbage はくさい
アブラナ科、中国、華北原産といわれ山東菜の変種で16世紀頃に見出した結球型のもので主に中国、韓国、日本、東洋での生産量が多い野菜です。日本では明治(1868-1912)の初め山東菜として導入していましたが全国的普及には至りませんでした。その後日清戦争(1894-1895年)、日露戦争(1904-1905)で兵士が持ちかえり栽培し全国的に広められています。盛んになったのは、昭和初期になってからといわれ以外にも新しい作物です。現在の主要系統である松島群(宮城県)、野崎群(愛知県)、加賀群(石川県)という三大品種群が作り出されたことになり近年では冬の野菜として好まれ、利用が伸び定着しています。2018年の収穫量はキャベツ、大根、玉葱に次いでいます。
色々な種類があり大きく分けると結球、半結球、不結球の3タイプに分けられています。
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一般にハクサイと呼ばれるものは結球するタイプを指します。
結球型:普段よく見かける白菜(円筒型黄芯系:日本で主流の品種・砲弾型)です。筍白菜(紹菜)、ミニ白菜(1㎏程度)があります。
半結球型:長崎白菜や花心白菜などです。
不結球型:山東菜、広島菜、べか菜があります。
ちなみに、中国野菜で“白菜パクチョイ”、近年見かける「しんとり菜」はこのパクチョイの一種としています。青軸パクチョイは、青梗菜です。
◇ 筍白菜 たけのこはくさい
別名紹菜(しょうさい、シャオツァイ)、チヒリともいいます。中国での栽培が多く耐暑、耐寒性、貯蔵性があり、8月頃の夏に種まきし、成育日数は、70日ほどで10~12月にかけ収穫でき旬とし作りやすく周年にわたり栽培する地域もあるようです。
一般に見られる白菜に比べ細長く、長さ50cm、球形20cm、重さ2.5~5kg、外葉は濃緑色をして、たけのこ型で固く締まっています。成分的には普通の白菜に似ていますが歯切れがよく煮崩れしにくく、漬物、鍋物、炒め物、中華料理に用いられます。
◇山東菜Shandong cai さんとうさい
半結球型、不結球型、丸葉種、切葉種、重量3、4kg~500gと種類があります。白菜で、半結球型で完全に結球しないので葉の先端からクリーム色の内側の葉がみられ、葉の中央の葉脈(ようみゃく)が幅広いのが特徴です。成長すると普通の白菜に比べ組織が硬く主に保存用の漬物用白菜として用いっられています。翌年の2、3月まで保存食とし塩枯れし味がよくなる。最近の生産量は一般の白菜に押され減少傾向です。
べか菜といわれる関東でべか(小さいの意)菜と呼ばれている若取りの白菜で2月から3月にかけて1週間おきに種を蒔いて収穫は5月〜6月まで続きます。
◇広島菜 ひろしまな
葉も茎も鮮やかな緑色で通常1株が2~3kgほどで、長野県の野沢菜・九州の高菜と共に地域特有の野菜として、日本三大漬菜の一つとしています。
不結球性の品種で日本への渡来は、江戸時代後期1866年に結球性の導入あったのですが継続した採種ができていませんでした。江戸時代以前から、日本に非結球種が漬け菜として度々渡来していたようですが、いずれも交雑により品種を保持できていませんでした。ハクサイの強い交雑性が原因で現在でも育種家の課題としてあるようです。
自然交配しやすくその種類が100数種にも及ぶといいます。日本の白菜は、山東白菜から分化しているといえます。
アブラナ科植物であることから連作障害があり、同じアブラナ科野菜の作付については、2年から3年は連作不可としています。種まきの時期が、適期より早すぎると病虫害に遭いやすく、遅すぎると低温で葉数の不足で、結球しにくくなるようです。
茨城県で全国一の出荷量を誇り、夏場は、長野県、群馬県産と続きます。
冷涼な気候を好み春播き、夏播きがあり多くは8月下旬に種まきして10月下旬より収穫しています。
2018年(平成30年)収穫量ランキングで1位:じゃが芋、2位:キャベツ、3位:大根、4位:タマネギ、5位:白菜で生産量が多いですが、近年は減少傾向です。年中出回り11~1月を旬とし甘味があって繊維が少なく柔らかく漬物(塩漬け、糠漬け、麹漬け)、鍋物に冬季の野菜としてなくてはならない食材です。
白菜漬けの作り方
昔ながらの白菜漬けです。白菜を1/4カットして軽く天日干ししてから漬けると甘みが増します。塩は白菜の重さの3%、赤唐辛子2、3本、漬物用昆布、ゆずの皮の適量。重石は白菜の重さの2倍で漬け、水が上がってきたら重石を軽くします。最近の家庭では冷蔵庫での保存が無難です。
他に、お浸し、スープ、炒め物、和え物(辛子和え・胡麻和え・酢味噌和え)、蒸し物と用途が広いです。
主なメニューでは、八宝菜、麻婆白菜、バラ肉春雨とのオイスターソース煮、豚肉と白菜のロール巻き、ベーコン・エノキタケとのスープ煮、豚肉と白菜の重ね煮などなどです。
芯のほうは、千切り、削ぎ切りてから調理すると利用しやすいでしょう。
白菜100g中生でエネルギー13kcal、水分95.2g、タンパク質0.8g、脂質0.1g、炭水化物3.2g、灰分0.6g、ナトリウム6mg、カリウム220mg、カルシウム43mg、マグネシウム10mg、リン33mg、鉄0.3mg、亜鉛0.2mg、銅0.03mg、マンガン0.11mg、ヨウ素1μg、セレン Trμg クロム0μg、モリブデン6μg、ビタミンA:8μg、ビタミンD:(0)μg、ビタミンE:0.2mg、ビタミンK:59μg、ビタミンB1:0.03mg、ビタミンB2:0.03mg、ナイアシン0.7mg、ビタミンB6:0.09mg、ビタミンB12:(0)μg、葉酸61μg、パントテン酸0.25mg、ビオチン1.4μg、ビタミンC:19mg、食物繊維総量1.3g(水溶性0.3g・不溶性1.0g) を含む。
白菜100g中茹でエネルギー13kcal、水分95.4g、タンパク質0.9g、脂質0.1g、炭水化物2.9g、灰分0.5g、ナトリウム5mg、カリウム160mg、カルシウム43mg、マグネシウム9mg、リン33mg、鉄0.3mg、亜鉛0.2mg、銅0.03mg、マンガン0.12mg、ヨウ素-μg、セレン-μg クロム-μg、モリブデン-μg、ビタミンA:11μg、ビタミンD:(0)μg、ビタミンE:0.1mg、ビタミンK:87μg、ビタミンB1:0.01mg、ビタミンB2:0.01g、ナイアシン(0.5)mg、ビタミンB6:0.04mg、ビタミンB12:(0)μg、葉酸42μg、パントテン酸0.25mg、ビオチン-μg、ビタミンC:10mg、食物繊維総量1.4g(水溶性0.4g・不溶性1.0g) を含む。
白菜100g塩漬け中エネルギー17kcal、水分92.1g、タンパク質1.5g、脂質0.1g、炭水化物3.3g、灰分2.8g、ナトリウム820mg、カリウム240mg、カルシウム39mg、マグネシウム12mg、リン41mg、鉄0.4mg、亜鉛0.2mg、銅0.04mg、マンガン0.06mg、ヨウ素4μg、セレン0rμg クロムTrμg、モリブデン8μg、?ビタミンA:1μg、ビタミンD:(0)μg、ビタミンE:0.2mg、ビタミンK:61μg、ビタミンB1:0.04mg、ビタミンB2:0.03mg、ナイアシン(0.6)mg、ビタミンB6:0.08mg、ビタミンB12:Trμg、葉酸59μg、パントテン酸0.11mg、ビオチン0.5μg、ビタミンC:29mg、食物繊維総量1.8g(水溶性0.3g・不溶性1.5g)、食塩相当量2.1g を含む。
白菜キムチ100g中生でエネルギー27kcal、水分88.4g、タンパク質2.3g、脂質0.1g、炭水化物5.4g、灰分3.6g、ナトリウム1100mg、カリウム290mg、カルシウム50mg、マグネシウム11mg、リン48mg、鉄0.5mg、亜鉛0.2mg、銅0.04mg、マンガン0.10mg、ヨウ素14μg、セレン1μg クロム1μg、モリブデン6μg、ビタミンA:15μg、ビタミンD:(0)μg、ビタミンE:0.5mg、ビタミンK:42μg、ビタミンB1:0.04mg、ビタミンB2:0.06mg、ナイアシン1.0mg、ビタミンB6:0.13mg、ビタミンB12:Trμg、葉酸22μg、パントテン酸0.24mg、ビオチン0.8μg、ビタミンC:15mg、食物繊維総量2.2g(水溶性0.6g・不溶性1.6g))、食塩相当量2.9gを含む。
キムチは、ペチュ(白菜)キムチ系は、塩で浅漬けした白菜の葉の間に野菜(人参、大根、長葱、せりなど)の千切り、ニンニク、生姜、りんごのすりおろし、唐辛子粉、アミの塩辛、いか、えび、かき、ホタテのひもなどをよく塩もみし薬念(やんにょむ)、薬味とし、はさみ込み魚醤油で漬け込んであります。挟み込む薬味によって成分は多少なりとも異なってくると思われます。晩春から秋口までは、浅漬けとしていますが晩秋からのは、貯蔵漬けとし乳酸発酵しさらに旨みを増しています。
栄養的成分は、同じアブラナ科でキャベツ(水分92.7%)に似ていますが水分が95.2%とありみずみずしさが味わえます。白菜を使ってのキムチ(朝鮮漬け)は、このところのダイエットも手伝って脂肪燃焼(唐辛子、ニンニク、生姜など)効果、食物繊維1.3%~2.7%、乳酸菌発酵による整腸作用もあり今や、漬物の生産量は、たくわんを抜いて急速に生産、消費量とも急増し漬物の王座を占めるに至っています。平成11年頃よりキムチは、急速に生産量を拡大しその後徐々に低下していますが依然として平成28年現在で一位キムチ、二位浅漬け、三位沢庵漬けの順です。
&アブラナ科Brassicaceae/Cruciferous あぶらなか
分類法は、新事実の発見により、時代により異なりが見られAPG(Angiosperm Phylogeny Group)分類では、真核生物Eucaryote、植物界Plantae、被子植物門Angiosperm 、真正双子葉植物類Eudicots 、アブラナ目 Brassicales(パパイヤ科Caricaceae ワサビノキ科 Moringaceaeなど17科ほど)、アブラナ科 Brassicaceaeに分けられています。
アブラナ科の植物は全世界に約375属、3200種ほどが知られ分布し特に北半球に多く、日本で見られる代表的な属に、アブラナ属Brassica(からしな・きゃべつ・ブロッコリー・チンゲンサイ・カブなど)、イヌガラシ属、イヌナズナ属、エゾスズシロ属、、オランダガラシ属(オランダガラシ)、カキネガラシ属、カラクサナズナ属、キバナスズシロ属(ルッコラ)、ダイコン属(大根) 、タネツケバナ属、ナズナ属、マメグンバイナズナ属(マカ) 、ヤマハタザオ属 、ワサビ属(ワサビ)などがあります。
双子葉(そうしよう)植物に属し花弁(花びら)数は4枚で花の姿が十字状であるので以前は、ジュウジバナ科(十字花科Cruciferae)とも呼ばれていた事があります。
多くが秋に芽生え、冬はロゼット(根から茎が伸びず直接葉が放射状に見える状態)で過ごし、春に開花する。このようなライフサイクルは地中海地方の夏期の乾燥と冬季の温暖多雨という気候条件に適応する植物です。
アブラナ科類の種や植物が一定期間低温にあたると花芽が分化してとう立ちをはじめるため、品種選びと種まきの時期を重要視しています。一般に発芽と生育のための適温は15~20℃で5℃以下、28℃以上で成長が遅れ、10℃以下でとう立ちしやすいようです。
アブラナ科野菜には、グルコシノレート(辛味の配糖体)が含まれており、すったり、少し熱を加えることによって組織中に含まれる酵素により分解されイソチオシアネートの辛味を生じます。
良く噛んで食べる、またジュースにすることも良いでしょう。これらの辛味の成分が抗菌、抗がん、食欲増進、肝機能強化作用があり、発汗を促すので新陳代謝を活発にして、血栓予防、ダイエットによいとしています。緑黄色の野菜では、葉緑素、カロテン、ビタミンC、カルシウムを多く含みます。
昔の野菜不足になりやすい冬季に、保存食の漬物は貴重な食材でした。今日でも白菜はキムチ鍋などとして、新しい調理形態として活躍しています。
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