・五果 ごか
古代中国では「スモモ、杏、棗、桃、栗」を五臓を養う働きのある五果とし、「五果は助を為[な]す」と記しています。
紀元前202年の前漢代に編纂(へんさん)、762年唐の時代に表した『黄帝内経・素問(黄帝内剄、こうていだいけい、こうていだいきょう、こうていないけい)・そもん)』の「蔵気法時論」の後半に次のような食材を列挙しています。
五穀為養 (五穀=麦・黍・ひえ・稲・豆)
五果為助 (五果=李・杏・棗・桃・栗)
五畜為益 (五畜=鶏・羊・牛・馬・豚)
五菜為充 (五菜=韮・薤・葵・葱・マメ)
『素問・蔵気法時論篇』から
五味の入る所。酸(さん)は肝に入り、辛(しん)は肺に入り、苦(く)は心に入り、鹹(かん:塩味)は腎に入り、甘(かん)は脾に入る。是れを五入と謂(い)う。
五穀が五臓(身体)を養い、五果が身体の働きを助け、五畜が身体を補い、五菜は野菜で身体を充実させます。
気味合而服之以補精益気(気味=飲食物は合して之を服用するとことで、精を補い、気を益[ま]していく)。
飲食物は私達の身体を構成する栄養を取り入れる基本であり、食べることで身体が活動するエネルギーや身体の材料を補給するということを示しています。これは「医食同源」という言葉にも通じていくもので、東洋医学の考え方の基本の一つです。
飲食物を穀(穀物)、果(果物)、畜(肉)、菜(野菜)と分類し、それぞれの飲食物が持っている作用を示しています。
肝に李すもも、心に杏あんず、脾に棗なつめ、肺に🍑桃、腎に🌰栗を主な食材として記載しています。
『黄帝内経こうていだいけい』が書かれた時代、医療は現在のように機器が発達しておらず細かい分析ができませんでした。生命の営みを緻密に診て、そこで得られた知見が示すのは、人と自然の関係、臓器同士の結びつき、心と身体との関連といったことでした。
病気そのものだけを問題にするのではなく、その人の習慣や感情の傾向、食事、またはその人の住んでいる土地、季節などとの関わりから、総合的に診ていました。
未病(みびょう)という用語は、黄帝内経で初めて用いています。
「聖人は既病を治すのではなく、未病を治す」
既病(きびょう)とは、既に症状が出ている状態です。黄帝内経では未病とは病原菌は体内にあるのに、症状が体表面に出ていない、しかし治療しなければ早晩発症が必至な状態をいいます。
この中国数千年の歴史より中医学の考え方から薬膳の名称が1980年代に中国において使われ始めたのが最初といいます。
五果は、肝に李(すもも)・酸、心に杏・苦、肺に🍑桃・辛、脾に棗・甘、腎に🌰栗・鹹と五臓を養う、助ける果実として示しています。未病に対して取り入れていくのが良いでしょう。
◇李(すもも)は、酸っぱい果実として、下熱、利尿、健胃の作用があり、疲労、口渇によいでしょう。近年では健康果実として生食での利用での消費がふえています。色素は、シアニジン系(赤色・アントシアニン)、カロテンを含みます。
杏の種子に見られるアミグダリン含量から医薬で利尿、抗菌、抗ガン、抗アレルギー、鎮痛、鎮咳(ちんがい)、血行促進作用が認められ生理不順、更年期障害、ガン抑制、神経痛、リウマチに利用しているようです。
◇🍑桃は、漢名を仙果、仙人桃などといわれています。楊貴妃も、魅せられた中国で桃といえば、古来より魔除け・厄除けの果物不老長寿・幸運の果実といわれていたようです。
◇棗(なつめ)には、糖類、有機酸、トリテルペン、サポニン、ベンジルアルコール配糖体などを含みます。神経過敏を静め、咳、腹痛などの痛みを取り五臓の調和に働きます。漢方では、最もよく知られる葛根湯、桂枝湯(けいしとう)に用いています。食欲不振・整腸・鎮静に働きます。韓国では薬膳料理の参鶏湯(サムゲタン)などにも使われています。
◇🌰栗は、 中医学の腎とは成長、生殖、老化防止に働き、滋養、健康増進に適しています。
健康な身体を作るのは、やはり日常的に、季節のものを頂くことは、重要で精神安定につながり、色彩、栄養バランスの取れた食事と適度な運動と休養ということが大切といえましょう。
ご愛読戴きましてありがとうございます。よりよい情報をお届けしてまいります。